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映画 岸辺露伴ルーブルへ行く 所感
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない の中で出てくる漫画家キャラクターである、岸辺露伴。
幸田露伴と混ざって、人と話すとき【岸田露伴】と間違えて話すことも多い岸辺露伴。(私だけだよね)
【ジョジョの奇妙な冒険】を読んだり視聴したこともなく、ただ【ジョジョ立ち】なるものがあることだけは知っているくらいの知識。岸辺露伴で検索すれば、ドラマもアニメも放映されていたという・・・。テレビ放送を観ていないことを思い知る。
何の知識もなく、高橋一生が好きということでもなく、【ルーヴル】という言葉とハッピーマンデーでお得感があるから、という理由だけで決めた映画鑑賞。
鑑賞直前にネタバレなしの感想などをさらっと読んでいたから、ほんのちょっぴり先入観はあった。中盤までの中弛み感についてとか。
結果的に感じたのは、前半のスローペース(私、こともあろうに結構重要な露伴と奈々瀬との暗闇での対峙シーン、寝かかってた)が、最後の疾走感と結末がより豊かな感情を持ってみていられるのかなとも思う。
前半のルーブル行きへとつながる回想シーンでは、奈々瀬演じる木村文乃さんの妖艶さと不気味さに引き込まれた。この時映画館内が蒸していたのか、旅館の畳のにおいとか、汗のべたつき感とかが想起されて、奈々瀬の汗に妙に生々しい感覚を覚えたんだよね。奈々瀬の黒のワンピースと若かりし露伴の服装の白の対比と、露伴の服の麻っぽい感じも確かに【夏】だった。
その後に野口さんとルーブル内を廻っているときは、映画館内の冷房が効き始めていたからか、クライマックスのZ-13保管庫でのシーンの時には寒すぎるくらいだった・・・。これは映画の演出の一部なのか?と思うほど。
美波演じるコーディネーター?野口さんの美しいフランス語とあっさりした態度に、コレコレ!!フランス人ってこんな感じー-!って思って、私も一緒にルーブルに行ってるかのような気分になった。モナリザとか、サモトラケのニケとか、ちゃんと要点を抑えてて撮影料とかどのくらいかかるのかな、とか、著作権は死後50年程度だし大丈夫か?とか違うところ思ったりしていた。
高橋一生の流暢なフランス語が、話の本筋を邪魔しない感じだったのに対し、安藤政信のフランス語は、あれは逆に東洋人のフランス語を演じているのか?と思ったけど・・・彼のフランス語が気になっちゃった・・私。
Z-13倉庫の【この世で最も黒く、一番邪悪な絵】は本当に素晴らしかった。これは映画館ならではだろうなと思う。時が一瞬止まったよね。私多分息止めてた。でも、モリス・ルブランがこの絵を模写したということならば、この絵を通してみた幻影を描いたに過ぎないってことだよね。
京香もこの絵を見て【きれいな女性でしたね】って言ってるってことは、京香と露伴が見た絵が一緒だったってことだし。
あとルブランって、ブランだけみればフランス語で白っていう意味なのも、なんか含ませてるのかなとか思ったり。
調べてみたところ、この世で最も黒く・・・の黒い絵を手掛けたのは、日本画家の宮﨑優さんだとか。NHKの日曜美術館でも紹介されたことがある女流作家さん。美人画を描かれている。日本画で使用する黒は墨の色なので、インクやペンキみたいに真っ黒になることはないけれど、物理的な黒よりも、映画の中での黒の概念(悲しみや苦しみなど)にベースを置いて制作されたものらしい。
あと高橋一生が、二役こなしていたところもなかなか良かった。個人的には、山村夫婦のほっこりしたやり取りと、その後の豹変ぶりがもう心を鷲掴みだったよ。心が本当に痛かった。夫婦の愛と、一生懸命に生きる人々の中で積み重なる遺恨。その怨念が乗り移った黒い絵と絵を通してつながる過去と現代。
絵画を通して作られたヒューマンドラマとも、ミステリーともいうべき作品だったなーという印象でしたー。
全て鑑賞した後に残った疑問は・・・序盤、露伴が落札したモリス・ルブランの黒い絵を盗んで逃げた男が、車に轢かれたような跡を残して死んでしまっているようなシーン。あれは結局何だったんだと思ったり。彼自身の幻想を見せただけ、ってことなのかな。
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とにもかくにも、結構楽しめた久しぶりの映画鑑賞。
入場者特典が第四弾ってことは、この特典欲しさに何度も足を運ばせる商戦ってことなのね・・・。映画業界も大変だな。
最近は映画よりも観劇が多く、遍路、ダイイングレッスン、ハローエチオピア・・・。ハロー、エチオピアは30分程度の演劇だったんだけど、思わず泣いちゃったよね。。。
とにもかくにも、今度はレイトショーで怪物を鑑賞することを心に誓ったのでした。