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異端児sewerslvtと彼女が残した功罪(2)

導入、謝辞と私からの弁明

前回の記事をご覧になってくださった方、SNSで共有してくださった方々に感謝いたします。本記事でもやはりSewerslvtの炎上事件を紹介していくわけですが、その前に一言弁解しておかなければなりません。この記事でしていることは、別に彼女の評判を下げようとかそういったネガティブ・キャンペーンとは関係ありません。事実、私自身、彼女のアルバムは買っていました。しかしこのことを海外コミュニティで口に出せるものかといったら…なかなかそうでもありません。この記事の意図とは裏腹に、特に海外のブレイクコアコミュニティでは彼女を徹底的に叩く風潮があります。一体どういうわけなのか、というのがまさに私が明らかにしようとしていることです。(もっともそのことは「明らか」にはされていて、私がただ単に輸入しているだけですが。)その点、ご理解いただければ幸いです。

パクり騒動

前回ご紹介しました名義の由来に関する炎上沙汰に続きまして、今回ご紹介するのがパクり事件です。サンプリング音楽でパクりもなにも、と言われそうですが、間違いなく彼女はこの事件を機にいろんなアーティストを敵に回してしまいました。問題となったのが2019年に発表したEP、"infatuation" の3曲目 "inmelancholy" です。相対性理論の「バーモント・キッス」にアーメンブレイクをこれでもかというくらいふりかけました、という感じの曲。inloveinpeaceでも名高いこのEPですが、騒動となった曲も同様に彼女のYoutubeにアップロードされていました。するとこのようなコメントが付きます。

「foxxy dekayのリミックスでしょこれ、バレてるよ?」

Foxxy Dekayとはスイスを拠点としている、最近はかわいい系ブレイクビーツを主とするアーティストです。ここでパクり元として指摘された曲は4649nadeshikoとの共作である”37564”。

聴き比べていただければわかると思いますが、確かにこの「原曲」を一切明記せずにオリジナル曲 "infatuation" としてリリースしたsewerslvtには非があるでしょう。さらに上の画像でもわかる通り、彼女は指摘に対して「原曲は音圧がなさ過ぎて元気がない」と悪びれる様子はありません。これに対して例えばブレイクコア、ロリコアレーベルでも知られるTsundere Violenceのオーナー、Himeko Katagiriはツイッター上で以下のような投稿をします。

「sewerslvtは聴くな!盗作してなんの苦労もせず俺たちのシーンで金を儲けようとしてやがる!あいつを出禁にしろ!」

このような呼びかけに対してさすがのsewerslvtも折れざるを得ませんでした。のちに問題となったトラックには "foxxy dekay & 4649nadeshiko - 37564 Remix" という副題がつけられて再リリースされたうえ、彼女はfoxxy dekayに謝罪したそうです。

今回ご紹介した騒動は主に音楽プロデューサーの中で標的になりやすい出来事でもあります。ただこの出来事は反sewerslvtの潮流の中で取沙汰されるほんの一部のものにすぎないというのも事実です。というわけで次回からsewerslvtの悪業といえばまずこれ!といわれる事件やタレコミに踏み込んでいきます。


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