女性にかぶりついた!その人は…❣
どうやら小学校の廃校にいるらしい…大きな道路に面していて、反対側には公園も見える。
教室の中には、中央に学習机を集めて造られた即席のステージがある。 そのステージ上から、汚い衣装の…男が一人…狂ったように台詞を叫んでいるのだが、何を言っているのか理解不能だ。
その男…先ほど校庭にいた男だ!背中に焚き木を背負って、分厚い本を持っていた。二宮金次郎さんじゃないか!
あれっ!彼をこの芝居にキャスティングした覚えはないぞ?なんで彼が?
金次郎は舞台の下手から、下にいる客席の女性…髪の毛の長い、可愛い女性に狂ったように台詞を叫んでいる…
何を言っているのか分からないが、あのアクションでは口説き文句の台詞だろう。彼女も台詞で応えている。
二人の顔が接近している。金次郎が舞台下の女性にしゃがみこんで顔を近づけている。女性は逃げずにうっとりしている。
俺は、そんなストーリーは書いていないぞ! 突然!金次郎は女性の顔にかぶりつき、彼女をくわえたままステージ上にせり上がってきた。
客席から怒号があがる! 悲鳴も聞こえる! 俺は舞台の袖から駆けつけて金次郎に飛び掛かった。そして殴りつけたのだが、どうにもパンチが上手く当たらない。
相手はグニャグニャで、全くパンチが効かないのだ。 金次郎が笑いながら言った。
「あら、ごめん仕った」…女性も言った。「ごめんね」
そしていつものマジメを装い、校庭に立ち尽くすポーズに戻ったのである。俺は混乱した!ステージの上でこの先の芝居をどう進めたら良いのか分からない。
どうしようか…どうする…どうしようか…どうする…どうしようか…どうする…自問自答の内に、また深い眠りの世界に戻ったらしい(笑)