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#554 「経験の抽象化・一般化」ミドルシニアのキャリア形成

竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。

音声はこちら。

昨日は、ミドルシニア以降におけるキャリア形成のステップについてお話をしました。

ステップには、大きく分けると「自分を知る」と「社会とつながる」という2つがあって、「自分の知る」の中にはさらに、「経験の抽象化・一般化」と「強みの言語化」の2つがあるという話をしましたね。

今日はこの、「経験の抽象化・一般化」の話をしたいと思います。

みなさんの仕事は、他の会社で生かせますか?

皆さんはいま、いろんな仕事をしてらっしゃると思います。営業とか、経理とか、生産管理とかね。

その仕事を、仮に「他の会社で生かす」ことを考えたとき、直接的に生きるケースと、生きないケースがあるんじゃないかなと思っています。

例えば、営業や経理の仕事は、比較的他の会社に行っても生かしやすいのではないかと思います。もちろん、営業だったら売る商品はいろいろあるでしょうし、経理は……どんな会社でも比較的同じかもしれませんが、会社が違っても、生かせることがありますよね。

一方、生産管理みたいな仕事は、それぞれの会社によって仕事内容は違うと思います。

他にも、いまの会社の業務が特殊で、他の会社には生かしづらい。他の業務には転用できない。そういった仕事もあると思うんですよね。

転職するかしないかはさておき、自分の市場価値を考えた時に、特殊な仕事をしていればしているほど、「他で通用しないんじゃないか?」といった不安感を抱かれる方も多いんじゃないかなと思います。

抽象化・一般化して、いままでの経験を活かす

そういった場合。僕の意見ではその経験を抽象化したり、一般化したりするといいんじゃないかなと思っています。この「経験の抽象化・一般化」とは……

例えば、さっき「営業」「経理」「生産管理」という 3 つの仕事を挙げました。営業の仕事をもう少し噛み砕いてみると、「話を聞く力」だったり、お客さんの困りごとに対して、どうやって解決していけばいいか? を提案する仕事ですよね? つまり、コミュニケーション力や提案力みたいな。

コミュニケーション力や提案力は、必ずしも自分の会社だけではなく、他の会社や業種でも生かすことができます。

つまり、抽象化・一般化というのは、個別具体的な話をまるっとまとめて、その要素を抽出することです。

では、経理はどうでしょうか? 経理の仕事は、比較的他の会社でも転用しやすい業務だと思いますが、経理という仕事は、「慎重で、正確に仕事をする」仕事だと思います。そういったことがおそらく得意だし、強みなんじゃないかと思います。

生産管理のような仕事の場合、直接的には、他の会社や業種には転用しづらいかもしれません。けれども、生産管理の仕事を「課題を見つけて、業務をより良い形に改善していく」のように捉えると、他の会社や業種、業態でも皆さんが経験してきたことを活かす可能性が出てきます。

「僕が得意なのは……」まったく異なる仕事の共通点

なぜ、このような話をしたのか? これは、僕の経験に基づいています。

僕はいままで、自動車会社で働き、その後プログラマーになって、そのあとは企業研修や講演をするようになりました。

この、3つの仕事は、それぞれ別ですよね? 自動車会社とプログラマーはひょっとしたら「技術的な仕事」というくくりでは似ているかもしれませんが、企業研修や講演はまったく別の仕事です。

ですが、僕、以前これらの仕事の共通点に気が付いたことがあるんですよ。

それは……あるとき、講演のコンテンツ作っていたときの話です。そのとき、ふと、こんなことを思ったことがありました。

「いま、僕はプログラマーやエンジニアとはまったく別の仕事しているけれど、その要素はプログラマーの仕事と同じだな」と。

企業研修や講演は、話の筋を立てて、論理的に組み立てて、どうしたら、自分の考えをわかりやすく伝えることができるか、その内容を「組み立てる」という仕事です。

プログラマーも、「どうしたら、この処理がうまくいくのか?」をプログラム言語で「組み立てる」作業です。

自動車会社での仕事は、僕の場合、直接的に車の整備をやっていたわけではないのですが、実は、僕の父親は車の整備の仕事をしているんですよね。車の整備の仕事は、機械を分解して「組み立てる」仕事です。僕は、その姿にあこがれて自動車会社に入りました。

このように「組み立てる」という要素が、全く関係のない仕事のように見える、車の仕事、プログラマの仕事、そして、研修や講演の仕事の中に、共通の要素として存在していることに気が付いたとき、僕はこう思ったんです。

そうか、僕が好きなのは「組み立てる」ということなのかと。それならば、将来、ひょっとしたら今の仕事とは変わることがあるかもしれないけど、僕の強みは「組み立てる」ことだから、もしこれから、仕事が変わっても「組み立てる」という要素があれば、きっと好きになれるんじゃないかな、と思った経験がありました。

このことに関して、詳しい内容については、以前『じぶん設計図で人生を思いのままにデザインする』っていう本に書きました。この本は、自分の経験を活かしづらい時に、「どうやって、自分の強みを見つけるか」ということについて書きました。

自分の強みの見つけ方は、ここに詳しく書いてあるので、もし機会があれば読んでいただければと思います。

また、以下に関連記事があります。

このように、いまの仕事を他に転用する、いまの経験を他に生かすために、いままで取り組んできた自分の経験を一般化する、抽象化することは、自分の強みを知る上でとても有効な手段です。

今日は、ミドルシニア世代が、次の仕事に生かす、あるいは、会社の中でより自分の強みを生かしていくために、まずは自分を知るための方法として、抽象化・一般化についてお話をしてみました。

今日の話はこれで終わりにします。

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