井上靖文学碑 風景印と記念碑
鳥取県日野郡日南町にある日南福栄郵便局の風景印には井上靖文学碑が描かれています。
井上靖は戦後日本を代表する小説家です。その疎開先で縁のあった土地を歌った文学碑は地元の宝といえます。
井上靖(1907-1991)
1907年(明治40年)に北海道旭川市に生まれました。父は軍医で1年で旭川を離れ、静岡県で幼少期を過ごしました。
1936年(昭和11年)京都帝国大学卒業後、大阪で新聞記者として働き始めますが、翌年軍隊に召集され中国に駐屯しました。作家としては、在学中から懸賞小説に入選するなどしていました。
井上靖の代表作には以下のものがあります。
「闘牛」(1949年、芥川賞受賞作)
「氷壁」(1956年)
「天平の甍」(1957年)
「敦煌」(1959年)
井上靖の小説は、歴史小説と現代小説の両方で卓越しており、特にアジアの歴史と文化に深い造詣を示しています。精緻な文体と心理描写、そして壮大な歴史のスケールを巧みに融合させた作品が多いのが特徴です。
1976年(昭和51年)には文化勲章を受章、1984年(昭和59年)には国際ペンクラブ副会長を務めるなど、日本を代表する文学者として活躍し、1991年(平成3年)の死去後勲一等旭日大綬章を贈られました。
井上靖は1945年(昭和20年)6月には妻子とともに鳥取県福栄村(今の日南町)に疎開します。
疎開先での生活や中国山地の自然は、「通夜の客」や詩「高原」「野分」などの作品に描かれています。特に、日南町を「天体の植民地」と表現した詩が、文学碑にも刻まれています。これらの結びつきが「井上靖記念館 野分の館」の設立にもつながっています。
記念碑の地図
文学碑は記念館「井上靖記念館 野分の館」にあります。
碑文
日南福栄郵便局
風景印は郵便局で押してもらえる絵入りの特別な消印で、色は赤茶色です。郵便窓口に「風景印を押して出してください」とお願いすれば、差し出す手紙やはがきに押してもらえます。また、85円以上の切手を貼ったカードなどに押してもらえます。その場合、差し出さずに持ち帰ることができます。
風景印は1987年(昭和62年)6月22日から使用開始されたものです。郵便窓口は平日のみの営業です。