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MP(マインドポイント)

大変なことに、人間は他人と関わらないと生きられない。デジタル化が進んだ現代、人間と関わらずにできる手続きは増え続ける。役所にいかずに作れる住民票、スマホから注文すると、玄関前に置いてくれる食事、遠隔で対戦できるゲームなどなど。そんな今でも、ほとんどの仕事や育児、趣味は他人と関わらなければ進められない。

そして、私は仕事で人と話すとき、育児で保育園や、療育の先生と話すとき、遠めの親戚と話すとき、久々に会った友達と話すときーーその全てでMP(マインドポイント)を消費する。

1日に消費可能なマインドポイントは大体決まっていて、枯渇すると充電が必要になる。そういうときは、ゲームに篭ったり、イラストを描く、読書などの一人の趣味をするとか、家族だけと関わるといった時間が必要になる。
しかし、人と関わる事自体が嫌ではない。一人で居る時間が長いと、今度は誰かと話したくなる。一人でする旅行にもあまり興味がわかないので、誰かと会うような日程調整になったりする。また、どうやら格ゲーなどのネット対戦ではMP消費はないらしい。拳で語り合うのにMPは不要なのだ。

MPが削られてしまうという話を妻にしたところ、妻にはそういう感覚(欠点、と言い換えてもいいかもしれない)がなく、コミュニケーションを取るごとに心の何かが削られていく感覚はないらしい。そんな妻に、羨望の眼差しを向けるのであった。

原因は恐らく極度のメタ認知にある。自分の行動が、嗜好が、態度が相手にどのような影響を与えるのか、過度に気にしてしまう。端的に言えば怒られたり嫌われたりしたくないのだった。理性では「そこまで他人は自分のことを気にしていない」とわかりつつも、ついグルグル考えてしまう。

更に厄介なのが、そんな前提があるのに別側面ではいい加減なので、気遣いができるわけではない。ご飯の席で、取り分けるわけでも、代表で注文を取るわけでも、人の飲み物を注げるわけでもない。エレベーターで、ボタンの前に立って他人の目的階を聞きたくなくて、後から入る。それでも年月は過ぎていく。大人にはなれるのだ!

というわけで謎のポイントMPの話でした。今までの人生で根付いた性格なので、多分治ることはないのだと思う。こんな自分を引きずって、鼓舞して歩いていく。続くったら続く。

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