千石英世『地図と夢』(注文チラシ付)
青年時代に書いた詩に加筆し編まれた、千石英世はじめての文芸創作作品!
アメリカ文学者であり評論家として第一線で活躍されている千石英世さんの初の創作作品、詩集『地図と夢』を発行します。
2020年、令和2年の春のコロナ禍、これは今なおその真っ只中なのですが、これが私にとって稀有な自由時間となり、あのころの書き物を引っ張り出し整理しはじめたというわけです。少し手をいれました。いや、たくさん手をいれました。手を入れるに際し、こころにとがめるものがありましたが、覚悟をしてもらいました。あきらめたわけです。「あとがき」より抜粋
川。煙突。空。風。光。星。父。母。子ども。詩集を読み終えたあと、こんな言葉が記憶に残る。[…]明るいのに寂しさが降っている。健康なのに熱っぽい。詩を書いたのは青年だった千石さんで、手を入れたのは古希を過ぎた千石さんだが、帰るべき家が見つからない子どもが詩集の中をさまよっている。行けども行けども、どこにもたどり着けない子ども。たどり着けないことを知っている子ども。子どもではなく精霊かもしれない。──栞文・平田俊子
詩集の表紙を開き、「序」に視線を落とす。
そこには、『地図と夢』のテーマのひとつでもあり、羅針盤のひとつでもある「ゲニウス・ロキ(地霊)」についての文章がある。
その地の守護をするものでもあるゲニウス・ロキだが、ときに旅人を惑わし、夢にあらわれ早口で語りかけてくるのだそうだ。
詩のタイトルには副題として地名があります。
これは、実在する地名であると同時に、千石さんの中に存在する土地の記憶でもあるのです。
あとがきに、「副題とした地名の存在が、若き日の書き物と、よわいこのとしを迎えた今の私とを橋渡しする Genius Loci となったことを申し添えたいとおもいます。」とあり、コロナ禍、ふとおとずれた自由時間のなか、地図上で、あるいは実際に歩いた地面をたどり、過去に見た風景や青年時代の日々がふと眼前に現れふたたび詩作へと手を引かれたのかもしれません。
完成した本を少し緊張した面持ちで手にされ、お話をしていくうちに、ただ喜んでおられるだけではない、複雑な、でも優しい笑顔を見せてくださいました。
それは、遙かなる、若き日のご自身といっしょに作り上げた一冊の詩集、あるいはそれを超えたなにかへと思いを馳せる場面ではなかったのか、と想像し、胸に熱くこみあげてくるものがありました。
発行日は2021年1月11日、発売は1月下旬となります。
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詩集『地図と夢』
著者 千石英世
定価 本体 ¥1700+税
並製・四六判・小口折・カバー、栞付
栞文 平田俊子
装丁 倉本修
ISBN 978-4-87944-431-8
千石英世 1949年生
著書
『小島信夫──ファルスの複層』(小沢書店1998)
『異性文学論 愛があるのに』(ミネルヴァ書房2004)
『【増補版】白い鯨のなかへ ─ メルヴィルの世界』(彩流社2015)
翻訳
メルヴィル『白鯨』上下(講談社文芸文庫2000)
他、著書・共著・編纂多数
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