#18【書評】USJを劇的に変えた、たった一つの考え方
日本における、テーマパークといえば皆さんはなんと答えるだろうか?
きっと「東京ディズニーリゾート」と「ユニバーサルスタジオジャパン」のどちらかだろう。
しかし実はUSJは最初ディズニーの足元にも及ばない存在だったことをご存知だろうか?
そしてそんな存在だったUSJを今の地位まで押し上げたのが、今回紹介する本の著者森岡毅氏である。
経営学・商学を専攻している学生やビジネスマンにとっては知らない人はいない有名人で、彼の代名詞が「マーケティング」なのだか、今回紹介する本はまさにその「マーケティング」のエッセンスを抽出した本になっている。
「マーケティング」という考え方
まずそもそもマーケティングってそもそも何?という人に向けて、本書の中で紹介されているマーケティングの定義をお伝えしよう。
つまるところ、マーケティングというのは、営業のように売り込むのではなく売れていく「仕組み」を作ることなのだ。
日本は過去から現在まで、仕組みを作って効率よくというよりも、気持ちと気合い!のような大切ではあるものの非効率な組織であることが多い。
高度成長期の「24時間戦えますか?」に代表されるように、細々と考えるよりも動いてしまえ精神が根強い。これはこれでいい面でもあるがやればやるだけ成長していた時代と今は違う。
行動と同じくらい頭を使って「戦略」を作る必要があるのだ。
戦略の重要性
本書において一貫して主張されているのが、「戦略」の重要性である。この、戦略とは経営学的、マーケティング的文脈において、「限りある会社の資源を、他者と比較して勝てるように配分すること」と定義される。
要するにいかに自分の会社の資源を効率よく使って勝つのか?という至って簡単なものである。
そしてなぜ戦略が重要かと言えば、それは会社に存在する資源というのは有限だからである。
もし仮に企業が無限のお金と人とモノを持っていたとしたら資源配分など考えずとにかく全ての市場に量を投入していけば必然的に物量で勝てる。
しかしわかる通り実際はみな有限の資源しか持たない。具体例で考える。
例えば資源を100持っていたとして、戦わなければ行けない戦いが5つあったとする。この場合、この5つのうち3つの戦いで勝てれば総合的には勝ったことになる。しかし各戦いにおいて相手も手強く、各試合25を費やさないと勝てないとしよう。
その場合、ただ100を5で割って20ずつ小出しにするのでは1回も勝てない。しかし、5つのうち3つに25を与えれば残りの2つは勝てないものの、総合的に勝つことはできる。
これが戦略的に考えるということなのだ。
マーケティング的視点を持って
ここまで本書の中で紹介されている様々な概念や、理論を紹介してきたがこの「マーケティング的思考」というのは決してビジネスにのみ役立つものでは無い。
特に戦略的思考は生きていく上できっと役にたつだろう。私自身大学においてやりたいことがたくさんあり、全てが中途半端になっていた時にこの本に出会い、ある程度絞ったことで以前よりも結果が出てくるようになった。
この本はビジネス書というよりも、新しい視点を与えてくれる本だ。
私が本を読む大きな理由の一つに新しい視点を与えてくれるからというのがある。そして、自分にとって新しい、画期的な視点を与えてくれる本が私の中でいい本という括りである。
そういった意味ではこの本はとてもおすすめである。文章も平易で、最初の一冊にももってこいだ。
ぜひ一読してみてほしい。
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