見出し画像

⑩海外ウエディング事業会社のV字回復

テイクアンドギヴ・ニーズ社の子会社だった海外ウエディングの事業会社がV字回復をしたときの話です。思考回路をベースに組み立てた展開事例です。

当時、テイクアンドギヴ・ニーズ社の子会社だった海外ウエディングの事業会社がV字回復をしたときのことです。それまでは、他社と大差のない一般的な海外ウエディングのサービスを展開していた同社の業績は今一つで、旅行代理店も取り扱いには力を入れていませんでした。

伸び代になる強みは、

日本にいるウエディングプランナーと現地(ハワイ、グァム、沖縄)にいたコーディネーターが、テイクアンドギヴ・ニーズがやっている国内のウエディングプランナーのようなヒアリングや提案をする力があったこと、そして、取引先の映像会社のスキルが高かったこと、そして、社長はじめ幹部には元テイクアンドギヴ・ニーズの役員や社員だった人がいたことでした。

たまたま私も結婚式をハワイでやっていたので、海外ウエディングの体験者でもあり、良いところも悪いところも、記憶の中にしまってありました。

海外ウエディングの良いところは、

・国内とは違い、本当に大切な人だけに声をかけられる。

・少人数でアットホームな時間を過ごすことができる。

・ゲストの人たちも、海外旅行気分が味わえる。

・大がかりな準備がいらない。

・青空のもと非日常的な空間で挙式とパーティーができる。

海外ウエディングの残念なところは、

・笑顔やフラワーシャワーに包まれるが、感動が少ない。

・国内のハウスウエディングのような、家族や親族との絆が深まる瞬間は生まれにくい。

・ハワイは遠く、高齢の祖父母や親族には不向き。

・ゲストの方々にかかる日数や費用の負担が大きい。

・両家両親と一緒に海外旅行にいった際に、オプションとして挙式をしたような感覚にもなってしまう。

・そこまで思い出に残らない可能性がある。

これらは、私自身の体験から来る主観も大いに入っていますが、自分自身がリードターゲットに近いこともあり、体験から来る感性を大切にしました。

そのような要素が海外ウエディングにはあったのです。そんな中で、私が考えたことは、

「大切な人との絆を大切にしたい」
「仕事などのおつきあいの関係でゲストを招待することには気が引ける」
「結婚式に社交性を重要視することはしなくてよい」

という新郎新婦にとって、

「両家の家族や親友との絆が深まる結婚式を海外の非日常の空間と時間で行える。しかも、おじいちゃん、おばあちゃんの体の負担にならないグァムでできる。」

という海外ウエディングのコンセプトに再設定しました。

多くの資源をグァムに集中させていったのです。

そして、映像を駆使して、国内の結婚式で流れるような「ふたりが生まれてから今日までの軌跡」のビデオ上映や結婚式当日のダイジェストムービーがその日中に全員に届くようなサービスも付加していきました。ここぞという時に頼りにしていた(いる)クリエイティブディレクターの武藤雄一さんによって生み出されたコミュニケーション展開のキーワードは、

「笑顔ばかりの思い出なんて、すぐに忘れる。」

です。

CD:武藤雄一さん(武藤事務所)、AD:安田由美子さん(アイルクリエイティブ)

この展開によって、ARUISの海外ウエディングは、他社とはまったく違うポジションをつくることができ、すべての大手旅行代理店に取り扱いされるようになりました。他の海外ウエディングの商品の並びで紹介されることによって、3割から4割の確率で選ばれるようになり、そこからしばらくの間、攻勢が続くのでした。

ご購入はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?