【短編小説】God father
私は世界を駆け回り、数々の商談を成功させてきた。
商談の父。
いつしかそう呼ばれるようになった。
なに、ほんの数時間一緒に食を共にするだけだ。
だがそんな端くれの商人さえ、時には命をも狙われる。
この命は何度旅に出掛けかけたのだろう。
生きて帰ってくる度『死なない商人』なんて噂が立ち、『商談の父』は名を変えた。
──God father──
これが私の通り名だ。
「ファザー、何を呑んでるんすか」
「気になるか?ならお前にも呑ませてやろう」
私は視線を正面へ向け、口を開いた。