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ノクトンクラシック40mmに惚れなおす
このところライカのオールドレンズにハマっていたので、この手の「なんちゃってオールドレンズ風」はイマイチ使い道がない気がしていました。
しかしあらためて使用してみると外観や操作感はライカに最適化されておりとても使いやすく、写りも侮れないものがあります。
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フォクトレンダーには傑作と呼べるレンズがたくさんあり、その魅力に気づくと「これがあればライカのレンズはいらないのでは・・・?」と思うことすらあります。
とはいえ例外もあって、非球面レンズはどうしても好きになれません(フォクトレンダーに限りませんが)。そういうレンズは買ってもレビューせずにひっそりと売り払っています。良心的なメーカーなのに個人的な好みで悪口は言いたくないですからね。
このレンズをネットで調べるとミラーレスの作例ばかり出てきます。メーカーも主にミラーレスでの使用を想定している節があります。
しかし、このレンズはフィルムで使ってこそ真の魅力がわかります。絞り開放であえて収差を残した描写が売りだそうですが、デジタルでは写り過ぎてしまってせっかくのコンセプトが生かせていません。
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周辺では確かに減光や収差はあるけど、ピント面はきわめてシャープで、雑草など手が切れそうなほどです。しかしあえてこのレンズを選ぶ人が求めているのはそこじゃないと思うんですよね。それはレンズのせいというよりデジタルの「写りすぎ」が原因です。
「モナリザ」はスフマート技法によって名画たり得たのであって、もしハイパーリアリズムのように髪の毛一本一本まで細密に描いてあったら名画とは呼ばれなかったでしょう。ハイパーリアリズムの作品に誰もが知るような名画が存在しないのは、人間の視覚にとって「描きすぎ」は美しく感じられないという証ではないでしょうか。
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しかしこのレンズをフィルムで使えば一転、実に繊細な描写を見せます。諧調の豊かさとディテールの適度な省略が柔らかさや温かみにつながるのです。
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ちなみに同シリーズの35mmも持っていますが、そちらもとても良いレンズです。
35mmや50mmはファインダーを見なくてもほぼ正確に撮影範囲を予測できますが、40mmはまだ自分の中では新しい画角のため体感として身についていません。そもそもライカに装着すると50mmのフレームが出現するので、正確なフレーミングはほぼ不可能です。そこがまたおもしろいところです。