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人事のための面接ハンドブック③ 自己紹介を掘り下げる

この連載『人事のための面接ハンドブック』では、僕がこれまでに何千人と面接をしてきたなかで、すぐに実践できそうなノウハウを人事担当の方に向けて紹介しています。

上の記事では、応募者に自己紹介をうまくしゃべってもらえるよう、「1分」「過去のエピソードから」という条件づけを行いました。今度は、そこで得られた話をもう少し掘り下げていきます。

周辺のエピソードを聞いていく


簡単な自己紹介のなかで、「職歴」「ガクチカ」などの“磨きあげた実績”以外のトピックが出てきたら、次にもう少し(30分の面接なら4〜5分くらい)時間を割いて、その周辺にある具体的なエピソードを聞き出していきます

例えば「中学のとき部活でテニスをやってたけど、レギュラーにはなれなくて……」という話があったとします。そこで「何でテニス部選んだの?」「そこで先生に褒められたこと何かない?」などと、きっかけになったことや、印象的な出来事がないかを問いかけていくわけです。

強くアピールできる部分じゃないので、本人は「別にそれ聞かれても話すことないよ」と思っているかもしれません。

けれども、事前に準備されてない答えだからこそ、ポロっと出てくる言葉には、本人の人柄が現れやすくなるのです。また、意外な質問をすることで、それまで気づいていなかった、自分の良さが隠れているエピソードがふと出てくることもあります。

「何係?」って聞いていく


掘り下げるなかでは、どんな“役回り”を担っていたかを聞くのも、有効な方法かなと思います。

僕がよくやるのは、「何係でしたか?」という質問。例えば、中学時代に部活で控え選手だったとします。そこでの係を聞くと、「ベンチで声出していました」とか、その人らしいエピソードが出てくることがある。

大学時代に仲がよかった友達がいるなら、そこでの役回りを聞きます。「ほら、だいたい『飲み行こうや』って言い始めるやつと、『店おさえるわ』ってやつと、任せて乗っかるやつと、とりあえずイジられてるやつと…みたいなのあるやん?(笑)そういう意味で、自分は何係やと思う?」って聞くんですね。

そこで「これかな…」と出てきた答えから、その人のチームでのポジションとか、向いている役割が見えてきたりする。それってやっぱり、今も昔もあんまり変わらないんです。

ここで僕が大事にしているのは、過去の役回りは「優劣ではない」ということ。部活でベンチだったからダメではなくて、控えだからこそ、周りをよく見れたかもしれません。何かしら一長一短あるなかで、「その人の長所が、自社のチームにマッチするかどうか」を軸に聞くようにしています。

2人でちゃんと「対話」する


自己紹介の掘り下げは、2人で「対話」をしていくイメージです。

これで何が変わるかというと、お互いの言葉が往復するので、応募側がちょっと息継ぎできる。間が入って話を整理できるので、ここから先、「強み」や「弱み」などの話を聞いていくときに、情報がより濃くなっていくんですね。

でも、この対話ができてない面接官って、意外に多いように思います。みなさん、“ちゃんと”聞いてしまう。で、聞くのに一生懸命で次の質問を考えてなくて、面接官側がテンパってしまうんです。

結果、何が聞きたいのかよくわからなくなったり、沈黙を作ってしまって応募者が緊張して、お互いしどろもどろになる…なんてことは、実際よくあります。

そうならないよう、質問しても詰めて一気にしゃべってもらうのではなく、なるべく短く言葉を交わし合って、インタラクティブな対話を意識しましょう。

(第4回「強みの聞き方」に続きます。)


北川雄士/Yuji Kitagawa

滋賀県彦根市生まれ。株式会社いろあわせ代表取締役。
広告代理店、ITベンチャー企業の人事部門責任者の経験を経て、2014年にフリーの人事として独立。これまでに数千人の面接を経て来た。2015年末にUターン。ひと・もの・まちを“掛け合わせ”、それぞれが持ついろや魅力を大切にしたいとの想いで、株式会社いろあわせを設立。現在『しがと、しごと。』をはじめ、行政や地元企業と共に地域発の採用の仕組みや場づくり・まちづくりを積極的に実践中。(TwitterFacebook

(編集:佐々木将史

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