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『メルカリ』という映画の中で、ネオのように目覚めて、タイラーのように生きている。episode 20

●Go Bold


2018年秋

僕は生まれて初めて、
六本木ヒルズにやってきた。

こんなオシャレな雰囲気の中、
自分が場違いなことなんて百も承知だ。


いよいよ
メルカリアスリートになるための面接だ。
緊張していて、
30分以上早く到着した。
少し歩いてみると、
知らない名前の
お洒落で高そうなお店ばかりで、
そんな中にマクドナルドを見つけて、
何だかほっとして、
コーヒーを飲みながら、
リラックスを自身に言い聞かせたことを思い出す。
約30分後、
森タワーに入り、(株)メルカリのオフィスにやってきた。
これまで社会人として、
25年以上働いてきた、どの職場とも違う空気、
そして
メルカリアスリート担当者である面接官も、
これまでの自分の常識とは全く異なる、
自由でフレンドリーな雰囲気を纏ったお二人だった。
僕は
『格好付けるのは止めよう。嘘、大袈裟、紛らわしい話なんて問題外。とにかく心のままに、泥臭く本音を話そう。』

それだけは決めていた。
そしてその上で、

『GoBoldに自分の夢を語ろう』と・・・

●マトリックスとファイトクラブ


映画は素晴らしい。

『映画の世界の中では、不可能なことも可能に出来る。』
昔、映画好きの親友が話してくれた言葉だ。

世の中の常識とか、
これやったら恥ずかしいとか、
限界とか才能とか、
実は自分自身で、知らぬ間に築いている。
気付かぬうちに築いていた、
"自分らしさ"の檻の中で、みんなもがいている。

映画『マトリックス』の主人公、
遅刻ばかりのダメ社員アンダーソン君は、
ずっと心の中に、違和感を抱えていた。
何か違う、何かが違う。
だけどその答えが分からない。
それでもずっと
違和感の理由を探していた。



映画『ファイトクラブ』の主人公"彼"は、
物に支配され続け、
他人の不幸を目の当たりして、それで
ほっとするような、
消費社会の奴隷かと思われた。
しかし"彼"は、
実はクラブの悪魔的カリスマ。



ネオと
タイラー・ダーデン。

きっと大切なことは
自分自身の意思で『選択』することだ。

●フィールド・オブ・ドリームス


『わたし、結構 "人を見る目"、あるんですよ(^^)』

面接官だった
メルカリアスリート人事担当者の言葉。

メルカリアスリートになることが決まっても、

『ホントに自分でいいのだろうか?

何かの間違いなんじゃないだろうか??』

と、
いつまでも自信無さげな僕を、
落ち着かせようと気遣って、発してくれた一言だったと思う。

気遣っての言葉であったとしても、
何だか安心する、
最高に嬉しい一言だった。

サッカー、バスケットボール、水泳、陸上競技、

メジャースポーツであり、女にモテそうな
爽やかパラアスリートばかりの中、

唯一の格闘技系メルカリアスリート、
さらに
唯一のover40メルカリアスリートに
僕はなった。



客観的に考えてみると、
"40代半ばで、格闘技系のパラアスリート"
というキャラクターは、
確かにマイノリティではある。

僕がいま"ここに居る"要因は、

大きくわけて二つある。

一つは、
人との出逢い、人の"縁"に恵まれていたこと。
これが要因の80〜90%。

そういえば映画好きになったのも、
高校生の頃に出逢って、
いまも仲良くしてくれる、
リスペクトしている先輩の影響だ。
この先輩も、自分の意思で
ワシントンの大学へ行き、卒業し、
自身で道を切り開いてきた。
回りに流されない姿に、かなり影響を受けてきた。

そんな巡り逢いを大切にして生きてきた。

そしてもう一つは、
大小ある人生の転機で、
他人に流されず、
だけど信頼している人のアドバイスに耳を傾け、
その上で
自分自身の意思で『選択』してきたこと。

正しかったとか、間違っていたとかではない。

最終的に自分が、"こっちの方が面白い!"と思う方を、『選択』してきたことに意味がある。

映画の世界の中では、
不可能を可能に出来る。

物事が上手く行かない時、
僕はいつも、大好きな映画の中で、
現在の自分の状態に似たシーンを
記憶の中から
引っ張り出す。

そして心の中でニヤつきながら、
逆転のクライマックス・シーンを思い描く。

『いまこの場所が映画だ!』

そう思うと、苦しいことを少し忘れて、
ちょっとだけワクワクしてくるから不思議だ。

40代も終わりに近づいて来たが、
僕にはもう少しだけ
『夢の続き』がある。

メルカリという映画の中で、

ネオのように
タイラー・ダーデンのように
ピーター・パーカーのように
マーヴェリックのように
神永新ニのように

僕はもう少しだけヒーローを目指す。

(完)

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