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人口減少に向けた課題解決の理想―②地域企業での複業
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。
いま、noteさんの #創作大賞2024 #ビジネス部門 という企画に参加しています。『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』というタイトルの本を作るイメージで毎日お話しています。1本目、目次はこちらです。
昨日は、「地方の企業での「リモートワークの理想」について解像度を上げてみよう」というお話をしました。
今日は、「「地域複業の理想」について解像度を上げてみよう」というお話です。
音声はこちらです。
人口減少の課題解決の理想と実現する手段
先日は、人口減少の課題解決の理想として、4つのポイントを挙げ、その解像度を上げました。
個人の意見は尊重される
移住はしなくていい
地域外との関係ができる
定期的に行き来できる
これらを実現する手段として、3つの方法を挙げました。
リモートワーク
複業
学びの機会
今日はこの、「複業」について、もう少し解像度を上げていきます。ここでいう複業とは、「地方の企業で、地域外の方々が本業を持ちながら仕事をする」という働き方です。ここでは「地域複業」と呼びます。
今後、地方の企業は地域外人材と仕事をすることが増える
今後、人材が不足している地方の企業にとっては、地域外の人材とつながり、仕事をしていく機会が増えると考えています。
僕がしごとのみらいを経営しながら、サイボウズで複業をはじめた2017年から比べると、複業自体は特別なものではなくなりました。2017年にはほぼなかった複業マッチングサービスも非常に増えました。
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が2024年6月5日に発表した「フリーランス・副業人材サービスカオスマップ2024」を公開によれば、非常に多くの事業者が副業人材サービスを展開しているようです。
僕が、理想として掲げる複業の形は、次のような形を理想としています。
仕事が、地方の企業と地域外人材の接点になっている
その企業の想いや理想に共感している
凹と凸を組み合わせるような形で、双方にとってメリットがある
双方が手を動かす
会社員が複業する
それぞれについて、具体的に説明していきます。
仕事が、地方の企業と地域外人材の接点になっている
地域複業で「いいな」と思うのは、「仕事」が接点になっている点です。
仕事という接点があると、定期的なコミュニケーションが生まれます。また、必要に応じて、定期的に行き来する関係が生まれます。
移住の場合だと、「地域のコミュニティに馴染めるだろうか?」をはじめ、さまざまな不安がありますが、仕事という接点がある場合、それだけで共通言語があるために、「この場に馴染めるだろうか?」といった不安がかなり軽減されます。
その企業の想いや理想に共感している
地域複業のもっとも重要なポイントは、「その企業の想いや理想に共感している」ことです。
たとえば、僕はサイボウズで複業していますが、複業をはじめるきっかけになった大きな理由のひとつが「チームワークあふれる社会を創る」という理念に共感したからでした。
こうした理念は、言語化されている場合と、されていない場合があるでしょう。
しかし、地域事業者の想いや行動に触れて、「すごいなぁ」「こういった話は、いままで聞いたことがなかったなぁ」のように心が動くことはあると思っています。
また、こうした「理想への共感」があると、関係が長く続きます。
凹と凸を組み合わせるような形で、双方にとってメリットがある
こういった「地域との関係性を構築する」という取り組みは、単なる「仕事の受発注」の形ではあまり機能しません。なぜならば、仕事の受発注の場合、仕事が終わればそれで終わり。「やるべきことは終わったんで、帰ります。さようなら~」となってしまうからです
僕が理想として描いているのは、凹と凸が組み合わさるような形です。
地域の企業は、人材が不足して困っている。都市部の企業は、中堅世代以上のキャリア支援や人材活用に困っている。地域外人材は、いままである程度経験を積んできたけれど、将来のキャリアに不安だったり、第2、第3のキャリアに困っている……。
このように、どこかでは足りない、どこかではある……そういったことがあります。
それはまるで、フードバンクのようなイメージかもしれませんね。どこかで余っている(という表現はさておき)ものを、それが足りないところに支援する。そうすると、贈る側も、贈られる側もうれしい。
ただ、食べ物のように、無償で提供しては、活動が継続できませんし、ややもすると、労働の搾取になってしまいます。
自分が関わった仕事が、正当に評価される。そして、地域の企業によろこばれる。かつ、地域の企業にとってもありがたいし、お礼がしたくなる。そうした循環を生みたいのです。
双方が手を動かす
地域複業のポイントは「双方が手を動かす」ことです。
イメージしやすいように、「これは理想ではない」状態を明記しておきますと、「コンサルタントのような関わり方」です。
自分は何もせずに口だけ出す
分析ツールか何かで、既存の課題を分析し「足りないのは〇〇なので、□□したほうがいいですよ」のように、他人ごとで言う
「それを解決するためには、〇〇を導入すればいいですよ」のように、すぐにソリューションで解決しようとする
「それなら、〇〇に成功事例があります」のように、ほかのところの成功事例を得意げに話す
こういった関係は長く続きません。
理想的な姿は、この、逆の関係ですね。
同じ立場に立ち、課題に寄り添う
課題を自分ごと化する
自分でできる小さな行動をする
小さくてもいいから、その場で実装してみる
地域複業では、こういったマインドがすごく重要だと思っています。
会社員が複業する
ここも、僕が理想としてこだわりたいポイントです。
フリーランスの方が、複数の仕事をする。それも確かに複業だと思います。一方で、それはもともと、フリーランスの方々の特徴です。
人口減少社会のいま、労働力を増やすうえで大切なのは、「いままでとは異なる、新たな労働力が生まれる」こと。その意味でも、僕が理想として興味を持っているのは、「会社員の方々が、いまの職場に所属をしながら複業する」ことです。
難しい側面も
一方で、これまでの取り組みの中で、地域複業には「複業ができる地域の企業を開拓する問題」「複業したい人の問題」「マネタイズの問題」「お金稼ぎが目的になる場合がある問題」など、いくつかの課題があることもすでに分かっています。それは、第1章の仕事を通じた関係人口の創出「地域複業の理想と現実」に記しました。
そこでいま、取り組んでいるのは「新たな地域複業の形」です。これについては、この本の後半でお話します。
では、今日の話はこれで終わります。