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#504 「やりたいこと」のまえに「市場があるか」
竹内義晴の「これからの働き方」――この番組は、これからの働き方、組織作り、地域づくりの実務家、竹内義晴が「楽しく働く」をテーマに、組織づくりやコミュニケーション、マーケティング、キャリアデザイン、複業、テレワーク、ワーケーションなどの視点でゆるゆるとお話をしていく番組です。
音声はこちら。
今日はですね、「やりたいこと」のまえに「市場があるか」という話をしてみたいと思います。
メンターの投稿で共感した話
というのも、僕のメンターの1人に椎名規夫さんという方がいらっしゃいます。僕が勝手にメンターだと思っているんですけどね(笑)
椎名さんは、僕がNLP(神経言語プログラミング)っていうコミュニケーション心理学を学んだトレーナーです。
その椎名さんが、Facebookにすごく共感する内容を書かれていたので、今日のテーマにしてみたいと思いました。
その内容がどんな内容だったかっていうと……
「コーチングされたい市場」は、ビジネスにならないくらい小さな市場。
無理にコーチングしたい人は溢れていますが....
「コーチになりたい市場」はビジネスとして成り立つかもしれません。
コーチが独立しても旨味がないことを伝えました。
この言葉を読んで、すごく共感したんですよね。
ここにはコーチングと書かれていますが、コーチングに限らずいろんなことに言えるなと思ったんです。
「やりたいこと」を実現することは、とても貴重
というのも、僕の周囲には、様々なことを学んでいる方がいらっしゃいます。それは……あえて具体的な固有名は出さないことにしておきますが、様々な資格だったりね。そういったものを勉強されて、将来、何らかの「自分でやりたいことをやりたい」っていう取り組みをされてる方もいます。
あとは、資格とかそういうことではなきにせよ「将来、わたし〇〇をやりたい」という方が結構います。
「やりたいことを実現する」ことは、とても貴重なことだなぁと思っています。
市場はある?
一方で、その「やりたいこと」に対して、「市場があるか」というのは、結構、重要なんじゃないかと思うんですよね。なぜならば、市場がないとビジネスにならない/なりにくいから。
もちろん、何かを「実現したい」「やりたい」という気持ちは最優先にしたいと思います。ただ、実際問題「市場があるか」ということは、つまり「そこにニーズがあるか」っていうことでもあります。
ニーズがないものは、どんなに自分がやりたいと思っても、ビジネスとしては成立しにくいというのが、僕自身の経験です。起業した時に、全然うまくいかなくて、結構しんどい思いをした時期もありました。
ワーケーションも市場から考えました
あと、僕はいくつかの取り組みをしていますが、ワーケーションみたいなこともそうです。「ワークとバケーションの組み合わせ」という、それはそれで、とても素晴らしいと思います。ですが「市場があるか」で考えると、いまだったらわかりませんが、僕が声をかけられて取り組み始めた2020年ごろは、少なからず、僕には市場があるように見えなかった。
そこで、「市場があるところはどこか」って考えたとき、いわゆる、観光のような「ワークとバケーションを組み合わせて働く」というものではなく、「地域を舞台にして学ぶ」ということだったら、ビジネスになるかもしれないな……と思って、取り組んできたという背景があります。
ワーケーションの「もう少し具体的な話」
もう少し具体的にお話をしますと、さきほどの「ワークとバケーションの組み合わせ」ということを、実際にできる人を想像した時——いまだったら、テレワークできる人や在宅勤務をしている人が結構いるのでいいかもしれませんが――2018年、2019年頃は、まだテレワークをしてる人ってほぼいなかったんですよね。
そういった環境で、実際に、自分の意思でオフィスではないところで働ける人を想像した時に、経営者か、あるいはフリーランスの方しかいないんじゃないかな~って思いました。
そこで、そういった、働き方をしてる人がどのぐらいいるか? を調べてみたら、労働人口の中の5%だったんですよね。
この、5%という数字を「多い」とみることもできますが、ほとんどの人ができない、あるいは、働き方のイメージがつかないという状況でした。そこで「もし、僕が関わるんだったら、そこではないところ。市場がある、ニーズがあるところに行かなければ、ビジネスにはならない」と思っていました。
ニーズは、自分で考えることも大事
あとね、以前ワーケーションの取り組みをしてた時に、ある方に言われたことがあって。それは「ワーケーションって、ニーズがありますか?」って質問だったんです。
「それは、僕に聞かれてもわかりません」って答えました。少なからず当時、観光文脈ではいないんじゃないかなぁって思っていたので。
もっとも、最終的には「あなたは、どう思いますか?」というところにはなると思いますし、それでも「やりたい!」と思えば、やればいいと思います。
少なからず、当時の僕には、あるようには見えなかったので「ニーズがあるとしたら、どこかな?」と考えて、いま取り組んでいるような、企業研修のような形にしています。
プロダクトアウトとマーケットイン
ちなみに、「自分がやりたいことを形にする」というのを、「プロダクトアウト」と言います。自分が作りたいプロダクト・製品を先に作って、それを世の中に出すことです。
一方、「市場があるかどうか」。これを、「マーケットイン」と言います。
僕はどっちかっていうと、「市場があるかどうか」をまず、考えるタイプかなと思います。「市場があるか」っていうのは、「ニーズがあるか」というのとはちょっと違って、僕の見方では「そこに困りごとがあるかどうか」っていう見方です。
困りごとって、言ってみればニーズだから。「誰が」「どんなことに困っていて」、それを実際に「解決しようと思う人がどのぐらいいるか」どうか。それが、市場というものではないかと思います。
なので、僕が何かしら、ビジネスなり、イベントなり、あるいは、文章を書くときもそうですが、「誰がこれを読むのか」「その人が何に困っていて」「どんなことで、その課題感を持っていて」「どんな風に思っているのか」「その背景にある、本当に望んでいることは何か」みたいなことを真面目に考えます。
なので、やりたいことがあるんだったら、まずは「市場がどうか」っていうのは、僕はよく考えた方がいいんじゃないかなと思います。
ビジネスにするっていうのは、それだけでも結構大変です。それによって、「やりたいことを実現する」みたいな話であれば、そこに「ニーズがあるか」「市場があるか」、あるいは、「見込める何かがあるか」ということは、ちょっと頭の片隅に置いておいた方がいいんじゃないかなと思ったので、今日はそんな話をしてみました。
じゃあ、今日の話はこれで終わりにします。