日本企業の弱体化

先日、天外伺朗さんとお話しをする機会があった。

ご存知の通り、天外さんはソニーの技術者であり、

私はシャープで商品企画をやっていたので、

役職は違えどバックボーンは似ている。

そして、日本企業がおかしくなり出したのは、

ソニーもシャープも同時期、2000年前後である、

ということで意見が一致した。

2000年前後といえば、日本の企業に社員評価制度が

導入された時期と一致する。

そして、それまでは

対社外能力>対社内能力、だった評価が

対社外能力<対社内能力、という評価に

に逆転することになる。

対社内能力とは、忖度をはじめとする

社内調整能力のことだ。

社外能力、つまり営業とか開発の力はなくても、

トップや上司のウケが良い人間が

組織の中枢に集まることになる。

そして、組織は弱体化していく。

それは現代に始まったことではない。

平家の時代の武士もそうだったし、

幕末の幕府も、第2次大戦中の軍部もそうだった。

幕末の幕府などは戦いの能力よりも、

しきたりや作法をよく知っているかが

出世の重要ポイントだった。

そういう幕府が新興勢力に勝てるはずがない。

第2次大戦中の軍部もそうである。

本来必要なリスク対策などの情報は全てカットされ、

耳障りの良い美辞麗句や勇ましい話だけが、

ひとり歩きした。

日本は米国に負けたのではない。

日本の中の悪しき官僚主義に負けたのである。

今一度、日本企業が同じ過ちを繰り返して

経済的敗戦を迎えないためには、

その部分にメスを入れざるをえないと思う。

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