モノクロフィルム自家現像のランニングコストを計算する
フィルムを使い続けるのはもう無理なのか?
昔と比べて目玉の飛び出るくらい高くなったフィルム代とその現像代。
「もうフィルムなんて一生使えないな…」と思っていた私ですが、いや、モノクロフィルムを自家現像すればランニングコストはある程度抑えられるのではないか? そう考えて、現時点で最安と思われるパターンを計算しました。参考になれば幸いです。
ここで取り上げる製品はヨドバシカメラまたはAmazonで入手可能なものに限っています。探せばもっと安いものもあるかもしれませんが、入手しやすさは重要ですので。
なお、現像に使う水道代やお湯を沸かす光熱費等は計算に含みません。
月1本からはじめよう
趣味で写真を楽しむ人が使うフィルムの本数ってどれくらいでしょう?
私は若い頃何人かのプロ写真家のもとで学んだことがあります。そのうちの一人であるMさんに「最低でも1日1本撮りなさい」と言われ、一時期それを実践していました(もちろん36枚撮りです。ここでは36枚撮りを基準に考えます。そのほうがランニングコストも安いので)。
いまだにそういう感覚が残っているので、先日も小一時間の散歩で1本撮り切りましたが、おそらく普通の人はそこまでバシャバシャ撮らないでしょう。ですので、ここではとりあえず月1本として考えることにします。
現像用品
現像タンクやリール等の現像に必要な用具です。最初にひと通り揃えれば長期間使用できます。例えば画像のLPL製ステンレスタンクとリールは一生使えるくらいの耐久性がありますが、残念ながらすでに廃番になっているようです。
これらは初期投資としてランニングコストに含まない考え方もありますが、今からはじめる人にとっては割と大きな出費だと思いますので、前述した月1本の仮定でランニングコストに組み込んでみます。
Amazonで販売されている現像キット一式11,000円をもとに計算します。月1本で年12本。10年は使えるので120本。11000÷120=92円です(小数点以下四捨五入・以下同じ)。
モノクロフィルム
KentmerePAN100・PAN400 ¥1,030
調べた中ではこれが最安でした。知らなかった銘柄ですが、メーカーはあの有名なイルフォードです。ヨドバシならポイントが10%つくのでさらに割安感があります(ポイントはここでは考慮しません)。
20年前はTRI-Xの3本セットが1,000円程度で買えましたが、今調べると1本1,890円になってますねえ…。しかも24枚撮り。
現像液
FUJIFILMスーパープロドール(1リットル)¥246
Kodak D-76亡き後の救世主です。同じフジのミクロファインも295円なのでどちらを使うかはお好みで。
希釈なしだと10本現像できますが、液の劣化を考慮して現像時間を延長しなければなりません。この計算が面倒なので、私は1:1希釈で使い捨てにします。2本用のタンク450mlが4回現像できるので計8本として、1本あたり31円です。
定着液
FUJIFILMスーパーフジフィックス-L ¥1,010
あれ?停止液は?と思われた方もいるでしょう。大丈夫です、水で代用できます。あくまでコスト重視でいきます。
1.5リットルの原液を2倍に希釈して使いまわします。30~50本使えるということなので、50本として1本あたり20円です。
結果発表!
1本あたり1,173円!
初期投資の現像用品を除けば1,081円!
大げさではなく、私個人としては驚きの結果となりました。思ったより安いという意味での驚きです。これなら月に1本程度の趣味として撮影する人にとっても無理のない金額ではないでしょうか。私のように頭のネジが飛んだ人間が毎日1本撮っても月3万です。
「フィルム馬鹿高くなったなー」と思っていた割には、まだ1,000円ちょっとで続けられるということは一抹の救いでもあります。ケントメアやスーパープロドールの製造販売が続いてくれることを祈ります。
【追記】
Kentmere 400とスーパープロドールの現像レシピはこちらを参考にしました。1:1希釈、20℃で10分半です。
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