婆さんだらけのバスの中❣
久しぶりに泊まった和風旅館の部屋は、相部屋らしい。親しい制作会社社長の息子Tと知らない女の子と俺が川の字で寝ている。
なぜ寝ているのかが疑問で、起き上がり他の部屋を点検に出かけた。各階が非常に入り組んだ複雑な設計で、スゴイ人数のお客でごった返している。 映画で観たお伊勢参りの旅籠のようだ(笑)
人々をかき分けて何かを探す。何だかはわからない。兎に角探さねば… 突然、これからテレビの収録がある事を思い出した。そうだ!バスに乗らなくちゃ…
外へ出ると、とんでもない田舎町なのに青山で話題のブティックもいくつかある。アメリカ製のインディアンの自転車をバス停に置いて、バスに乗ろうとすると、大勢の婆さんたちが前の老人専用バスに乗ろうとゆっくり歩いている。
歩けない婆さんもいるので、おんぶしてやろうと思ったが、婆さんの数が多すぎたので止めた。
俺も老人専用バスに乗り込んで、200円を機械に入れる。受け皿に1円玉や ニセ硬貨や30円玉まである。
俺は自分のお釣りの30円を取り、それを物欲しげな婆さんに渡した。とにかく婆さんだらけのバスの中、婆さんの佃煮だと呟く。
バスの中にテレビ朝日のプロデューサーで、人の好いT岡さんがいた。 そして牛乳の当たり券のようなものを呉れた。
「河村ちゃん、何処へ行くの?」と、聞かれたので、 チャンバラの真似をして「武道館!」と、答えた。
答えてから、武道館へ何をしに行くんだっけと考えた。何をしに行くのか分からないのだ。弱った…老人専用バスに乗るんじゃなかった。老人ボケが移っちゃったぞ!
婆さんたちが不信の目で見つめている!やばい! どうしようともがいていたら目が覚めた。
良かった!周りに婆さんたちは居なかった(笑)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?