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ヤクザから無理な注文が…

潮の香りがするから、いつものマリーナだろう。のんびりコーヒーを飲んでいるとスマホに着信が。

ディスプレイを見ると、なんだか家紋のような印が…あれっもしかして…と電話に出ると、低音の妙にかすれ声の男だ。

要件を聞くと、あんたの番組で売っていたドスを買いたいと云う。   「ドスって?」                          「ヤッパや!」                           ヤッパはヤクザ渡世の言葉で刃物の事だが、そんな通販番組は知らない。「あんた、人違いじゃないのか?」「兄さんの番組や、調べはついとる」 どうやら相手は本物のヤクザらしい。

しかし俺は、渡世人の友だちも多いから、こんなことでは驚かない。  「ドスが欲しいとはね…」と言って思い出した。

俺がプロデュースしたお笑い番組だ。その中でコメディアンに通販番組のコントをやらせた。そのコントで売ったのが、ドスだった。

確かにコントだから、ヤクザ向けにドスを売る内容だった。このドス持ってりゃ男前があがるぜ!天下御免のドスだよ、お兄さん!なんてやっていた。

その事を電話の男に説明すると、件の男が怒り出した。これからそっちへ行くと言う!

「おお、来るなら来い!上等だ!」俺は威勢の良い言葉を返しながら  「ふん、ヤクザが怖くてプロデューサーができるかい!」と強気だが本当は来てほしくない。

「どうしようか…」と呟きながら目が覚めた。良かった!

因みに、ドスはヤクザの言葉で刃物のこと。刃物で「おどす」のドスだ。最近のヤクザは暴対法が厳しくて、そんなものは持っていない。

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