吉野拾遺 下 11 【鼻高キ狂歌ノ事】
【鼻高キ狂歌ノ事】
内大臣実守公の節会の内弁をつとめさせ給はんとて、威儀ただしくつくろはせ給ひて、参り給ふ道にて、紀の国よりはじめて参りける武士どもの、行きあひ奉りて、「あなおそろし、山伏とも見えず、まして人にはあらじ、天狗のたぐひにあるらん」といひけるを、きかせ給ひて、
天狗ともいはばいはなむいはずとて はなたかからぬわが身ならねば
きはめて御鼻の高くわたらせたまひけるを、「いひあてにける」と、のちにをかしがらせ給へり。
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