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猿の船長と牛の煎餅

小さな5トンクラスの観光船で東伊豆の初島に向かっている。出航した港は見慣れない処だ。普通なら熱海港か伊東港なのだが、この風景は稲取港あたりかと思うが、どうも見慣れた天城の山並みが少し違うな…少し違うのだ。

早くも紅葉が始まっているのだが、でも何かが違う。船が変な揺れ方をしている。それほど波がないのに、右に左にローリングしている。時々、上下に揺れるピッチングまで…!

操舵室を覗くと、なんと猿がラットを握っている! これは船会社の観光演出なのだろうか?だったら、もっと上手に操船しろと思う。

今どきの季節は、初島の左側海域はブリ、右側はヒラマサが釣れるはずだがなぜか釣り船が見えない。怪訝に思う。

島の中は、普段はそれほど観光客は多くないのだが、原宿の竹下通りのような混雑だ。三密なんてものじゃない。ソーシャルディスタンスなどどこ吹く風だ!それにマスクを誰もつけていない。あっ、俺もつけてないぞ!

なんとか入れたカフェでコーヒーを飲みたいのだが、ホットミルクしかないのだと云う。売店のお兄ちゃんは客を無視して昼飯を食っている。いい匂いなので覗いてみた。

おかずは見たことのない動物の蒸し焼きだ。煎餅のように平べったくなっている。よく見るとそれは牛だった。

ホルスタインの30センチほどの子牛だ。どうやって食うのか見たかったのだが、なぜだか気持ちは飲みそこなったコーヒー探しへ目が行ってしまうのだった。とても気になるのに見る事が出来ない。

そのまま、目覚めてしまったが、すごく残念な気分だ。なんとか牛の丸焼き煎餅を喰ってみたい!二度寝して夢の続きをと思ったが駄目だった❣




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