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仕事を通じた関係人口の創出「地域複業の理想と現実」

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

いま、noteさんの #創作大賞2024 #ビジネス部門 という企画に参加しています。『「仕事っぽいシゴト」が社会の課題を解決する』というタイトルの本を作るイメージで毎日お話しています。1本目、目次はこちらです。

昨日は、「「仕事を通じた関係性って、どうすればできるの?」―関係人口に期待したこと」というお話をしました。

今日は、「仕事を通じた関係人口の創出「地域複業の理想と現実」」というお話をしていきます。

音声はこちらです。

人口減少・少子高齢化問題の3つの解決策

人口減少・少子高齢化問題に対して、これらを解決するためには、大きくわけると……

  1. 定住人口(移住者)を増やす

  2. 交流人口(観光者)を増やす

  3. 関係人口(地域と関わりのある人)を増やす

の3つがあると、これまでもお話してきました。

出典:関係人口ポータルサイト

この中で、僕は関係人口に興味を抱いています。その中でも「仕事を通じた関係人口」について関心があります。

なぜならば、僕は2017年からサイボウズという会社で複業していますが、新潟を拠点に、東京の会社でフルリモートで働くという働き方を実践しているなかで、「この、逆のパターンが実現できないかな?」と思っているからです。

地方の企業に、都市部の人たちが、複業のような形で働く。そうすると、普段はリモートで働いていても、月に1回など、定期的に地域と行き来したりする……みたいな関係性が自然と生まれて、地域との関わりが持てるようになったのが、僕自身の経験値でした。

なので、この逆のパターンができないかなと思ったんです。

地域複業に実際に取り組んでみて気づいた課題

ですが、実際にこうした取り組みをしてみると、結構課題がありました。

2020年に、地元、新潟県妙高市で複業マッチングという取り組みをしてみました。その結果、いくつかの課題が見えてきました。

大きく分けると4つあります。

複業ができる地域の企業を開拓する問題

1つ目は「複業ができる地域の企業を開拓する問題」です。

地方では、複業という考え方自体が、まだそれほど浸透していません。開拓が難しかったり、理解はしていただいても、複業の形を作るのが難しかったり。

複業したい人の問題

2つ目は「複業したい人の問題」です。

以前と比較すると、複業自体は浸透してきて、複業したい人は増えています。

ただ、一言で「複業」と言っても、会社員の方が複業しているケースと、いわゆる、フリーランサーのような方が複数の仕事をしているケースと、いくつかのパターンがあって。

僕自身は、会社に勤めている人が複業できるような形を構築したいと考えています。なぜならば、フリーランサーの方が複業のような形で働いたとしても、もともと複業のような働き方なので、「新たな労働力」という観点で言えば、変化がありません。

一方、いままで会社員として働いていた人たちが、自分の会社にとどまらず、会社の外にも接点ができると、いままでにない労働者が増えるということになります。ここに価値があると思っています。

しかし、いままで企業で働いている人は、普段、会社で働いている分、これまで、あまり社外との接点がなかったために「自分の強みがよくわからない」「強みをうまく言語化できない」といった、自身のキャリアをうまく棚卸しできないという課題があります。これが「複業したい人の問題」です。

マネタイズの問題

3つ目は「マネタイズの問題」です。

こういった取り組みをしていくためには、複業人材が関われる地域の企業を開拓したり、複業したい人とマッチングしたりする必要があります。このような形で人が動く場合、コストがかかります。

しかし複業は、いわゆる、フルタイムで人が働く場合と比較して、複業人材が手にする収入は、それほど多くありません。

もう少し分かりやすく言うと、フルタイムで働く人が、週5日働くとしたら、複業で週2日働く人の収入は、単純に5分の2ぐらいです。そう考えると、ひとに寄りますが、多くて月額10万円、年額120万円ぐらいではないかと思います。

このように考えた時に、そこからマッチングの手数料を〇%のような形でいただいても、運営側には、それほど大きな金額が入るわけではありません。このように、マネタイズの問題があります。

お金稼ぎが目的になる場合がある問題

4つ目は……これが一番大きな問題かもしれませんが、「お金稼ぎが目的になる場合がある」問題です。

僕が理想として描いた、仕事を通じた関係人口は、「あの地域はいいな」とか、「あの地域にある、あの会社の理念に共感するから、わたしは関わりたい」みたいな関わりができたらいいな……というものでした。

なぜならば、僕はいま、サイボウズで働いていますが、サイボウズで働いているのは「チームワークあふれる社会を創る」という、サイボウズの理念に共感したからです。

これが、関係性だと思います。このような関係性を構築できなければ、関係人口にはなりません。

単に複業マッチングみたいな形だと、「そこに仕事があって、わたしはこんなスキルがあるからマッチング」みたいな形になります。つまり、スキルマッチングというか、お金の関係ですよね。「理想に共感して……」というような形ではありません。

言い方変えると、仕事が終われば「仕事が終わったので、契約終わります。さようなら」みたいな形になって、そこには何の関係性も生まれない……という状況だと、「あまり意味がないな」と思って。

また、単に複業マッチングを行った場合、理想とは少し違った現実が生まれるような気もしています。

先ほどの、2020年に複業マッチングを行った際、フリーランサーの方からの応募が多くありました。それが悪いわけではありませんが、フリーランサーの方が応募してくる動機としては「仕事が欲しい」というケースが多いのではないかと思っています。

先ほどもお話しましたが、「仕事が欲しい」が主の動機の場合、関係性が作りにくい。

僕は、「仕事を通じた関係性」を創りたいと思ったんです。

この発想を具現化するにはどうすればいいか?

ここまでお話したように、地域複業による関係人口の構築には「いくつかの課題があるなぁ」というのが、現時点での課題感です。

ですが、発想自体はいいと思うし、今後、人口が減少していくのは決定事項で、地域の企業が人材不足になるのは明らかに起こります。その課題を解決するのが、地域複業というアイデアですが、まだまだ課題はあるな……という感じです。

なお、複業のマッチングサービスは、いま、数多くあります。サービスが実現できているというコトは、そこには、ビジネスの仕組みがちゃんとあるということです。

ですが、僕はやっぱり「関係性の創出をどう作るか?」というところに関心があるし、単なる複業ではない形、お金儲けではない形が作れることを理想としています。

この課題をどう解決していくか? が、この本の、1つの大きなテーマでもあり、可能性でもあります。現在取り組んでいることは、この本の後半でお話したいと思います。

では、今日の話はここで終わりにします。

次の記事:第1章まとめ―「関係人口の創出は人口減少を救うのか?」

#創作大賞2024 #ビジネス部門

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