人事のための面接ハンドブック② 自己紹介を上手くしゃべってもらうには
この連載『人事のための面接ハンドブック』では、僕がこれまでに何千人と面接をしてきたなかで、すぐに実践できそうなノウハウを人事担当の方向けに紹介しています。
前回の話は、面接冒頭での「話しやすい空気」の作り方。場の雰囲気がしゃべりやすくなったら、次はさっそく求職者に「自己紹介」をしてもらいましょう。
「1分間」と時間を決める
自己紹介をうまくしゃべってもらうためには、ポイントが2つあります。
1つは、時間を決めることです。僕は、「1分でしゃべってください」と伝えるのがいいと思っています。
いきなり「3分で自己紹介してください」とすると、案外長く、だらだらしゃべってしまうことになります。すると一方通行になりすぎて、せっかくつくった“いい空気”が崩れてしまうんです。面接官が「今のとこ聞きたいな…」って思った話も、どんどん流れていきます。
かといって時間を設定しないと、「もっと長く」しゃべってしまうか、逆に「ものすごく短く」なってしまうことがあります。一瞬でプツっと終わってしまったら、最初の情報が少なすぎて、こちらが想定していること以外の会話の糸口を探すことができません。
経験上、やはり1分ぐらいが、過去から現在までをざっくり話してもらうのにちょうどいいなと感じています。
過去のエピソードから順に話してもらう
もう1つのポイントは、「少し手前の過去に遡って、エピソードを話し始めてほしい」と伝えることです。
中途採用であれば、社会人経験だけでなく学生時代から、新卒採用であればできれば中高生くらいから、時系列で振り返ってみてほしいとお願いします。
(もちろん、生い立ちや家族状況、思想など、就職差別につながる質問はしてはいけません。)
これは、転職時の面接で「職歴」から話を始めると、多くの人は過去の成果、どういうクライアントに何をやったのかを説明したくなってしまうからです。新卒採用で大学時代の話を聞くと、「ガクチカ」(=学生時代に力を入れていたこと)という、就活に向けて磨き上げた実績を1つだけ話そうとします。
でも、選考で一番大事になるのは、過去の実績ではなく、その人のもっと根幹にあるもの。例えば、持っている価値観、コミュニケーションのくせ、集団でいるときの役回りなどです。これって実は、人生の中でそんなに変わっていないことが多いんですね。
それを見出すためには、「職歴」や「ガクチカ」といった準備され磨かれたエピソードだけじゃなく、過去の何気ないエピソードも、同じぐらい大切な情報源となります。
むしろ何気ないエピソードから感じられる「その人らしさ」にこそ、業務に活かせる魅力が潜んでいるのではと、僕は思っています。
(——第3回は「自己紹介の掘り下げ」。1分で語ってもらった話を、もう少し膨らませていく方法についてお話します)
(編集:佐々木将史)
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