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歴史も漢詩も「オーディオブック」と「マンガ」で学ぶ時代。~『コテンラジオ』『松かげに憩う』『雪花の虎』~
恥ずかしながら、35歳になってようやく、歴史や漢詩に強い興味を持つようになりました。
といっても、歴史が苦手だった訳でも学んでこなかった訳でもありません。
横山光輝のマンガ「三国志」は中学生の時にブックオフを渡り歩いて全巻集めてて何回も読み込んだし、
司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」も、ちょっと背伸びして読みました。
社会人になったら塩野七生の「ローマ人の物語」も全巻読んだりしました。
多分、普通の人よりは多少は歴史を知っている方だと思うのですが、とはいえ、率先して「学ぼう」という気持ちもありませんでした。
僕は詩吟を25年習ってきました。今もなお継続しています。
詩吟では「漢詩」を主に吟じる訳ですが、もちろん漢詩には歴史的背景があります。
むしろそこをよく理解しないと漢詩の本質に近づけないこともわかってはいたのですが、漢詩の隣に添えてある「通釈」だけを読んで、「なんとなーく」理解した気になって、それで満足していました。
そこからさらに一歩深めて、「〇〇を知りたい、学びたい」と思ったことは、正直ほとんどありませんでした。恥ずかしいことです。
そんな僕が、最近になって「もっと歴史を知りたい、漢詩の背景を学びたい」と思えるようになりました。
そのきっかけは「ラジオ(オーディオブック)」と「マンガ」です。
1.オーディオブック:コテンラジオ
最近、僕がドはまりしているのが「コテンラジオ」です。
これは歴史を楽しく学べる音声配信で、説明する人が2人、歴史を良く知らない立場の人が1人という計3人が対話するように話が進んでいきます。
YouTubeやVoicy、spotifyなど色々な所で聴けます。
一人が延々と講義する形ではないのと、歴史を良く知らない人に伝えるような話し方で説明してくれるので、とっても分かりやすいし面白いのです。
僕が最近知ったというだけで、実際はもっと前からバリバリ配信していて有名だったみたいですね💦 今はアーカイブを聞き漁っています。
詩吟をやっている人なら初期に学ぶことの多い漢詩「九月十日」の作者である「菅原道真」を題材にしていた回が、SNS上でたまたま目に止まったので、それを聞き始めたのがきっかけでした。
今までは、菅原道真と言われても、「とっても真面目な歴史上の人。左遷されて可哀そうな晩年を過ごした」くらいの超々浅い解像度しか持っていなかったのですが、コテンラジオを聴くことで初めて「人間味」を知ることができました。
祖父も父も超優秀な中で、優秀が当然といわれる厳しい環境の中で、勉強を頑張りぬいた人。とはいえ、嫌な気持ちも嬉しい気持ちも漢詩に全部ぶつけてしまうような、今の時代ならSNSですぐ炎上しやすそうな性格(笑)
みたいな感じで、菅原道真に対して愛着を感じるようになりました。
それについてもYouTubeで配信しているので良ければ聞いてみて下さい。
おそらく、コテンラジオが無かったら、菅原道真に対してこんな風に感じることは決してなかったと思います。
そもそも、今は会社員と育児と副業の三本柱で活動しているので、本をじっくり読む時間なんてありません。マジでありません(涙)
また、本というスタイルで堅い文章を読んでいたら、きっと僕の読解力では「人間味」を感じるほどの興味を持つことも難しかったでしょう。
コテンラジオという形で知れたからこそ、初めて興味を持つことができたのです。
この人が生きた時代はこんなのだったのか!
この人が生まれる前はこうだったのか!
この人がこの行動をとった背景にはこれがあったのか!
こんな発見や驚きがあって、「歴史を学ぶ面白さとはこういうことか」と今更ながらにはしゃいでいる次第です笑
菅原道真をはじめとして、最近では「秦の始皇帝」や「ユリウス・カエサル」、「吉田松陰」や「織田信長」などをガシガシ聞いて楽しんでいます。
2.マンガ:「松かげに憩う」「雪花の虎」
もう一つの媒体は、マンガです。
今の時代って、スマホで簡単にマンガが読めるんですよね。
マニアックなマンガでも、検索したらどれかのアプリにヒットして、すぐに読めるのが本当に良いです。
「時間がない!時間がない!」と言いながらも、実はマンガを読む時間くらいはあるのです。「おい!」とツッコミが入るかもしれませんが、これは事実なのでしょうがない。
ちょっとしたスキマ時間で見るだけ。寝る前のちょっとした時間に見るだけなんですが、集めるとそれなりの時間なんですよね。
「その時間にもっと真剣に活動しなさい!」と言われたらそれまでなのですが、全てのスキマ時間にヤル気をもって活動するのは性格的に無理なのです。
なので、スキマ時間は必然的に生じるもので、疲れていても、ヤル気がなくてもつい読めてしまうのが「マンガ」なのです。
で、最近とても良かったマンガが2つあるので紹介させて下さい。
①松かげに憩う
コテンラジオの中で紹介されていたマンガです。
幕末を駆け抜けた吉田松陰とその弟子たちの生きざまについて描かれています。
絵柄をみて気づく人がいるかもしれませんが「ここは今から倫理です。」の雨瀬シオリ先生の作品です。
吉田松陰と言われても「松下村塾を開いて、黒船に乗ろうとして、攘夷を叫びながら死罪になった人」くらいの超々浅い認識しか無かったのですが、これを見て解像度が劇的に変わりました。
コテンラジオでも吉田松陰や高杉晋作、久坂玄瑞の回があるのでそこを聴いた上で読むとさらに最高です。
どんな人だったのか、どんな激情や感情を持っていたのか、何を考えてそんな行動をとったのか、あの事件の時にどんなことを思っていたのか。
もちろん全ては分かりませんし、作者の想像の所もあるでしょう。
それでも一番大切なことは「人間味がわかる」ということです。
そして「この人についてもっと知りたい」と感じることです。
このマンガには、その力があります。
1巻を読んだときからすぐに引き込まれて、3日の内に全巻スマホで購入して読み切ってしまいました。
散財といえば散財なのですが、僕にとっては詩吟の糧になるので、自信を持って勉強代と言えます!笑
②雪花の虎
これは歴史好きの誰かから教えてもらったマンガなのですが
あの有名な戦国武将「上杉謙信」が主人公です。
しかも「上杉謙信が実は女性だった」という説をもとに描かれたマンガです。作者は、これも有名な東村アキコ先生です。
最初は「そんなアホな。最近は織田信長がクラシックさせられたり性転換させられたりとやりたい放題だから、上杉謙信もその煽りを食らっているんだろうな」とバカにして読んで無かったのですが(本当に失礼でした💦💦💦)、
いざ読んでみると、実はとてもしっかりした構成のマンガであることに気づかされます。
というか、根拠も丁寧に説明した上で「上杉謙信女性説」を描いているので、めちゃくちゃ説得力があります。
これに加えて、女性である作者が「上杉謙信が女性だったなら、こういうことを考えていたかもしれない」という想像を盛り込んでいるので、説得力がさらに高まっている感じです。
このマンガも先ほどと同じで
細かい所が正しいかどうかは正直そこまで重要じゃないのです。
それより上杉謙信に対して「人間味」を感じれるかどうかが大事なんです。
上杉謙信というと、白いフードをかぶって「〇〇〇ソワカ!!!」と唱えながら相手をバッサバッサ倒していく超強面の武者、みたいなゲームに惑わされたイメージしかなかったのですが(苦笑)、このマンガのお陰でようやく人間味を感じることができました。
この本もスマホで検索したらマンガアプリで購入できたので、結局全巻大人買いして読んでしまいました。
東村アキコ先生っていうとギャク的なイメージが強かったのですが、このマンガは本当に対照的で、歴史好きの人も安心して読めるしっかりした作りになっています。
こちらは10巻で完結していて、読後感もとってもキレイです。
女性も男性も楽しめます✨
人間味を感じられない = 私には到底理解できない人 = 解像度が浅い
この人は偉人だ。聖人君子だ。一騎当千の猛将だ。
歴史上の人物をこのように形容するのは簡単です。
でも、それは時として「人間味」を損なわせていると思うのです。
歴史を知るだけであれば、別に人間味は無くてもいいのかもしれません。
むしろ伝説的な人ばかりの方が面白いかもしれませんね。
でも、僕は詩吟をやっています。
漢詩を吟じる「演者」です。
作者のことを理解して、咀嚼して、考えて、発することを芸にしています。
つまり「作者の視点に立つ」必要があります。
いや、「必要がある」という義務的な言い方は嫌ですね。笑
より素晴らしい詩吟を吟じるには、より詩吟を楽しめるようにするには、作者の視点を深く知った方が良いのです。
そんな僕にとって、漢詩の作者の人間味を感じられることはとても重要なことなのだと気づかされました。
そしてそれは、本だけでなく、オーディオブックやマンガといった媒体でも十分可能で、むしろそっちの方が人間味を感じやすいように僕は思います。
人間味を感じられるということは、解像度が深まっているということ、想像を膨らませられるようになったということです。心が動いているんですね。
人間味を感じられないということは、自分には理解の及ばない人だと諦めているということ、つまりは理解が浅いままということです。
歴史上の人たちの生きざまを知り、人間味を知り、思いをはせる。
その人たちが残した漢詩を読み込み、想像して、吟じる。
いやー、詩吟って良いですね!
詩吟をやることで歴史に興味を持つし、
歴史を学ぶことで詩吟が面白くなる。
35歳。早いか遅いか分かりませんが、僕は今気づけて良かったです!
最後に
マンガ「松かげに憩う」、本当に良いです。
これを読んで胸が熱くなり、このnoteを書こうと思いました。
このマンガの良さを全然言語化できていなくてモヤモヤしていますが、あきらめて何も書かないよりはマシだと思って書き残します。
作中の吉田松陰も言ってました「何でもいい!行動しろ!」
終わり。