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最近のテレビ雑感。2021年春ドラマはファッション&インテリアが楽しい!

昨秋頃から思い出したように10年ぶりくらいにドラマを観るようになった。2021年4〜6月クールは、最初は気になるもの一通り見てみよう、と『イチケイのカラス』『大豆田とわ子と三人の元夫』『着飾る恋には理由があって』『リコカツ』『コントが始まる』『恋はDeepに』『ネメシス』『今ここにある危機とぼくの好感度について』と見てきました。
こうして並べてみると観すぎのような…。『ドラゴン桜』『桜の塔』は観てません。なんとなくです。

テレビ離れ解消?若者がテレビに戻ってきたらしい

そういえば、叫ばれ続けて早何年。もうすっかり声が枯れたんじゃないかと思える「若者のテレビ離れ」。しかしここへきて、若者がテレビに戻ってきているのだとか。理由の一つは、このコロナ禍。飲みにも行けず、遅くまで街でウロウロもできず、ステイホームでテレビ視聴が伸びた。なるほど納得。

魅力的なコンテンツは他にも山ほど溢れる中で、なぜテレビに戻ってきたのか。それに戻ってきたとはいえ、みんながみんなテレビという”映像受信機”の前で視聴しているかというとそうではなく、やっぱりネットなわけです。
TVerで1週間見逃し配信、さらにParaviを契約すれば全話視聴できちゃう、あとは局ごとにフジ系ならFOD、テレ朝ならTELASAなど。いや、そこ統一してくれや…と言う気持ちにもなるけど、随分とテレビ番組視聴のハードルが下がった印象。

そういえばわたしは若者ではないけど、昨年からドラマを10年ぶりに見始めた、というのもコロナ禍の影響といえばそうなる。毎週同じ時間にテレビの前にいられる確率は、ビフォーコロナ時代は圧倒的に低かった気がする。もはやビフォーコロナ時代のことは前世くらいの薄れゆく記憶なのであれは現実だったのかどうかも定かじゃないけど。

今期のドラマは圧倒的に恋愛ものが多い

先シーズンは『天国と地獄』『俺の家の話』『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』を見ていました。まあ、TBSの火10は『恋つづ』の流れを汲むキュンキュン系と決まっている(ので割とスルーしがち)ですが、今回はそれ以外の枠でも恋愛ものが異例の多さなんだとか。コロナで現実的には新しい恋愛が生まれにくいなどの渇望状態にあるから、そういったニーズに応えているのでしょうか。

ストーリーやセリフ、伏線回収は気にせず、純粋に衣装と小道具を楽しめる2大ドラマ

そんな中でも、今回わたしが特に楽しく視聴しているのが『大豆田とわ子と三人の元夫』『着飾る恋には理由があって』。個人的に今期の2大楽しいドラマと言って憚らないのですが、その理由は”ファッション”と”インテリア”が楽しいから。先シーズンは『天国と地獄』『俺の家の話』でセリフと伏線を追いまくって、充実してたけどそこそこ疲れた。重めのテーマでもあったので、今期はのんびり呑気でハッピーな気持ちで見たいのかもしれない。

そもそも恋愛ドラマでキュンキュンするタイプではないので『着飾る恋』はスルーの向きもあったのですが、リリース時の川口春奈の衣装がかわいすぎた。

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画像引用:ドラマ公式twitterより

この衣装の、値段もともかく、いかにこれをさらりと着こなすのが難しいか。ECショップのモデルさん写真見るとわかります。

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そうは言っても坂元裕二脚本が最高な『大豆田とわ子』

『大豆田』は何しろ坂元裕二脚本の久々の連ドラということで、最初の発表からその筋(坂元裕二好きという意味)の方々が全力正座待機していた注目作。わたしも『カルテット』以来の坂元裕二ファンなので”キャスト多めの会話劇”という前情報を仕入れてはワクワク初回を待っておりました。

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画像引用:カンテレ

そして、初回の冒頭『靴の中に入った小さい石を靴を脱がずに取り出そうと試みる大豆田とわ子』という伊藤沙莉のナレーションと靴を振りながら歩く松たか子に頭をぶん殴られた。これこれ、これだよ。この訳のわからなさ。

この感じ、好きな人にはたまらないんだが、好きじゃない人には意味わかんないっていう、納豆みたいな、いや、珍味的な?そういう魅力が坂元裕二作品にはあります。映画『花束みたいな恋をした』も坂元裕二脚本ですが、こっちはもう少し広く受け入れられるタイプ(とはいえ坂元裕二節炸裂ではある)。世の『カルテット』好きがスタンディングオベーションで迎えているあたり、このドラマはスイーツではなく珍味なのだ。

その珍味もとい坂元裕二慣れしているファンたちも驚く展開が、今回のドラマにはふんだんに盛り込まれています。まだ半分くらいだしネタバレ回避で詳しくは省きますが、まだまだ6月末まで楽しみを積み上げてくれると期待できる。コロナ禍が続こうが、平年より20日も早く梅雨入りしようが、6月末までは毎週楽しみが更新されると思うと生きていける…!

こういう、ささやかな喜びを集めていくのが楽しく生きるコツですね。
そういう意味でも、坂元裕二作品は日常の些細なことを物語の核にしていることが多いので、忘れがちな視点を教えてくれるとも言えます。

『大豆田とわ子』脚本もいいけど、衣装が最高

というわけでどうしても坂元裕二推しのわたしは大豆田話が長くなるのですが、いいのは脚本だけではない。エンディングの歌詞や映像が回ごと変わったり、ギタリストの長岡亮介が役者として登場したりと各方面でびっくりネタ満載なのですが、特に観ていて楽しいのはファッション。

松たか子演じる大豆田とわ子は、ファッション関連の仕事をしているのではない(建築会社の社長という役柄)なのに、やたらファッショナブル。
そのファッショナブルさというのが、いわゆる社長的なゴージャスではなく、ハイファッション。
いや、価格的には豪華だし、見た目は派手だ。でもそれをさらりと日常に落とし込んでくる具合が絶妙。
手掴みで円のままのバウムクーヘンを齧りながら道を歩いてる(すでに状況がおかしい)時の衣装がmame kurogouchiのワンピースだったり、その辺歩いてるのにマルタン・マルジェラだったりトム・ブラウンだったりする。

ドラマ全体のファッションディレクションを担当しているのが、スタイリストの伊賀大介さん。この段階で、まあ言わずもがな、と言う感じではあるけど、主役の大豆田とわ子のスタイリングは杉本学子さんという女性が担当している。

杉本学子さん、実はお初にお目にかかるお名前だったので、彼女のことを少し調べてみました。

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写真引用:https://one.hpplus.jp/spur/69573

1982年東京生まれ。文化のスタイリスト科を出ていて、在学中からアシスタントをこなし、加藤暢子さん、祐真朋樹さんのアシスタントもしていたそう。ということでメンズの仕事が多かったそう。モード系雑誌もやるけど、芸能人や広告用のスタイリングが多い印象。

スタイリストのアシスタントは、なかなか地方出身者だと生活困窮しがちなので、実家が東京なのも強みだったりしますね。

登場してくるお名前がおしゃれの塊みたいなひとたちです。どうりでこの仕上がりになるわけだ、と納得がいく。

主役の大豆田とわ子(松たか子)と、友達の綿来かごめ(市川実日子)の衣装が特にめちゃくちゃツボ。ただ、かごめの姿はもう見られないのかも…

『着飾る恋』もそのタイトルの通り、おしゃれのかたまり

主役の真柴くるみはインテリア会社の広報担当で、自身もインスタフォロワー10万人を抱えるインフルエンサーという役どころ。
そもそも、”着飾る…”というタイトルなわけなので、彼女めちゃくちゃ着飾るわけです。おしゃれなわけですよ。

その主演の川口春奈は、本業・モデル。言うまでもなく、何を着ても似合うわけです。着こなしちゃうわけです。普通の人にそれはきついだろうな?というコーディネートも颯爽と似合っちゃうわけなんです。

というのを差し引いても、むちゃくちゃおしゃれだな?たまに物すごく難しそうな、川口春奈をもってしてもそれは正解か?というコーディネートもある。それで気になって調べてみたら、思いがけないことがわかりました。

なんと『大豆田』『着飾る恋』の主演のスタイリストが同じ

そうだったんです。この2大ファッションが楽しいドラマ、どちらも主演の衣装は杉本学子さんの担当

『大豆田』も『着飾る恋』も、主演のふたりのファッションは、一見、派手。でもただの派手ではない。癖があるんですよね。おしゃれ好きゆえの、普通じゃ物足りなくなってしまったような癖が。

王道のコーディネートではない、外しがあったり、ひねりがあったり、ひねりすぎててそれはありなの?って一般人的には首をひねってしまうような技も繰り出される。

バキバキのおしゃれなのにガチギメではなかったり、かと思えば単体でも激しいなって思う柄がさらにセットアップで着てたりと、とにかく衣装がドラマのクオリティじゃない。雑誌で言うとGINZAとかSPURとかで見るモード寄りなコーディネート。もしくは広告ビジュアル用のインパクト系衣装といった様相。

それが、ストーリーの中で、街の中で、空間の中で、自然に存在している。浮いてない。それがすごい。

あと、何がすごいって、火曜9時のフジテレビ系列(カンテレ)と10時のTBS系列。同じ曜日の2時間続けて同じ人が主演のスタイリングしてるってことですよ。主役ならただでさえ着数多いのに、さらにファッションをキーポイントにしているドラマを2本同時に抱えるって、杉本さんどれだけ働きマンですか。

『大豆田』vs『着飾る恋』ファッション対決、個人的には『大豆田』が優勝

『大豆田』も『着飾る恋』も、結果同じ人がスタイリングしているのでどっちが勝つもなにもないんですが。

そして、どちらもビビッド〜ブライトな鮮やかな色合いの服を多用しています。なのでとてもよく目に飛び込んでくる。

近頃のファッショントレンドとして、くすみカラー、オーバーサイズで、良く言えばこなれた感じ、悪く言うとぼやっとした印象、なのが今の主流。
そんななか目の覚めるような発色のいいお洋服を、これまたビビッドな配色で披露してくれるのがこの2作品の主役のふたり。自ずと気分があがる。


『着飾る恋』の主演・川口春奈は、若い。モデル。という勢いでどんなビビッドな服だって着こなせるわけです。着慣れてるし。服をよく魅せる術を知っている。そして、まーとにかくかわいい。かわいいです。

一方の『大豆田』の主演・松たか子。身長は165cmとそこそこ長身ですが、取り立ててスタイルがいいという印象があるわけでもない(大変失礼を承知で言っておりますが…)だが、そんなことは問題ではない。存在感がすごいのだ。もはや存在感で着こなしている。人間の厚み。

事実、『着飾る恋』の川口春奈は、難しい服は着こなしてはいるものの、モデルとして着ている、という感じがある。一方で『大豆田』の松たか子は、もはや自分のものにしている。馴染んでいる。全然着せられてない。自然すぎる。全然自然じゃない服を自然に着ている。インパクトのある服を着ているのに、さほど服に目が持っていかれない。これはすごいことです。さすが松さん…。という畏敬の念も込めて『大豆田とわ子』、優勝です。

インテリアは『着飾る恋』が最高に楽しい

長くなりましたが、この2大ドラマ、最初に言った通りファッションと同様、とても楽しめるのがインテリア。

特に『着飾る恋』はキャッチに”うちキュン”と謳っているだけあって、家の中の充実っぷりが半端ない。
主な舞台となるマンション内セットで、リビングやダイニングで使用されている主要な家具類はACTUSの美術協力だそう。いや憧れますよね。この雰囲気。暖かみとスッキリが共存している。

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ACTUS(写真はリンクした記事内から引用)

『着飾る恋』は、カリスマ料理研究家の豪華メゾネットマンションに仮住まいする4人の若者のルームシェアから始まる恋、ということで、舞台の2階建てのマンション室内がとにかくおしゃれ。

で、これは実際のマンションではなく、完全建て込みセットで作っているのです。いやはや恐ろしい。最近のドラマのセットってすごいよね。昔はドリフのセットみたいな書き割り感あるのも多かったけど。

映画だと実際の建築物件の中で撮る場合もありますが(撮影期間にもよるけど)連ドラでなおかつ登場人物や動きが多い場合はセットの方が撮りやすいでしょうし。

ということで、ちょっと調べてみたら、協力企業のリリースが多数!


家具だけじゃなかった、セットの作り込みがとにかく本格的すぎて目眩がする…!

ちょっとここだけで別記事にまとめたい感じですが、ひとまず続けますね。驚きますよ。曲がりなりにもテレビの美術さん経験者のわたしは驚きました。

家具だけじゃなかった。もはや、普通に家を建てるのと同じように、壁や床などの建材から、サッシや玄関扉まで調達して、組み立てている。これは大道具さんの領域なのか建築の領域なのか…。

建具・建材]

スクリーンショット 2021-05-19 21.07.31ドラマご覧の方にはお馴染みの、香子さんの豪華マンション。上の写真で囲まれている建具・玄関ドアなどは三協アルミさんの協力だそうです


三協アルミ(写真はリンク記事内から引用)


床材]

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同じく香子さんのマンション、床材は大建工業さんのご協力です。ちなみに『桜の塔』でも協力してるそうです!『こうじ』という名前のわんこが登場するのですが、わんこの足に負担にならない材質なのだとか。いや、芸が細かい〜!

大建工業株式会社(写真はリンク記事内から引用)


厨房機器]

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横浜流星演じる藤野駿が元シェフという役柄もあって毎回必ず料理シーンがあり、そのたびに「キッチン素敵だわ〜こんなキッチン欲しいわ〜」と憧れてはいたが、ちょっと本格的すぎんか?レストランの厨房か?と思っていたら、厨房機器はフジマックさんの協力です。はあ、自宅マンションでこれはやりすぎではないのか??(めちゃくちゃ褒めてます)

フジマック(写真はリンク記事内から引用)


小道具パッケージ]

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なんと、駿がキッチンカーで使っているテイクアウト容器にまで協力がついているではないですか!

ザ・パック株式会社(写真はリンク記事内から引用)


さらに情報を探すことしばらく。そして美術デザイン担当者・雨宮里美さんへの取材含む記事が上がってきましたよ。マジで、鉄骨を組んで2階建てのセットを組んだんだそう!

脚本が上がる前に、監督のオーダーやプロットを元に、演者が動きやすく物語が展開しやすいような仕掛けを組み込んでいます。いやほんと、目眩するわ。こんな仕事、大変だけど楽しそう!これは、必読です。


もちろん『大豆田』のセットもすごい凝っているのだ!

『大豆田』の方のインテリア協力は大塚家具。リリースが出ておりました。

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大塚家具(写真はリンク記事内から引用)

作中には松田龍平演じる田中八作が経営するレストランも頻繁に登場するので、ここでも美術協力たくさんありそうですが、カンテレはそういうリリースは出さない方針なのか、あまり情報がありませんでした。たまたまかもしれませんが、そういう対応や露出具合も、局や制作会社によって様々なのでしょうか。

テレビドラマという総合芸術。創作物に触れる豊かな時間を、わずかでも取り戻したい

ドラマも映画も、つい誰が出ているか、どんなストーリーなのかで見る見ないを決めがちです。そもそもドラマなんて見ないと言う人も多いでしょう。なんたってわたし自身10年以上ぶりなんですから。

もっと言えば、映画も小説も、創作自体を好んで摂取(?)しない時代が長かった。仕事が忙しかったのもあるし、現実ばかりを追っていましたね。ビジネス書みたいなものばかり読んでいたような。創作?作り話なんて何の役に立つんですか?(真顔)という感じすらあった。

だがしかし、創作だからこそ感じられる真実とかね、ありますよね。もうこの辺でやめておきますけど。いずれにしても、創作を甘く見るな、と過去の自分と、そして同じように思っている人がいるなら言いたい。

確かに時間的にも精神的にも、余裕(というか余暇)がないとなかなか楽しんでもいられませんね。その理屈でいくと、キャストやストーリー以外の周辺を掘って掘って掘りまくっているわたしは相当暇ということになるな…。

コロナ禍中では、芸能やエンタメが一番”不要不急”レッテルを貼られて苦しい立場に追いやられました。ただ、その人に会えないステイホームの時間を一番癒してくれているのは、他でもないその芸能やエンタメ。

テレビを見ることが直接応援になっているのかどうか…いや、なってるんだよね。ドラマはテレビで放送するのが最終目標のアウトプット。ならば視聴者が視聴という形でそのバトンを受け取るのが、演者やスタッフ、さらに美術協力している企業の皆さんの応援にもなるってことですよね。

テレビドラマという、すぐそこにある”総合芸術”。ぼんやり見るもよし、いろいろ調べてみるもよし。そこに情熱を注いでいる人たちの姿が垣間見えると、その1時間の物語も、もっと楽しめてしまいます。

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shiri
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