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4-1 アロマは化学的に理解してなんぼ!?

 SEとして出世を目指していた時には「基本情報技術者試験」の勉強など熱心にしていたが、寿退職を決意したので、すっかり興味は次のステージへ移っていた。元々、何かを学ぶことが好きな私は、本を読んだり、習い事に行ったりすることが苦にならない。なぜか手に取ってしまったアロマテラピーの本も早速ページをめくってみたが、なかなか面白い世界のように思えた。

 私のそれまでのアロマの経歴はグレープフルーツの精油一本だった。「グレープフルーツの香りがダイエットにいい」という流行が大学生の時にあり、別にダイエットに興味はないくせに、精油への興味でふらりと一本買ってしまったのだ。「良い香りだなぁ」と思った。ただ、それだけ。一緒に購入したアロマポットに垂らしては部屋で香りを楽しむだけで、決して「アロマで人生変わった」とかそういう劇的な出会いではなかった。


 本を読むと面白そうなので、アロマの検定試験を受けてみることにした。仕事に役立ちそうな資格というものではなかったが、その分、手軽でハードルが低い。結婚したら愛知に引っ越す予定だったが、首都圏にいる内のほうが会場も多くて受けやすそうなので、私はちゃちゃっと勉強して受けることにした。

 勉強は本一冊、あとは実技用のお試し精油セットを一箱買って、それを使って家で独学した。独学だったが、十分に楽しかった。どこが楽しかったかって、「精油の○○成分が△△作用を持っている」など化学的な面が一番興味深かった。恐らく、アロマに興味を持つ女性の動機としては珍しいだろうが、私は独自に成分と作用の対応表を作ってしまうほどはまった。しかも、それは日常の役に立つ。私はアロマを知る数か月前まで悩まされていた慢性頭痛を思い出した。あの時、ペパーミントを知っていればなぁ。


 そんなわけで、私のアロマ熱は結婚して愛知に引っ越した後も冷めやらず、名古屋のアロマスクールへ通うことにした。アロマの資格は国家資格ではなく、民間なので、実に様々な協会、試験があるが、私は特に化学的な面を集中的に学べる協会の資格を取ることを目指し、それを扱っているスクールの扉を叩いた。

 「化学的なことを勉強したい」と思っていたのに、よもや、その扉が、見えない世界へ続いているとも知らずに。

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