第106回日本陸上競技選手権決勝振り返り・4日目

第106回日本選手権(6/9~12、ヤンマースタジアム長居)の結果を、決勝の開始時刻順に振り返ります。
世界選手権終了後の更新となってしまいましたが、大会の結果を反映していない文章である旨、ご了承ください。

今回の更新は4日目。3日目とは打って変わって晴天でした。

※参加標準はオレゴン世界選手権参加標準記録
※()は生年の下2桁
※順位の選手氏名は敬称略

女子砲丸投 参加標準18m50 日本記録18m22

優勝 郡菜々佳(97) 15m57
2位 小山田芙由子(01) 15m37
3位 尾山和華(99) 15m18

郡選手が6投目で逆転し、2年連続5回目の優勝。円盤投との二冠を達成しました。
世界との隔たりが大きい種目ですが、若手選手が上位を占めており、今後少しずつ記録が向上していくことを期待しています。

女子走高跳 参加標準1m96 日本記録1m96

優勝 髙橋渚(00) 1m81
2位 竹内萌(98) 1m73
2位 伊藤楓(03) 1m73
2位 武山玲奈(00) 1m73 

髙橋選手が自己新記録で初優勝。
優勝記録は4年振りの1m80台となりました。
八木たまみ、福光久代、佐藤恵、今井美希、太田(ハニカット)陽子選手などの名選手に続く活躍を期待したいところです。
なお、7/10の第35回南部忠平記念陸上競技大会において、髙橋選手が1m83、伊藤選手が1m80と自己新記録を出しておられます。

男子やり投 参加標準85m00 日本記録87m60

優勝 ディーン元気(91) 81m02
2位 小椋健司(95) 80m25
3位 新井涼平(91) 78m05

ディーン選手が10年振り2回目の優勝。
前回の優勝が10年前ということも、2回目ということも意外ですが、同い年の新井選手が強いということですね。
ディーン選手と小椋選手がランキングで世界選手権代表となりました。
2000年代生まれの選手が脅かしてくることを期待しています。

男子走幅跳 参加標準8m22 日本記録8m40

優勝 橋岡優輝(99) 8m27(+1.4)  世界選手権代表内定
2位 津波響樹(98) 8m07(+2.3) ※公認8m01(+0.8)
3位 松本彗佑(99) 8m07(+1.9)

橋岡選手は怪我明けでしたが、2年連続5回目の優勝。
世界選手権参加標準記録を突破し、代表に内定しました。
本番での好成績に期待が持てる結果でした。
一時ダイヤモンドリーグへのエントリーもありましたが、国内での調整を優先した模様です。
3位まで8m台。好条件に支えられてか、記録のレベルが高い大会でした。
恥ずかしながら、松本選手のことは存じ上げませんでした。
世界選手権代表には、橋岡選手と山川夏輝選手(5位)の2名が選出。
吉田弘道選手(8位)は、あとわずかのところで出場なりませんでした。

男子砲丸投 参加標準21m10 日本記録18m85

優勝 村上輝(96) 18m29
2位 アツオビンジェイソン(02) 18m08
3位 奥村仁志(00) 18m02

村上選手が自己新記録で初優勝。
安定した投擲が見られました。
注目のアツオビン選手は2位、日本選手権者は1年早かったでしょうか。
女子と同様に世界との隔たりが大きい種目ですが、日本新記録、19m台…と少しずつ世界に近づいていくことを期待しています。

女子400mH 参加標準55.40 日本記録55.34

優勝 山本亜美(02) 56.38
2位 宇都宮絵莉(93) 56.90
3位 松岡萌絵(03) 57.57

山本選手が自己新記録で2年連続2回目の優勝。
56秒台は初でしょうか。この水準の記録を安定して出すことができれば、ポイントでの世界選手権出場も現実味を帯びるのではないでしょうか。
3位の松岡選手も自己新記録。大学から400mHを始めたと記憶しています。
U20世界選手権代表に選出、気が早いですが日本インカレでの山本選手との対決が楽しみです。

女子800m 参加標準1:59.50 日本記録2:00.45

優勝 塩見綾乃(99) 2:04.24
2位 田中希実(99) 2:04.51
3位 樫原沙紀(01) 2:06.37

塩見選手が初優勝。
スタート直後から先頭に立ち、400mを60秒で通過する積極的なレース運びを見せて逃げ切りました。
800mを本職とする選手の矜持を感じるレースでした。
3種目出場の田中選手が終盤で追い込み2位。昨年は3位でしたね。
1500mでは恐らく不本意なレースだった樫原選手が自己新記録で3位。
5位の江藤咲選手も自己新記録、今年のみで自己記録を3秒以上更新しており、日本インカレが楽しみです。
6/22のホクレン・ディスタンスチャレンジ20周年記念大会でポイントを加算した田中選手が、追加招集で世界選手権代表となりました。
参加標準記録は少々遠いですが、ポイントを積み重ねれば出場の可能性が出てくることは、田中選手以外にとっても希望となるのではないでしょうか。

男子800m 参加標準1:45.20 日本記録1:45.75

優勝 金子魅玖人(01) 1:47.07
2位 薄田健太郎(99) 1:47.42
3位 根本大輝(99) 1:47.49

日本歴代3位の記録(1:45.83)を持つ金子選手が初優勝。
2位、3位には今年自己記録を更新した大学院生が入りました。
世界選手権参加標準記録突破者多数のため、ランキングでの出場が見込めないこの種目。
6/22のホクレン・ディスタンスチャレンジ20周年記念大会での参加標準記録突破はなりませんでしたが、複数名の選手が切磋琢磨して挑む姿勢は、いずれ結果に繋がると信じています。

男子110mH 参加標準13.32 日本記録13.06

優勝 泉谷駿介(00) 13.21(-1.2)  世界選手権代表内定
2位 村竹ラシッド(02) 13.31 世界選手権代表内定
3位 石川周平(95) 13.48

織田記念以来のレースとなった泉谷選手が、2年連続2回目の優勝で世界選手権代表内定。
向かい風1.2mというコンディションを考慮すると、昨年の日本記録と比較してもさほど劣らない好記録でした。
2位は村竹選手。前日の予選で世界選手権参加標準記録を突破しており、こちらも代表内定となりました。
昨年は決勝でフライングとなってしまいましたが、取り返した形です。
3位は石川選手。こちらも昨年の決勝でのフライングを取り返しました。
石川選手は本大会の後も海外の大会や6/26の布勢スプリントに出場してポイントを加算し、ランキングで文字通り世界選手権代表に滑り込みました。
高山峻野選手(5位)は布勢スプリントで参加標準記録を突破しましたが、石川選手はランキングで参加権を獲得。日本選手権の順位が優先される要項により涙をのみました。

女子200m 参加標準22.80 日本記録22.88

優勝 兒玉芽生(99) 23.34(+2.6)
2位 君嶋愛梨沙(95) 23.53
3位 鶴田玲美(97) 23.59

兒玉選手が2年連続3回目の優勝。
予選のプラス通過とは別人のような走りを見せ、100m覇者の君嶋選手らに先着しました。
2位の君嶋選手も二冠こそならなかったものの、飛躍の大会と言えるのではないでしょうか。
2年前の覇者である鶴田選手が3位。
予選で兒玉選手に先着した高校生の税田ジェニファー璃美選手は7位でした。

男子200m 参加標準20.24 日本記録20.03

優勝 上山紘輝(99) 20.46(+1.7)
2位 小池祐貴(95) 20.62
3位 鈴木涼太(99) 20.64
上山選手が初優勝。
社会人1年目が飛躍の年となり、ランキングで世界選手権代表に選出されました。
2位の小池選手もランキングで世界選手権代表選出。
7位の飯塚翔太選手は追加での選手となりました。

女子5000m 参加標準15:10.00 日本記録14:52.84

優勝 田中希実(99) 15:05.61 世界選手権代表内定
2位 廣中璃梨佳(00) 15:11.08 世界選手権代表内定
3位 五島莉乃(97) 15:13.53

4日間の最終種目であり、参加標準記録突破済の5名の内4名が参加した本レース。
この日2レース目の決勝となった田中選手が、切れ味鋭いスパートを見せて2年振り2回目の優勝(二冠)、世界選手権代表内定。
私は最後の1周、「わー、わー」と思うことしかできませんでした。
3種目出場、昨年は半信半疑(5000mはDNSの可能性)でしたが、今年は確信に近いものがありました。
昨年覇者で10000mを制した廣中選手が2位。田中選手には後れを取りましたが、さすがの力でした。
10000mで世界選手権代表内定の五島選手が自己新記録で3位。
世界選手権に向けてこの上ないスピード練習になったと推測しましたが、2種目代表を狙っていたようですね。
後日のレースの結果も踏まえ、萩谷楓選手(5位)が残りの1枠を獲得しました。

来年もヤンマースタジアム長居での開催が決定した日本選手権。
どのようなレースが見られるのでしょうか。過程も追いかけたいと思います。

次回の更新は、オレゴン世界選手権日本人選手簡易振り返りの予定です。

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