吉野拾遺 下 10 行輔卿ノ妾ノ事

【行輔卿ノ妾ノ事】
 平三位行輔卿のしのびていひかはしたまへる女の、京にすみけるが、秋の半の比いひおこせける、
 思ひかねそなたの空をながむれば 我にたぐへる初雁の声
御返し
 わが袖を猶しぼれとや初雁の つばさにかけし露の玉づさ

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