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定年教師の独り言 Vol.22「原点回帰シリーズ アトリエつくり突然始動」

突然動き始めた計画

 前回、6歳まで暮らした土地に、最終的にアトリエを建てたいという、漠然とした夢を書いた。

それから3週間後の今日、久しぶりに休みが取れた自分のもとに客人があった。我が家を建ててくれた棟梁。遠い親戚に当たる。テーブルには、小屋の図面。

 家を建ててもらった時のエピソード。離島から本土勤務に戻るタイミングで、どこかに家を構えようと考えていた。
「親父の敷地の庭に家が建つかどうか相談に乗ってくれん?」その約束の日に、早くも設計図を持って現れた人だ。とにかく、動きが早い。


 今回はまず、整地をすることを考えていた。素人の見立てでは埒が開かないので、棟梁に現地同行をお願いした。目的は崩れた法面の補修方法を相談すること。建築の専門家としての意見を聞きながら
「将来はここに、プレハブ小屋を置こうって思ってる。」と漏らしたところ
「プレハブ置けても、不要になった時の処分に困るぞ。」と、もっともな意見。すでに手頃なプレハブの目処が立っていたのだが、自分もちょっとそこが気になっていたところだった。おまけに少し高台の土地にはクレーンも必要。気持ちが萎えかけていたところに、囁きが…
「俺が建ててやろうか?」

予算的に無理ですって

 いやいや、例えコヤとはいえ、純和風建築の棟梁に頼んだらいくらかかるんだ?「おじさんに頼むほどの用意はできんのよ。」と断りはしたものの、「素人普請では、小屋がひっくり返るぞ!」と、痛いところをついてくる。うーん…

 数日後、「おじさんから図面預かってるよ。」と母から連絡が。もちろん頼んだ覚えはないのだが、今回もとにかく動きが早い。しかも、自分が「小屋」というワードを使っていたものだから、純粋に「物置小屋」のデザインで。これは自分の思いをきちんと伝えておかなければ、トンデモ方面に話が進むと思い、家に来てもらったというわけだ。

 棟梁には、物置ではなく「アトリエ」を建てたいという思いを伝えた。土間でなく床張りをしたいこと、休憩ができる場所にしたいので、トイレも設えたいこと、など、細かく話をした。棟梁からは、そのためには、水平レベルを取った整地が必要なこと、それにはかなりの予算が積むことなどを教えられた。概算を聞くと、想定の3倍ほど。いやあ、やっぱり無理

 とはいえ、夢だったものの形を朧げながら見てしまったことで、気持ちが前のめりになってしまった。恐る恐る「基礎と柱と屋根までで…」と交渉したところ、あっさりとOKが出た。棟梁は、自分が木工を趣味としていることを知ってくれている。それでも概算は想定の2倍。その後、自力で仕上げまで行うことを考えれば、さらに予算も時間もかかる。どうする?

 結局今日、仮見積もりをお願いした。
「鍋が沸いて具材入れるまでになってるのに、迷ってるうちに鍋が冷めるぞ!」
棟梁の、今日の金言。考え過ぎで腰の重い自分の背中を、動きの速い棟梁が押してくれている。

 整地もキャンプもすっとばかして、いきなり最終目的のアトリエ建設のターンに突入しようとしている。だって鍋が沸いてるんだから。

 次の投稿では、いったいどこまで進んでいることやら。


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