目指せ!サイラ~!!
あの日から2週間が過ぎ、そろそろ通常営業に戻りつつある身体と心。素敵な思い出を振り返り、出来るだけ詳細に記憶しておく必要があると強く思う。トレニックワールド100mile in 彩の国。2年間告白し続けてフラれ続けた彼女に1回だけデートしてあげるわよ。そんな彼女とのデートは、かなりタフだ。ニューサンピア埼玉おごせ。ここを拠点とし3ループで100mile を35時間
で走りきるという国内最難関デートなのだ。
1ループ目:North 53.3km D+3315m
2ループ目:South1 53.6km D+3325m
3ループ目:South2 53.4km D+3350m
総距離160.2km。
累積高低差9990m
オフロード128.5km(80.2%)
この難デートの為に取り組んだ事。走力アップの為にフルマラソンPB出す、週一回の練習会にも参加してインターバル走したり、ぜぇはぁ~言う練習を取り入れ、上り力アップの為に階段練や坂道ダッシュの練習量を増やす。股関節・背中・足廻りの筋力アップ、暑熱順の為サウナ通いを増やす。3週間前から禁酒、禁カフェイン。仕事も少し先行して片づけておいたし、自分なりにやれる事は全てやり切ったつもりだ。
九州からこのレースを完走した者はまだいない、キツイ山練を共にした戦友達とパシャリ!飛んで逢いに行くぜ!彩の国!気持ちが高ぶる!
空港からは写真の仲間達とは別行動で、以前福岡に居て、現在関東在住の仲間が空港に車で迎えに来てくれて、道中で不足分の食糧や当日の朝食を買い込んで会場入り。
そして今回もプロペーサーに最後の一周、South2を先導して貰えることになり、贅沢にも2人のサポートを受け万全の体制で本番に臨む!
このレースの過酷さ故に、何度も試走を重ねてコースを身体に叩き込み分岐など細かく確認しておくことが完走への近道だ。とは言うものの九州なもんで・・・。試走など出来る訳もなく、YouTube やブログをググってみても、ピンとくる筈もなく、いつも練習してる里山的なトレイルを細かく上ったり下ったりする感じかなぁ~ぐらいの曖昧な認識しかないが、しょ~がない。1番肝心なのは天候だ、暑くなればかなりタフだ、脱水や股ズレに気を付けないといけないんで、少し雨降るくらいが丁度いいが。あと最後は運だ!
●レースプラン
レースプラン?今までのレースで考えた事も無い、坦々と進んでゴールを目指す。これ以上も以下もない。関門時間なんて気にした事も無いし、レースキャリアの中で一度もDNFした経験もは無い。が、しかし、今回に限っては先ずは完走!1周目:9.5時間 2周目:12時間 3周目:13時間 で34.5時間。2周目が終わった時点で22時間30分を超えると3周目には進めない。そして3周目は各CPごとに関門時間が設定されていてキツくても走らないと間に合わないだろう。はたして3周目に進めるだろうか?ペーサーに仕事をして貰えるだろうか?3周目に進めたならば後はペーサーの足元だけを追って必死で喰らいついて行く!そして、関門時間1分前でゴールに倒れこむ!完璧なプランだけど、超スリリングでタイトな展開のシリアス・シナリオだ。
理解に苦しむマップに書き込んだり、タイムスケジュールを作ったりもして。ただ、ここ最近は老眼が激しく果たして夜のレース中に見えるのか?
●North!
天気は曇りで涼しい!これ以上に無い天候だ。今回完走しなくて、いつするんだよ!ツイてるぞ!俺。今までのレースとは確実に違う心境で緊張もしたし、やったるぞっ!って、アドレナリンが出てくる感じもある。が、しかし冷静に飛ばし過ぎることなく、抑え目に、かつ、自分の普段のペースより若干速めを意識してAM7:00スタート!35時間限定デートの始まりだ!とても涼しい!けども・・・。CP1(刈場坂峠)に着くころには豪雨!になり、まぁ、自分の思い通りの天気になる筈もなく。一緒に来ていた福岡メンバーとも、ちょいちょい逢いながら先を進む。CP3ではライトチェックがあり、まだザックの奥深くに入れていた物を引っ張り出すのに手こずった。
Northでは計4ヶ所のエイドがあり。それぞれでフラスクの水分補充を終えたら充実したエイド食をゆっくり堪能する余裕も無く、そそくさと出発した。多分30km過ぎた辺りか?ぬかるんだ下りで滑りコケ、着いた右手脇の筋肉を伸ばしてしまい、かなり痛かった。が、直ぐに立上り両手が泥だらけになったが構わず前進!泥の川になっている箇所も多々あり、雨降りすぎやんか~!と泣きたくもなったぞ(涙)ズッコケながらも1周目終了!ニューサンピアに9時間21分でIN。予定は9時間30分。ほぼ、工程通りに到着。サポートのグリちゃんに再会、直ぐにフラスクの水交換。熱々のおしぼりを用意してくれていて、凄いサッパリした!関西や関東の久々に逢う面々にも元気貰った~!汗と泥にまみれたTシャツだけ着替えジェル補充、泥んこのシューズも替えたい気持ちもあったが、またどうせドロドロになるんでそのままで。まだ明るかったがナイトセクションに備えてヘッデン装着。滞在時間僅か12分。こんなに急いで大エイドを出るのは初めてだ、仲間とゆっくり談笑したい気持ちを抑えて「絶対!絶対!関門前に戻って来るけん!!」強く決意宣言して2周目、South1へGO!こっからが勝負だぞ!!
●South1!
暫しロードを進んで再びトレイルへ。さぁ、自分に確認、脚痛い所:ナシ。胃腸の具合:良。やる気:優良!。後半型の俺はは50km過ぎてから調子でるんだよ!って、いつもの強がりで前進。CP6(桂木観音)60kmほどから暗くなり始めヘッデンON。ナイトセクションの始まり、まだ雨は降ってたかな?しかも、かなりガスっていて走り辛く、なかなかリズムが作れない。なんて思っていた矢先CP7(kinoca)まで、もう直ぐの下りでまた転倒!同じ様に右脇を伸ばし、いてェ〜!!まだ先は長いぞ!焦るな!お利口さんに走りなさい。その昔、ヤマケン(山本健一)さんに教えて貰ったことをなぜか思い出しエイドに辿り着いた。先ずは泥だらけの手を洗い水補充をしてエイド食と一緒にカフェインピルを2錠飲込む。眠い訳でも無かったが、せっかく禁カフェインしたんで、その効果を感じたい!って言う好奇心によるものだ。まぁレース中でテンション上がった状態より、眠気を感じてから飲むべきだったかなと今では思う。ここからが天覚山への急登!とにかく長かった。でも、みんな強かった!若者もオッサンも女性も。グイグイ力強く休むことなく登る上る!流石は彩の国。関東一円または全国から猛者強者が覚悟を持って集まっているなと感じた。登り切ってからも細かくアッップダウンの続くまさに里山地獄!下らされて、また急登。やっとの思いでCP8(竹寺)到着。水補充と何かを食べてさっさと出発、そしてまた登らされて子の権現というところから長く下らされて、また急登やんか!気合でCP9(高山不動)到着。関八洲というところを超えれば長い下り。ドロドロ・ズルズルなトレイルをコケながら滑りながら先を急いだ。もう2:00前後だったろうか?この深夜帯を眠気でスピードが落ちないようにする事は重要テーマの一つで対策はカフェ禁によるカフェイン投入や、いつものブラックガム、今回はもう一つ骨伝導イヤホンで、ポッドキャストを聴くオプションを増やした。気持ち良く走れたものの当然ながらスマホのバッテリー消費はデカくなる。おそらく1時間も聴いてないくらいで福岡メンバーのエヴァrdと組長に追いついた!仲間に逢えるとこんなにも、ホッとするものなのか!組長に至っては両足テーピングだらけで痛々しい。正に満身創痍。きっと痛み止めも、もう何錠も服用しているかも知れない。負けてられん!勇気を貰った。ここから3人パックでCP10(桂木観音)到着。薄っすらと夜が明けつつあった。夜さえ明ければ、また元気が戻ってくる質だ!結局21時間39分で戻って来れた!大前提だった3周目に挑む権利を得ることが出来た。脚もまだ残ってる。気持ちは勿論折れる筈もない。何よりペーサーの仕事をして貰える、関東に越して間もなく本来なら家族と過ごすであろう貴重な休日を俺の為に割いてくれた。後は球磨川の再現だ!足元だけを見てひたすら喰らい付いてさえ行けば、ギリギリではあるが見事サイラーだ!
●South2!
AM4:52 ニューサンピアOUT。30分少々の余裕を持って出発出来たよっしゃ!もう獲ったど~!あと12時間後にはサイラーだ!なんて話しながら最初のCP12(桂木観音)関門時間はAM6:40。を目指して突き進む。そして俺たちはニューサンピア?に舞い戻ったのである。詳細は省略するが、つまりは道間違いをして気付いた時には、すでに遅し。関門時間に間に合わず終了。夢にまで見た、サイラーへの道はここで断たれた。デートの途中で見事にフラれてしまったのである。
●ま・と・め。
悔しい気持ちは勿論ある。が、しかし、サイラーへの道が断たれたと理解して深く深く落胆した瞬間、また来年も、これくらい涼しかったらいいなぁ~土砂降りは勘弁して欲しいけどな!と、自然に思えた。「また来るんか?お前ホント馬鹿やね!」と、リトル・シゲオの罵声が聴こえたような気もしたが、糞くらえ!また来るわ!全く歯が立たず脚も終わって疲労困憊ならもう諦めただろう。けど戦えた、これまでの取り組みが間違っていなかったと答えが出た。もっともっと強くなって戻って来よう!やっぱりロングレースは人生の縮図だった!人は過ちを犯すし、間違えるのだ。『起こった事を嘆くよりもこれから出来る事を一緒に考えましょう!』ラジオ人生相談のチープな枕ことばが、身に沁みる。
素直に羨ましい!すげぇ眩しい!サイラー達!俺もこの枠に入りたかった。忘れ物は来年必ず獲り来よう。そして素敵なデートを完結させよう!
本当にハードなコースと関門時間設定。だからこそ挑戦する意味がある。来年のコースは全く変わるかもしれないのだが、レース後、帰福してやっと、ブログやYouTubeを観て、あ~ね~!と思うことが出来た。次はもっとクレバーにお利口さんに。最後にペーサーのあいつはどんなゴールシーンを、用意していてくれたのだろうか?
もし、来年またペーサーをしてくれるのならば、その答えも判るのかも知れないな・・・。
To be continued!!