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Leica M2で40mmは使えるか?


CL/CLEの悲劇

ズミクロン40mm用にライカ(ライツミノルタ)CLを2台、ミノルタCLEを2台買いましたが、すべて初期不良で返品という惨憺たる結果となってしまいました。
ちゃんとしたカメラ店で、動作確認済みや整備済みの個体を買ったにもかかわらずこの有様です。もうこの年代の電子カメラには手を出さないほうが無難なのかもしれません。
ミノルタの名誉のために付け加えておくと、どちらも名機なのは間違いありません。10万円前後で買えるコンパクトな実質M型ライカであり、機能的にはM型を超える部分もあります。
問題は電子部品の寿命です。そのリスクを承知の上でどうしても欲しいという人は、信頼できるカメラ店で保証付きのものを、できれば延長保証のオプション付きで購入することをお勧めします。それくらいしてでも手に入れる価値のあるカメラではあります。

M2か、M4か

それで結局どうしたかというと、ミノルタボディはあきらめてライカM2を購入しました。

Leica M2 + Summicron 40mm

型番はM2でも発売はM3の次で、廉価版という位置付けです。しかし後発ゆえの改良点もあり、一概に下位機種といえない優れたカメラです。
M4とは最後まで迷いました。M2からM4にモデルチェンジした際の変更点は、①カウンターが自動リセット式に(でもこれはM3の仕様に戻っただけ)②135mmのフレームが追加(これもM3が元祖)③巻き戻しがクランク式に④フィルム装填がクイックロード式に、の4点です。そこまで決定的な違いではないので、機能で選ぶというよりは外観の好みでしょうね。
M4もいつかはほしいけど、今回は予算の面でM2にしました。

M2のメリットは?

M2の売りは何といっても35mmに対応したファインダー。そのためM2は広角用ライカと呼ばれ、35mmレンズが標準というイメージが定着しています。
しかし35mmが広角というのはM2が発売された1950年代の感覚で、現代ではそのように考える人は少ないのではないでしょうか。よく準広角といわれますが、私的には準・標準くらいのイメージです。28mmからやっと広角の感覚ですね。

意外にあまり語られませんが、M3からM2への最大の改良点だと思うのは、最短撮影距離が1mから0.7mに短縮されたことです。これで0.7mまで寄れるレンズがありながら、ボディの距離計が対応できなかった問題が解決したわけです。
これ以降、M4, M5, M6とM型ライカの距離計連動範囲は0.7m~が標準となります。その最初のエポックメーキングなモデルがM2でした。

ズミクロン40mmの最短撮影距離は0.8mだが、実際は0.75mくらいまで寄れる

M3 vs M2

M3とM2

M3かM2かというのはライカユーザーにとっては永遠のテーマらしいです。
寸法は同じですが、重量は実測でM3が約600g、M2が約550gと約50g軽くなっています。これが体感的にかなり大きいです。
外観面でもM3は重厚感があります。そう見せている要因はファインダー周りの飾り窓だと思います。掘りが深い。
M2はファインダー周りがツライチになり、それがシンプルな印象を与えています。最近のデジタルM型はシンプルを通り越してのっぺらぼうですが。
見た目だけではなく、実際にファインダーの構造もM3よりシンプルになっていて壊れにくいそうです。M3に衝撃を与えると内部のプリズムが外れるブラックアウトという故障が起きることがあり、修理代は10万コースとか。おそろしい・・・。
やはり35mmを使うかどうかがM3、M2選択の分岐点になってくると思います。ちなみにM2で50mmを使うのも意外とありです。フレーミングの意識が変わり、写真にも確実に変化が出ます。
90mm以上はさすがにM3に分がありますね。

M2で40mmは使えるか?

前置きが長くなりました。ここからが本題です。
はたしてM2で40mmは使えるか?
マイナーな焦点距離とはいえ、最近はノクトン40mm等も人気なので、M2+40mmの組み合わせにどのくらい実用性があるのか知りたい人もいるのではないでしょうか(かなりニッチなニーズだとは思いますが)。
結論から言うと、M2で40mmは使えます! むしろ最適といっていいでしょう。
M2の35mmフレームは実際の画角より若干狭く表示されており、視野率は90%程度と思われます。これを40mmに換算すると約103%の視野率になります。つまり35mmのフレーム通りに構図を取ると周辺が3%ほどカットされるので、そこだけ意識すれば限りなく視野率100%に近い範囲で撮影できるということです。

しかしここで問題があります。M2に40mmを装着すると50mmのフレームが単独表示されるのです。そこで私はちょっとした工夫を施しました。

フレームセレクターの下に1mm厚のゴムシートを挿んだ状態

フレームセレクターとボディの間にはわずかに隙間があるので、そこに1mm厚のゴムシートを小さく切って挿むと、フレームを任意の場所に固定できます。M2のホームポジションは35mmなので、レンズを外した状態で行うとやりやすいです。

このポジションで35mmのフレームが表示される

こうすることで35mmのフレームが表示されるようになりました。本体には何も加工しないので可逆的な方法ですし、機構に負担をかける心配もありません。
ただし、50mmや90mmのレンズを装着する場合はその都度このゴムシートを取り除く必要があります。
この方法はM型ライカで任意のフレームを固定表示させたい場合に有効なので、ぜひお試しください。

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