初恋患い 【詩】
雨が酷く降っていた
黒いフード被り
傘代わりに店内へ来店
フード付のジップパーカーを
脱ぐと雫が零れ落ちた
それだけ外は土砂降りだったみたいだ
店内では解らない
雨音さえも聞こえない個室部屋
彼女は白いYシャツ姿で客を待つ
彼が現れた
エスコートするのは私
個室で他愛のない営業会話
彼を一目見て高まる鼓動に彼女は動揺した
ときめきてる
冷淡ないつもなら素っ気無く接客態度
でも今は違う
ドキドキ鼓動が彼に伝わるかな
手順よくなんていられなかった
誘い言葉に初めて乗ってみた
携帯の充電も残り僅か
取り敢えずカードに電話番号を書いて渡した
攻めるのは私
身体を求めるのも私
一方通行の片道切符だと思ってた
会えば会うほど恋しくて
彼からの電話をいつしか待つ身になっていた
1ヶ月が過ぎ
3カ月が過ぎ
一年が過ぎ
三年が過ぎ
10年手前で恋は終わった
その間に同棲生活 結婚
かぞく一人増やそう
それが彼の最後の言葉だった
夢半ば
自然災害は怖いもの
無惨に彼を奪った
でもね
私の中ではまだあなたは生きてる
もうとっくに姉さん女房になってしまったけれど
彼を奪った日は気持ちが沈む
どん底を味わってきたから
この先も毎年訪れるだろう
恋は冷めることなく
今でも彼を思うとドキドキする