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鮫とオオタニと私 APPENDIX

鬱病について

 2015年1月、オーバーワークによる鬱病と診断されました。躁エピソードがないことから、双極性障害(いわゆる躁鬱)ではなく鬱病ですね。治療開始当初は、仕事から一端解放された安心感もあり、本当に動けませんでした。布団から這い起き、トイレや食事など最低限の用事を済ませたら、また布団に戻る。そんな生活でした。

 鬱病はよく「心の病」などと言われますが、「気分が乗らない」などといった感覚的なものではなく、ナイアシンやセロトニンの欠如など明白な原因があります。わかりやすくいえば、ストレスに体や脳が耐えきれなくなった状態です。非常に強い身体症状も伴います。体が鉛のように重くなり、起き上がれなくなります。眠れなくなる人や、眠りすぎる人もいます。私は鬱病になる前はショートスリーパーでしたが、鬱病になって以降10時間から16時間ほどの睡眠を取るようになりました。午前中はほとんど使い物になりません。どうしても10時から用事があるなんて場合は、前日は20時くらいから就眠準備を始めます。

アルコール依存症について

 鬱病と共に医師に指摘されたのが、アルコール依存症です。もともと日々お酒を嗜む習慣があり、毎夜2リットルのビールを消費していました。日本酒なら3合以上は飲みます。

 アルコールは、気分に大きく作用します。つまり、鬱病とアルコールの組みあわせはよくありません。飲酒量を減らすよう指示されましたが実行できず、アルコール依存症の烙印をいただきました。そこから2年間の断酒生活に入ります。

 本来、アルコール依存症は不治の病であり、一度断酒をしたら二度とお酒を楽しむ生活には戻れません。しかし2年間の断酒を、薬の力を借りずに遂げたことで、断酒から節酒へと医師の指示は変わりました。プライベートでお酒を嗜むのはよしとするが、仕事では飲まないこと。仕事のつきあいで飲み始めるとキリがなく、自分ひとりでコントロールもできないからです。

 仕事でお酒を飲まないために、仕事での移動に公共交通機関を使うことを止められています。クルマで行き、お酒を飲めない状況に自分を追い込むことで飲酒をコントロールするためです。クルマの運転があるのに飲酒を勧めれば罪に問われますから、断る口実としても角が立ちません。そういう理由があるため、今後も、どこにでも、クルマで取材に行きます。

 クルマで行くといいことがいっぱいあります。地方でがんばる人の話を聞く前に、その街を走り、お土産店ではなく地元のひとと同じスーパーで買物をし、街の雰囲気を肌で感じ取れるのです。その点でも、公共交通機関よりクルマ移動を続けたいですね。

キャンピングカーについて

 取材のアシに使っているキャンピングカーですが、元々はプライベートで使っていたものでした。現在乗っているのは3台目で、最初に買ったのはこんなクルマでした。

 1969年式VWタイプ2ベース、ウェストファリア製のキャンピングカーです。ウェスティという愛称でかわいがっていました。1600ccの空冷水平対向4気筒エンジンは40馬力ほどの出力しかありませんでしたが、日本中を元気に走ってくれました。2年半ほど乗りましたが、子供の成長が予想より早く、家族4人で寝るには手狭になってしまいました。

 そこで乗り換えたのがこちら。V型8気筒5900cc、ボディサイズは全幅208センチ、全長で598センチと、ショートボディのマイクロバスに迫ります。中は広くパワフルなエンジンは長距離でも快適な移動を支えてくれましたが、雨の日にスリップ事故を起こし、廃車に。自爆の自損事故でした。

 そして3台目、現在の愛車がこちら。マツダボンゴトラックベースの国産車です。2000ccのガソリンエンジンはボディサイズに対して非力で、高速道路の区間によっては法定速度に遠く及ばないほど。しかしのんびりマイペースで遠くまで行くには、気楽なアシです。子供が大きくなり週末に家族で出かけることも減り、現在はほぼ取材専用車です。

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