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フィンランドの旅Vol.3:若者の法
ホームステイを終えて、フィンランド派遣3日目。
Allianssi(アリアンシ)に訪問し、ヤルコ・レイコイネンさんから説明を受けました。
Allianssiについて
Allianssiとは英語でalliance(アライアンス)を意味していて、1992年に設立されました。
ユースワークに関するロビイングや加盟団体への支援サービスなどを提供している中間支援の団体です。133の団体(職員合計は1100人)が加盟しています。また、ユースワークに関する政策立案の会議にもAllianssiメンバーは参加します。
Allianssiのような中間支援(アンブレラ)組織が存在していることで、研修・啓発によって現場の属人化を防ぎ、現場の声を拾って上部構造にあげることで政策に反映できる、まさにハブの機能を担っています。
YouthAct
フィンランドのユースワークを考える上で、最も重要と言っても過言ではないのは、YouthAct(若者法)の存在です。
この法律に基づいて、各自治体がユースワークを行っています。まさに、屋台骨となる仕組みです。
フィンランド青少年NGOの歴史
1880年、フィンランド語やフィンランド文化をどう促進していくかを考えることを目的に、初めての青少年向けNGOが設立しました。
青少年NGOの種類は以下の3つ
①伝統的な教会・宗教系(YMCAなど)
②フィンランドの独立関係
③政治系(民主化運動など)
第二次世界大戦後からフィンランドのユースワークは活発化します。1944年に初めて教育文化省で担当者が設置。
1972年、若者委員会及び自治体のユースワークに対する国の補助金に関する法(The Act on Youth Committees and State Subsidies for Municipal Youth Work)が成立。
1974年に施行された国家ユースワークのための政府助成に関する法(The Act on Government Transfers for National Youth Work)は、国がユースワークについて資金を出すことを認めた重要な法律とのことです。
1992年にユースワーク戦略(Youth Work Strategy)がつくられます。それ以前のユースワークは余暇活動の意味合いが強かったのですが、1990年のソ連崩壊による失業率の上昇を背景に、就業支援の要素も濃くなりました。
このような経緯で、元々は余暇活動であったユースワークが就労支援の意味合いを時代とともに帯びてきているのです。
ユースワークの予算
日本においては、多くの青少年活動が制度設計の外にあり、各団体が独自に資金繰りを試行錯誤して活動を継続しています。
一方で、フィンランドのユースワークは歴史的にも国策として行われてきました。そのファンディングは一体どのようになっているのでしょう。
ユースワークの国家予算は77,000,000ユーロ(2020年度)で、日本円にして93億9400万円(1ユーロ122円換算)になります。
金額にも驚きですが、このうち55,000,000ユーロはnational lottery fundsによって調達されていると言うのです。
national lottery funds、すなわち国営ギャンブルによる利益がユースワークの大半の予算を占めているのです。(ギャンブルの利益は福祉や医療などの予算にも活用されています。)
ギャンブル大国・フィンランド
フィンランドはギャンブル大国としても知られており、スーパーのレジ付近にスロットがだいたい置いてありました。
当然、ギャンブル依存症や格差などの問題につながる温床という見方もできるのですが、それ以上にファンディングにおける恩恵の方が大きいようです。
フィンランドに限らず、北欧諸国はユースワークの予算が日本と比べて潤沢で、羨ましい気持ちすらあります。笑