悪魔をよくしらない
芥川龍之介が夏目漱石のことが好きだったので、夏目漱石が好きだ。
しんどくなったら雑司ヶ谷の墓に行って、「先生きましたよ、私は生きる方にいます」と言っていた。
10年くらい前にも人と雑司ヶ谷に行って、護国寺まで散歩し、それから江戸デニで仕事をした。
その時世界は完全に灰色で冷え切っていたので、私は「自分が悪魔だったらよかったのに」とゆった。「だって、この世界は地獄だから、悪魔にとっては天国なんでしょ」と、劣表現者の精一杯を言った。
今から何ヶ月か前、耐えきれなくなって、その人に「やっぱり悪魔になりたかった」とメッセージした。既読だけついた。
もし親切な返事があれば、「どうやっても、私、大天使なので」と続けるつもりだった。
元気いっぱい素振りしていたが、親切な返信はなかった。
みんなだってそれどころではないのだ。