『往復書簡』(仮)14復信
Sさんへ
こんにちは。
Sさんは絵がとても好きなんですね。その滝の絵、見てみたいと思いました。
僕は宿題は夏休みが始まって1週間くらいで済ませました。面倒なことはすぐ片付ける主義というか、その方が気が楽なので。とはいえ、終わらせた後も、いつも通り読書しているだけで、結局どこにも出かけずに新学期を迎えました。休み明けのテストのために、最後の1週間くらいはちょっと勉強したけど。
テレビでたまたまドキュメンタリーを見たのをきっかけに、テロや戦争について、まあ世界平和について考えたりしています。
戦争は国家が殺人を合法化しているだけで、人が人を殺すことに変わりはない。欺まんだと僕は思う。戦争体験を持つ人の話を聞いたり読んだりしていると、兵士としてか、空襲を受けたか、いくつの時だったか、肉親を失ったか、何を見たか。人それぞれでその戦争の意味が全くちがうのに、一括りにできる話ではないし、一人の人の考えは、ひどく偏っている様に感じている。
テロにしても、絶対に攻撃されることはない、できる訳がないと信じ切って疑いもしなかった人たちが、いざ攻撃を受けた時の衝撃は計り知れないけれど、同等のこと、もしくはもっと惨烈を極めることをしてきたのだというところまで想像を働かせるには、まだ時間の経過が必要なんだろうと思った。世界平和というのは、幻想かもしれない。
僕は思うが、特定のものではなく、戦争というものそのもので区切るならば、戦中と戦後=戦前ということではないかと。それに、戦争によって膨大な利益を得る者が存在するということも。
僕一人の力ではどうにもならない構造があるということを前提として生きて行くとしても、僕は目覚めていたい。
T
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