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【編入合格体験記】慶應SFCから物理を独学して北海道大学理学部物理学科に3年次編入学した話(無料)


この記事は全編無料でお読みいただけます。
この記事が役立っている方はお布施をいただけると助かります。


想定している読者

・北海道大学理学部物理学科への編入学を考えられている方
・理系学部1,2年範囲の数学・物理学を独学されたい方
・慶應SFCを目指す理系の高校生

ベースは編入合格体験記ですが、これまでに勉強した教科書や理系出身の自分にとってSFCがどういう場所だったかも書き残します。全てに目を通すような物好きはいないと思いますので、目次から興味のある部分だけ読んでいただけると幸いです。また、私は編入についてあまり調べてこなかった方だと思うので、あくまで一個人の体験談としてお読みくださるようお願いします。

(24'.8.30 追記)ありがたいことに多くの人にこの記事を読んでいただけ、このnoteが試験勉強に役立った、励みになった等の声を毎年いただいております。自分がそうであったため、孤独な編入受験生の心に寄りそうことができたのなら本望であります。一方で、北大理物編入試験の募集要綱が毎年少しずつ変更されており、この記事ではカバーしきれない部分も出てきています。最初に強調しておきたいのはこの記事に書かれていることがすべてではありません。受験生には募集要項を注意深く読んでいただき、情報不足で実力を発揮しきれないということがないことを切に願うばかりです。


プロフィール

基礎学力の参考になるかと思いますので。

[高校] 偏差値70代前半の地方公立高校理系。成績はたぶん中の下くらい。
[入試成績] 慶應義塾大学環境情報学部, 慶應義塾大学総合政策学部, 筑波大学情報学郡知識情報図書館学類を現役合格
[出身校/学部] 慶應義塾大学環境情報学部
[受験大学] 北海道大学理学部物理学科のみ

本記事を参考にするにあたり「私文から旧帝理系に逆転合格!」みたいな感じではなく「それなりに基礎学力を持った人間がそれなりに努力して合格に至った」という事実は把握しておいてほしいです。

勉強した教科書とペース

編入試験の受験を決めたのは6月中旬で試験の約2ヶ月前なのですが、もともと物理が好きで編入関係なく程々に勉強していました。といってもSFCに物理の授業はなく、編入試験に出る内容については全て独学でした。一般的に言われる(?)ように、また私自身が感じてきたように、物理学の独学はしんどいです。イメージの湧かない事象を一人で理解するのは難しいし、そもそも数学を勉強しないと何も出来ない上に、計算した結果出てきた関係式の意味を知るのはそれと同様に難しいです。なので、自分にあった教科書を探すことや、理解できたと思うまでじっくり考えたり調べたり人に話したり聞いたりすることがとても重要になってきます。また、問題演習はテスト対策だけでなく自らの誤解を解き理解を助けることにつながります。問題演習をしていなくても教科書を読んだら理解できるという人もいると思いますが私は実際に問題を解いてみて初めて理解が深まるタイプなので、同じタイプの方には参考になるのかなと思います。

本当に理解したかもわかっていない本を紹介するのもおこがましいですが、経験談を話すのが目的ですのでこちらにまとめました。

編入学試験独学のコツ

これは私が毎日スプレッドシートに記録していた進捗です。

6月中旬-8月上旬の勉強記録

編入受験は一般的な大学受験と違って情報が少なく一緒に取り組む仲間がいない又は少ない場合がほとんどで、そんな中でモチベーションを保って受験勉強をするのは難しいものがあります。周りのみんなが遊んでいる夏休み期間中に試験があるというのもあって、途中で諦めてしまう人も多いと思います。 私は毎日コツコツ積み上げるのがかなり苦手な方なので、画像のように毎日の進捗を記録することでモチベーションを保っていました。このような、どうやって毎日勉強することができたか自己流のコツを紹介したいと思います。

・質問できる友達/先生を作る
嬉しいことに高校の友達に優秀な人が多くいたのでめちゃくちゃ質問しまくりました。大学の内容は解説読んでも分からないことが多々あったので既に勉強した理工系学部の友達に質問できたのは幸運でした。

・別分野でもいいので一緒に勉強してくれる人を探す
同じ大学によく勉強している友達がいたのでその子を誘って「朝マック」の習慣を作りました。朝マックとは朝6時に駅前のマクドナルドに集合してコーヒーとマフィンを食べながら進捗を生むことです。9時くらいまで勉強したら大学の図書館に移動してそこでまた勉強していました。勉強中はほとんど会話することはないですが、食事をともにすることで会話の機会があってかなり精神的に良かったと思います。

・勉強場所の確保
マクドナルド、大学図書館、大学の研究室、カフェ、自宅等で勉強していました。周りに勉強してる人がいると集中できる私と同じタイプは、大学が利用できない場合はスタバやタリーズは絶対勉強してる人がいるのでおすすめです。あと外出したくない雨天時や深夜はyoutubeの勉強ライブ配信を表示していました。「Manten-ライブ配信し続ける男」というチャンネルが24時間ポモドーロ方式で誰かしらが勉強している様子を配信していてよく視聴していました。

・過去問から問題集を選ぶ
詳しくは後述。

・短期間での具体的な目標を立てる
2週間で問題集1冊を終わらせる。など
またその目標を達成するのに必要最低限な1日のノルマを設定します。

・"1日の最低ノルマ"とそれに加えた"出来たらいいなの目標"をそれぞれ設定
私は物理の問題を1日最低10問。調子の良い日は満足するまで解く。という目標で取り組みました。

・その日やったことを記録する
毎日スプレッドシートにその日に解いた問題番号と日付を記録しました。あと後半からはそれに加えて「簡単だったか」「答えを見たか」を記録してました。物理の問題って本当は解放が降ってくるまで何時間も考えるのが理想だと思うんですが、なにせ時間がないので30分考えて1問解けなかったら答えを見るようにしてました。

・アウトプットする
私は全部iPadのアプリに問題を解いていたのでノートをjpgに書き出す→解説と感想を加えてmarkdownに記録→githubにプッシュ→友達が見れるように公開設定していました。githubを使うと毎日の進捗が草に変わるため、そこも良かったです。

・ブルーバックスや新書を読む
モチベーションを保つために理学系の一般書を読みあさってました。特に京都大学の橋本幸士先生のエッセイ「物理学者のすごい思考法」は物理学科に行ったらこういう面白いこと考えてる人と一緒に勉強できるぞとかなりモチベーションを上げてくれました。

ここまでコツを読んでいただけたらわかるように、私が一人で勉強を続けるのは到底無理でした。むしろ独学とは言えないかもしれません笑。初歩的すぎて呆れられてもおかしくないような質問にも対応してくれたり、毎日一緒に勉強してくれたり、しつこい進捗ツイートにいいねをくれたり、合格した際は電話をかけてきてまで一緒に喜んでくれた友人たちには本当に感謝しています。

試験当日の流れ

09:15 ~ 09:45            受付
10:00 ~ 12:00     筆記試験(物理学)  ※遅刻限度時刻 10:30
12:00~14:00               昼食
14:00 ~                    口述試験            ※遅刻限度時刻 14:00

北海道大学は広いので前日に試験会場を見ておくと良いかもしれません。私の年は筆記試験の開始時刻ぴったりに来た人がいてそれで全員の試験開始を3分くらい遅らせる対応を取っていましたが、絶対余裕を持って行った方がいいです(遅刻者がいるの理物っぽいなぁ(笑)と思って見てました)。

筆記試験(物理学)

大問3つ。それぞれ力学、電磁気学、熱力学からの出題になります。

問1
ケプラーの法則に関する問題が数問。エネルギー保存則から太陽と惑星の距離の式を導出する。教科書に絶対載ってる問題ですが積分の置換を覚えていないと計算が少しやっかい。

問2
前半:円筒形導体を流れる電流のつくる電場と磁場、またそれに準ずるポインティングベクトルやエネルギー損失を求める。
後半:真空中のマクスウェル方程式から波動方程式を導出し、解について調べる問題。具体的には電場が横波であることや分散関係を示します。

問3
前半:用語問題とカルノーサイクルに関する知識問題。
後半:ファンデルワールスの状態方程式から等温過程での仕事やエントロピー変化を求める。

力学と熱力学は順調に解けましたが電磁気学で過去5年出たことのなかった電磁波の範囲が出てきて、後半は誘導に従って解けたものの前半は導体電流の中の電場の扱いが分からず、ごっそり落としてしまいました。落ち着いて考えれば微分系のオームの法則を知っていたので解けたはずですが、電磁波が出題されたことでかなり動揺していました。他にも試験後に力学で計算ミスがあったことに気づき、結果としては7,8割くらいの得点率なんじゃないかと思います。募集定員が若干名ということで試験内容もそれほど難しくないし、この時点で満点取れなかった自分は落ちたなと思ってました。しかし2時間後には口頭試問が控えているので、大学構内を散歩して気持ちを切り替えました。

口頭試問

口頭試問は1人5分程度のペースで受験番号順に1人ずつ呼ばれて実施されます。自分の面接が終わり次第帰れますが、受験番号が後ろの方だとかなりの時間待たされます。待機中は携帯の使用が不可なので、みんな教科書やノートを読んでいました。私は研究したい分野を聞かれると思ったので田崎の統計力学を読んで面接に備えていました。

面接で聞かれたこと
・北海道大学理学部物理学科を志望した理由
・試験の出来はどうだったか
・英語はできるか
・解析や微積、フーリエ変換などの数学はできるか
・全く違う学部から入った場合、卒業単位を取り切るにはかなり頑張らないといけないがその覚悟はあるか

たまたま私の所属したい研究室の先生が面接官にいらっしゃったことや物理を独学してきた話をするとリアクションが良かったことから、個人的には結構手応えがありました。試験の出来については、何が理由でどこを間違えたか、逆にどこに自信があるかを正直に答えました。休み時間に落ち着いて考えたら分かったことがいっぱいあったので早口でまくしたてましたね。。。でもわざわざ聞いてくるということは理解してることを伝えるチャンスだと思うので、試験終了後に分からなかった問題について落ち着いて考えるのは多分大事です。恥ずかしながら最も心配していたGPAについては特に聞かれませんでした(笑)。おそらく単位数が足りているかの確認のためだけに提出させたものと思われます。圧迫面接ということは全くなく、終始和やかな雰囲気でした。ただし面接時間がかなり短い点や他学部のように口頭試問で物理の問題を解くようなことがなかったので、一般的に言われるようにほぼ筆記試験で決まると思って良いでしょう。
(23'.4.26 追記)後輩から聞いた話によると、物理あるいは数学の問題が出される形式に変わったようです。ガウス積分とかフーリエ変換とか常識的なことが聞かれるっぽいので勉強が十分できていれば特に対策は必要ないと思います。

試験対策に用いた問題集

試験の2ヶ月前から本格的な問題演習に取り組みました。大学物理の問題は初見絶対思いつかないみたいなのが多いと思っているので、演習量増やすに越したことはないとそこそこの量をこなしました。満点を狙う為に、限りある時間の中で範囲内のわからないところを確実になくす勉強をしました。

過去問研究が最も重要になってくるという話を聞いていたので、とりあえず過去問5年分を解いてみて出題傾向を掴み、似たような問題を出している問題集を選出しました。募集要綱を郵送してもらう際に過去問もオプションでもらえます。過去問は絶対に入手しておきましょう。

力学分野

面白い問題が多いです。問題数が少ないかわりにじっくり考えないと解けない問題だったり計算量の多い問題ばかりなので丁寧に解いていくことが大切です。解析力学は解かなくて良いと思います。試験の傾向として、教科書に書いてあるような基本的な問題が出る印象があるので、不安要素があれば闇雲に多くの問題を解くより、教科書をじっくり見直すことをお勧めします。力学は1年の間に結構演習していたので編入対策としてはこれ1冊になります。

電磁気学分野

このシリーズ好きなんですよね(笑)。力学に比べるとかなり問題数が多くなっています。静電場は全問やっておくべきでしょうが、回路は全問解く必要はないし、一部の難しすぎる問題はやらなくていいと思います。これも物理の理解にはとてもいい問題集だと思うのですが、編入学で点をとることを目的とすると次に紹介する問題集をお勧めします。

この数理工学社の「演習しよう」シリーズは北大理学研究科の先生の著書なこともあり、問題の傾向がかなり似ているし、なんなら私の年は全く同じ問題が出題されました。今後傾向が変わる可能性はあるものの、北大理物を受けるのであれば絶対に"全問"解いておいて損はないです。わざわざ強調したのは、私は電磁波分野を解いていなくて爆死したからです。。。

熱力学分野

amazonレビューにもあるように熱力学における「可逆」「準静的」の解釈について現代的な視点を問う問題があったり、正しい解釈ができているか促すような良問が多く、個人的に大好きな問題集です。編入試験でも解釈について時々問われるようなのでお勧めです。また、熱力学に特有の式変形をかなりの量演習させられるので、初見の問題に対しても対応力が上がると思います。

こちらも北大理学研究科の先生の著書になります。この演習しようシリーズは、試験まで残り1週間の折に最後の仕上げと思って2冊並行して進めました。コンパクトにまとまっているのでとっかかりやすく、最後の調整にもってこいの問題集だと思っています。

ここまで演習書を紹介しましたがまぁ別になんでもいいとは思います。(サイエンス社とか有名ですよね)志望校の過去問や自分の苦手にあった演習書を選ぶのをお勧めします。詳解シリーズ(茶色の分厚いやつ)はさすがにやらなくてもいいと思います。

(23'.4.26 追記)北大に来てから感じていますが、演習しようの内容を完璧に理解していたら北大の試験で解けないことはまずないと思います。まずは演習しようを仕上げてから、別の問題集に同じ内容を教科書で繰り返し反芻するのがおすすめです。

編入試験について最後に伝えたいこと

北大理物の編入試験の問題は絶対解けないほどの難しさではなく、大学生の標準的な定期テストレベルのように思われます。ただし、範囲的には内部生よりも進んだ進度が求められています。注意することは、本番に焦っても解けるくらい十分に準備していくことですかね。むしろ入ってからの方が断然忙しい気がしています(私は卒業必要単位を見てはやくも挫けそうです....)。また専願はあまりおすすめしません。合否はその年の受験生の質に大きく依存するので運ゲー要素が強いです。他の大学の編入試験も受けてリスク分散するのが賢いと思います。

('23.2.17追記)本気で北大編入を目指す方は、実際に入ってからの記事もおおいに参考になると思います↓

('23.9.23追記)また、北大理物という環境で同期や先生方と切磋琢磨することによって物理の研究に対する解像度が跳ね上がり、やりたい研究を見つけて院試にも合格することができました。SFCから直接、独学のみで東大や京大の院(物理学専攻)に合格することは難しかったと思います。

話を戻して、1番大事なのはやる気を継続させることだと思います。私は1日の進捗をexcelにまとめたり週に1回はサウナに行ったりしてました。しっかり準備すれば満点もとれるはずなので、頑張ってください!

SFCから北大理物編入学を決めた理由

いわゆる「おまけページ」です。

SFCへの進学理由
高校のときにやりたいことが多すぎて進路を決めることができませんでした。というか高校生でやりたいことなんか決められないですよね(笑)。とりあえずプログラミング(特に機械学習)を軸にやっていればどんな分野に進んだとしても活かせるだろうし、いろんなことを学んでみたいなという思いから文理融合型の慶應SFCや筑波の図書館情報を受験しました(本当は筑波のメ創を受けたかったのですがセンター当日に発熱して特に2日目の点数が終わってました笑)。SFCに進学を決めたのは1年次から研究室に所属できることと量子コンピュータの研究に惹かれたからで、その勉強を軸にしてプログラミング、デザイン、脳科学など興味の赴くままに学べたら良いなと思っていました。

進学校理系出身目線でのSFCについて
SFCは文理関係なく、法律からデザイン、インターネットに至るまで幅広く学べることが魅力の一つです。ですが、どんなバックグラウンドを持った学生でも幅広く学べるが故のデメリットも存在します。万人向けに授業のレベルを設定しているために入門程度で終わってしまい、大学の授業なのに市民講義のような印象を受けてしまいがちなのです。特に数学に関していうと、SFCでは環境情報も総合政策もデータサイエンス科目と呼ばれる数学科目が必修になっていますが、文系出身にも配慮した結果難易度がかなり低めに設定されています。微分積分は殆どが数Ⅲの復習、線形代数は対角化まで到達しませんでした(ただし先生によってはやったりするらしいです)。いずれにせよ、多くの授業では入門的なことしかやってくれないので教科書的な勉強は独学する他ないです。ただし、志高い学生が独自にゼミを開くことも多いので分野によっては満足いく勉強ができるはずです。他にも他学部設置科目の枠をつかって理工学部の授業をとるという選択肢もありますが、SFCの卒業要件に関係ないので取りすぎには注意です。

SFCの魅力
SFCはなにか研究テーマを持って入学してきた学生には最高の環境だと思います。必修科目も殆どないし、手を抜く授業は手を抜いて自分の興味分野に全振りしても卒業できます。特に、先生との距離が近いので自分が師事したい先生がいれば無双できます。私の場合は全振りしたい興味分野を模索した結果、SFCでは実現不可能だったので編入に合格して本当に良かったと思います。
これは私見ですが、物理学など理論分野においてSFCの学部のうちに活躍出来る人は並外れて要領の良い天才か研究という目的のために体系的な勉強を諦められる人だけだと思います。私がいた研究室で生き残っている尊敬する先輩方はそんな人ばかりでした。「1年次から研究できる」というのは高校生にとって大変魅力的にうつりますが、凡人が1年生から研究を始めるには並外れた努力となにかを捨て去る覚悟が必要なのだと思います。

編入学を決めた理由
いろいろ興味がうつった中でも私にとって物理学は特別でした。中学生で物理に興味を持ち、高校も理数科に進学しました。当時はブルーバックスやNewtonのような一般向けの本をたくさん読んでいただけで並外れて物理や数学ができたというわけではなかったです(中学では学年トップでしたが理数科では私よりずっと数学物理ができる人がたくさんいました)。とはいえ強豪の自然科学部物理班に所属していたおかげで物理好きな友人も多くでき、物理学が大好きなのは変わりませんでした。
大学では量子通信の実用化に向けた研究が出来たら良いなーと(大した知識もないのに)なんとなく考えて1年の春学期から量子コンピュータの研究室に入りました。ですが、蓋を開けてみると主たる研究が量子コンピュータのソフトウェア側で、自分の不勉強もあって理論物理っぽい研究は難しそうでした。また研究室にはエンジニアリングな考え方の人が多くて、同じ物理好きでもけっこう自分とは違うなという感じもしました。自分の興味はたぶん理学寄り、もっと言うと哲学に近い気がしていて「使えればいーじゃん」って思想は好みではなかったみたいです。(すごい研究室には違いないのですが)ここでは自分のやりたいことは見つけられないかもしれないと思って、いったん物理の勉強に集中することにしました。1年の冬くらいから他大の理学部への編入学を考えましたが、そのためにめちゃくちゃ勉強する覚悟はなくて実行するに至りませんでした(編入に合格したSFCの先輩と接点があって編入の相談をした際に「筆記試験満点だった」「受験前の研究室訪問は当然」とか言っててめちゃくちゃハードル高く感じたんですよね。。今思うと分野が違ったのと編入試験界隈の本当にトップ層だったんだなと思います)。
しかし、3年次に受講した理工学部の統計力学の授業が転機になりました。
授業の教科書には田崎先生の統計力学が指定されており、わかる方にはわかるんですが、あれめちゃくちゃ面白いんですよね。中学時代から謎だったエントロピーの正体がわかった(ような気がした)り、超伝導や超流動がボーズアインシュタイン凝縮の結果であることを知って、統計力学の分野で研究したいと思うようになりました。また、相転移現象が活性化関数と非常に類似しており、調べてみれば統計物理と機械学習に深い関連があることにも「自分のバックグラウンドが活かせるのでは」と魅力を感じました。修士から物理系の研究室に入ることも考えましたが、物理学科で体系的に勉強していない自分がいきなりそんなところに行ったら大した成果も上げられないだろうということで、3年生の6月にして編入学しようと決意しました。

研究室以外にも色んなことに取り組んだSFCでの生活でしたが、自分が何者なのか教えてもらったような気がします。今でもSFCでの2年半は全く無駄ではなかったなと思っています。

noteの終わりに

最後まで見てくださりありがとうございます。多くの人に見てもらえてるみたいで追記しました。内容盛り沢山で本当に恐縮なんですが、必要な人に必要な情報を届けられたらと思います。Twitter(X)やってるので編入試験とか物理等でお話あればDMしてもらって構わないです。北大しか持ってませんが、過去問が必要であれば送ったりもできるので遠慮なくご相談ください。

おわり

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