ドイツに帰化するメリット・デメリット
2024年6月27日からドイツの改正国籍法が施行され、滞在5年(今までは8年)でドイツに帰化できるようになりました。
帰化の条件
・無期限滞在許可
・ドイツ語B1の証明・口頭面接での十分な意思疎通
・ドイツ常識テスト Einbürgertest
・経済的基盤(配偶者のもの含む)
・手数料255€
などがあり、さらに以下のような条件まであります。
ドイツ基本法の自由民主主義の基本秩序と、国家社会主義(ナチス)による不正な支配とその結果に対するドイツの特別な歴史的責任、特にユダヤ人の生命の保護、諸民族の平和的共存と侵略戦争の禁止へのコミットメント。
▷ 連邦内務省該当ページ
国是であるユダヤ人の保護とそれによって生じるダブスタをドイツは今後どうやって消化していくんでしょうかね??
それはさておき、帰化したらいったいどういうメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット
無制限に外国滞在可(永住許可でも半年または1年まで)
EU内どこにでも居住可
EU内ならどこでも労働可
選挙権獲得
国からの優先的な庇護
滞在許可の延長がいらない
デメリット
日本国籍は失う、ただし日本への再帰化は一度だけ可
アイデンティティー??
メリットについて
有事においてまず国が守るのは国民です。滞在許可のある外国人はその次です。
例えば、コロナでフライトがキャンセルになり2万人のドイツ人が休暇先から帰国できなくなりました。国はチャーター便を出してそのような人たちを帰国させました。その時外務省のサイトで確認したところ、まずドイツ国籍のある人とその家族が優先、次に滞在権のある外国人も搭乗可能になることが明記されていました。
ヨーロッパ・ドイツでは家族は同等に扱われますから、夫婦のうちの片方がドイツ国籍になることで有事に家族を守ることができるかもしれません。
外国旅行中にドイツ大使館に庇護を求めることもできますし、戦争・紛争に巻き込まれた場合にも差が出るかもしれません。
自分が生活し、自分の子供たちが育っていく国の選挙権を持ち、一票を投じることができるというのも重要と思います。
デメリットについて
外国籍を取得すれば日本国籍は失われます。日本での選挙権ももちろん失います。
ただし一度だけ再帰化はできます。
ドイツと違い日本では、例え家族や自分の子供であっても外国人は別扱いされます。コロナ禍で外国人の入国が拒否された時も、自分の夫や子供が入国できない、親の介護にいけない、葬式にいけない、ということが実際にありました。
私の家族も一時帰国を予定していた時に、外国人入国禁止になり、日本国籍の妻と日独重国籍の長女は入国できるが、ドイツ国籍しかない私と次女は飛べない、ということで一時帰国を取りやめたことがありました。
再帰化はできるので、ドイツ国籍を取ってドイツで生活、老後日本に戻りたい再帰化するということは可能です。
ビザなしで渡航できる国の数
先進国のパスポートならどこでも170カ国以上にビザなし渡航ができるのでほとんど違いはありません。
2024年7月現在はドイツパスポートのほうが強く、日本人は中国渡航にビザが必要なことです。あとはソマリアとガンビアでもビザが必要ですが、これが必要な人はそうはいなさそうですね。
アイデンティティーと国籍
国籍はアイデンティティーだからそれを奪われるのは精神的に耐えられない、という人もいます。
私自身は国籍などという単に制度上の概念には自分のアイデンティティーは全くおいていません。自分にとっては帰化するのは、永住許可の延長で一段階上の資格取得程度の意味です。
ドイツ国籍を取ったからといって、見た目が外人になるわけでもなく、日本で生まれ育った記憶が消されるわけでもなく、何も変わりません。
まあこれは考え方次第なので、人それぞれですね。
でも、国籍という単なる書類上のステータスが本当にあなたのアイデンティティーなのですか?