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#20 ベルンシュタインから考える14『巧みさとその特徴』その1

ついに最終章突入です。
今回から、「巧みさ」について考えていきます!

巧みさとは何か?


早速ですが、次のうち、巧みさが現れているのはどちらでしょうか。

短距離走者がトラックを走っている。彼はライバルたちを一気にごぼう抜きして先頭でゴールした。そのフォームはとても美しく、無駄のない動きであった。
兵士は敵より先に目的地にたどり着かなくてはならなかった。森の陰に隠れる敵を察知し、相手の動きを予測しながら悪路を走った。最終的に敵の銃弾をかわしながら、草むらに隠れた溝を飛び越え目的地にたどり着いた。


多くの方が、後の文章で表されている人物の方が、「巧み」だと答えるのではないでしょうか。



何故なのでしょう。



どちらも運動能力が高いことは、数行の文章から読み取ることが出来ます。

違いを生み出しているのは、巧みさは運動自体にあるのではなく、変わりゆく外界の条件との相互作用によって現れるということが言えます。

巧みさは不意に変化する環境の中で素早く正確に解決策を見いだせることと言い表されるのです(「即座性」と「適応的な切り換え可能性」)。



巧みさには何が出来るか


巧みさの特徴のひとつは、①運動課題を正しく解決する能力があげられます。ここには、「質」的な側面「量」的な側面があります。


質的な側面とは、与えられた課題に対して適切な動作をとるということです。例えば、週末のサッカー大会に向けて、野球の練習をしたり、サッカーのテレビゲームをしたりしても巧みさは得られません。キチンと競技に即した運動機能や周囲との関係性の向上に取り組まなければなりません。


量的な側面
とは、正確さを示します。動作の正確さは「感覚調整の精密さ」でもあると言い換えることが出来ます。

各感覚器官がスキル練習に伴って感受性を増す能力を持っているということは、練習次第で大いに向上する潜在性を秘めているのです。例としては、自転車の未熟な運転者が当てはまります。初めは不慣れですが、徐々に慣れることで、前庭器官感受性が向上し、理想的な駆動が可能になるのです。

もうひとつの特徴は、②素早さです。これには「結果を達成する素早さ」と言い表されます。

巧みさにおける素早さの特徴として、常に最高の速度で行われることではありません。時に、ゆっくりした速度で行うこともあります。その場に応じた相対的な素早さが必要となるのです。

もう少し細かく見ていきます。

巧みさおける素早さは、①機転の重要性②決断の素早さ③速やかな成功、に分けられます。

機転の重要性は、棒高跳びの選手が跳躍中に棒が折れたときに、即座に身体を捻って、自分の身を守るように、その場にあった対応動作を見つけ出すことを指します。

決断の素早さは、ある状況において正しい活動が複数思い浮かぶことも考えられます。その際に、躊躇うことなく瞬時に適切な動作を選択できることを意味します。

速やかな成功は、上記の機転と意思決定により、外力と調和し「うまくいっている(適切な結果になる)」ことを指します。


巧みさの仕事ぶり


巧みと言われるためには、動作と行為が正しい結果にたどり着くだけでなく、その道のりが合理的でないといけません。

合理的な動作とは、正しい動作とは異なり、必要とされる結果に対し、経済性の面で効率的であり、また適宜的な動作を指します。鉛筆を削るとき斧や歯で削ったり、指に刺さった棘を大きなペンチで引き抜いたりはしないですよね。

つまり、より巧みな動作とは、課題をより少ない努力の消費で達成した動作といえるのです!



いよいよ、次回で最後です。
巧みさの核心に迫っていきたいと思います!

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