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【STORY 2024-25 vol.8】 ブロック・モータム|円熟のベテランスコアラー!若いチームを引き上げる道標に

りそなグループ 2024-25シーズン B.LEAGUEで、2シーズンぶりにB1の舞台に戻ってきた滋賀レイクス。Get Louder!をシーズンスローガンに、ホームアリーナを熱く沸かせる戦いに臨む選手のストーリーを紹介します。

第8回目は#12 ブロック・モータム選手です。


「苦しいシーズンだった」ベテランも感じた重圧

「B2優勝」「1シーズンでのB1復帰」にエーススコアラーとして貢献したブロック・モータム。オーストラリア代表としてワールドカップやオリンピックを経験し、ヨーロッパのトップリーグで長くプレーしてきたベテランだが、そんな彼であっても「(B2リーグでの戦いを選んだ)自分の選択が正しかったと証明するためにも、勝たないといけないというプレッシャーは常にあった。結果的にGet Back!(B1復帰)とB2優勝を果たして達成感はあったけれど、苦しいシーズンだったことは確かだ」と昨季の"ミッション"は重圧を伴うものだったという。

サイズがあってアウトサイドシュートも上手いコンボフォワード、いわゆる「ストレッチ4」。昨シーズンはペイントアタックからフワッと浮かす「フローターシュート」の鮮やかさでもブースターを唸らせた"技巧派"の印象が強いが、若かりし頃のハイライトを探すと豪快なダンクフィニッシュを連発するモータムに行き着く。若干、イメージとかけ離れているようにも思うが、日本でもアドレナリンがピークになっている時は、"当時"を彷彿とさせるダンクを何度も見せている。2シーズン前のレバンガ北海道ではB1リーグ個人得点9位、3Pシュート成功率4位(1試合平均42.3%)を記録。そんな豊かなキャリアを持つトッププレーヤーが、昨季あえてB2リーグでのプレーを選択したのには、ワシントン州立大学で共に戦った原毅人代表取締役社長との深い縁があった。

とはいえ、レイクスへ加入した当時は32歳。バスケットボール選手として円熟の域に差し掛かる貴重な1年を、2部リーグでのプレーに捧げるのは難しい決断だったようだ。特に、昨季は開幕から1カ月も経たない10月下旬に、試合中のプレーで足を負傷し戦線を離脱。経験豊富なベテランも「あの時期が最も苦しかった」と振り返る。

「試合に出られない悔しさやもどかしさもあったけれど、一番はチームに申し訳ない気持ちで苦しかった。チーム状況が上向きではない時に怪我してしまったからね」

チームを最優先に考える彼らしい答えだ。その思いもあってか、12月の復帰後は獅子奮迅の活躍で、レギュラーシーズンでは1試合平均20得点以上をマーク。B2プレーオフに入るとさらにギアは上がり、3Pシュート成功率42.4%。平均23.4得点のハイスコアリングスタッツを残している。
 
「自分はチームの一部になって役割を果たし、それがスコアに結びついただけです。それよりも、シーズン終盤はチームとしてハイレベルなバスケットができたことを誇りに思う。その結果がB2優勝だ。B2プレーオフでは一度負けてしまったけれど、それ以降は一度も負けずに頂点まで駆け上がった。これほど充実した気持ちでオフを迎えられるのは貴重だと思う。けれど、やっぱりB2優勝を決めた瞬間は、ほっとした気持ちの方が強かったかな」

 「ほっとした」。この言葉に、重圧と戦ってきた彼の1シーズンが集約されている。

「昨季積み上げたものを昇華させたい」

今シーズンも滋賀レイクスでプレーを続ける選択をし、その知らせにブースターは歓喜した。モータムは「滋賀の街、人が好きになったからさ」と笑顔で話す。そして「レイクスとして昨シーズンに積み上げてきたものを、さらに昇華させたいという気持ちも強かったんだ」と付け加えた。

「今シーズンは選手もコーチ陣も入れ替わった。B1という新たなステージに向けて、しっかりとチームビルディングしていきたいし、その一部になりたい」

今季は経験を買われて副キャプテンに就任。新たな野望もあるという。

「今年のロスターは若い選手が多い。彼らに自分の経験を伝えたいと思っている。世界中でプレーし、優勝した経験も少なからずある。プレー面だけではなくて、選手として生き抜くために必要なものを伝えていくつもりだ。基本的に自分のプレーは変えない、それがポリシーだ。ロスターが大きく変わったからといって自分を変えるのはナンセンスだろう。これが私のマインドセットだ」

リーダーとしての役割を期待されても、モータムのプレーはぶれない。今シーズンもスコアリングを期待されていることには「昨シーズンよりも点を取りたいね」と不敵に笑う。気が付けばモータムのスタッツには得点が積み上がっている。そんな試合が今年も何試合も見られるはずだ。