聖なる犯罪者
“目の前にある事実を信じるな── ”
聖人か?それとも悪人か?
過去を偽り聖職者として生きる男──
実話をもとに描かれた衝撃の問題作
[あらすじ]
少年院で出会った神父の影響で熱心なキリスト教徒となった20歳の青年ダニエルは、前科者は聖職者になれないと知りながらも、神父になることを夢見ている。仮釈放が決まり、ダニエルは少年院から遠く離れた田舎の製材所に就職することになった。製材所への道中、偶然立ち寄った教会で出会った少女マルタに「司祭だ」と冗談を言うが、新任の司祭と勘違いされそのまま司祭の代わりを任された。司祭らしからぬ言動や行動をするダニエルに村人たちは戸惑うが、若者たちとも交流し親しみやすい司祭として人々の信頼を得ていく。一年前、この村で7人もの命を奪った凄惨な事故があったことを知ったダニエルは、この事故が村人たちに与えた深い傷を知る。残された家族を癒してあげたいと模索するダニエルの元に、同じ少年院にいた男が現れ事態は思わぬ方向へと転がりだす…。
先日、上田映劇でみた「聖なる犯罪者」
タイトルの通り、”聖”なるものと俗世界における”犯罪”という概念の対立というか共存というのか。非常にセンセーショナルにその問いに向き合わされる作品だと思いました。
東洋の伝統やギリシャ神話においても悪の神というのは存在している。一神教的価値観以前の世界においては当たり前に”聖”を宿した罪人がきっと存在したのだろうと改めて感じました。
時に罪を犯し、しかしながら荒んだ町の人々を導き束ねる存在を、僕たちは善悪という価値観によって判断しなければならない。善か悪かと単純な判断によって、強く批判を浴びせるような現代社会では、所詮は人間の行う判断に少しばかりの謙虚さを持つべきなんだと思います。
そして、一方で聖なるものへの警戒心も忘れてはならないとも思います。
身分を偽って聖職者となった彼は、聖書ではなく自らの言葉で語ります。それは、聖職者が神に成り代わる行いとしてカトリックではタブーとされているそうです。現実に存在した彼がどんなカリスマを持っていたのか非常に興味がわきますが、彼の存在はキリストになったということなのでしょうか。
聖なる犯罪者、上田映劇で7日まで公開していますので気になる方はぜひご覧ください。http://www.uedaeigeki.com/now-showing/7140/