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#8 ベルンシュタインから考える②『運動制御について』
今回は、
運動の組織化はなぜこんなにも複雑なのか?
この問いからスタートします。
ベルンシュタインは、この問いに3つの答えを挙げています。
1. 運動器
人間は極めて細かな動きをします。
特に、人間は他の動物と比べ、肘より先が有利とされます。
具体的には、前腕回内外(肘を固定したまま、手のひらを上下に向ける動作)や対立動作(親指と小指をくっつける動作)が出来るのは人間とサルだけです。
この様に、人間の関節構造は大変複雑なため、体幹を動かさず、腕を動かす事も可能です。
つまり、人間の動きは非常に自由度が高いといえます。
2. 感覚系
先ほど述べたような自由度の高い運動をコントロールするためには、どの様なシステムが必要なのでしょう。
これについては、感覚器が動作を綿密に制御する必要があります。
感覚器が、その時の動作に最も適した感覚調整動作が遂行されていきます(このためには感覚のレパートリーが必要!)。
自転車駆動を例に挙げてみると、三輪車より乗りこなすのは難しいですが、一旦乗りこなせる様になると再び三輪車に乗りたいとは思わないでしょう。
不思議な表現ですが、感覚調整が適切に行えるようになると、柔軟性や操作性の高い二輪車の方が安定していると言えます。
3. 筋の弾性特性
運動制御の3つ目の要素として、筋の弾性特性を挙げています。
これは一見すると、理解が難しいですよね。。
ゆっくり見ていきましょう!
筋繊維(横紋筋)は運動のエンジンとなります。
この筋肉が働くことにより、複雑な動きが可能となります。
しかし、筋肉は収縮する際、その力は不安定で、正確というわけではなく、そのうえ弾性を持っているという特徴があります。
言い換えると、同じ動作を、同じ力で行おうとしても、毎回結果が違う事があるといえます。
これは筋の弾性要素により、制御できない要因に左右されてしまうからです。
具体的な例として、「大砲」が挙げられます。
同じ傾きで、同じ火薬量で、発射したとしても毎回着弾地点は異なる事が想像できますよね。
これは空気の密度や風、上昇気流など、予測不能な要因に影響されます。
しかし、それらを踏まえ修正していくと、正確性は増していきます。
ま、自分自身大砲を打ったことはありませんが..苦笑
運動の協応とは何か?
ベルンシュタインは、この章を以下のようにまとめています。
協応とは、運動器官の冗長な自由度を克服すること、すなわち運動器官を制御可能なシステムへと変換すること
「冗長」とは、必要以上に物事が多く無駄なこと、長いこと、またはその様子とされます。
この自由度が高い運動制御には感覚制御が大事であり、運動制御と感覚制御のループ、つまり循環的なプロセスが重要であると述べています。
なお、感覚受容器の中で、総括しているのは前庭器官であるとしていますが、単一の感覚が重要なのではなく感覚の組み合わせが大事だと結論づけています。
今回は少し難しい話になりましたが、次回はここに至るまでの動作の歴史について見ていきたいと思います!