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シブヤコミュニティ散歩vol.8 楽しさの中で人がつながる、笹塚ボウルの秘密(前編)

京王線笹塚駅から徒歩0分の「笹塚ボウル」は、創業51年になる老舗のボウリング場です。家族や友達と、または会社の懇親会で行ったことがあるという方もいるのではないでしょうか。車で甲州街道を通ると見える、てっぺんにボウリングのピンが乗った緑色の看板をご存知の方も多いはず。

コロナ禍を経て、人と集まることの喜びや価値が改めてクローズアップされる中、街のボウリング場はどのような役割を果たしているのでしょうか。笹塚ボウルを運営する株式会社京王興産の代表取締役社長、財津宜史さんにお話を伺いました。

小学生からシニアまで。地域の人々でにぎわうスポット

本格的なボウリング施設とコミュニケーションスペースが両立している

笹塚ボウルのコンセプトは「地域のコミュニケーションスペース」だ、と財津さん。その言葉の通り、オープンの朝8:30から地元のシニアの皆さんが集まり、いい汗を流しています。

「皆さん元気でしょう?」

と嬉しそうな財津さん。インタビュー中、たしかにシニアの方が多いなと思っていたのですが、80代から90代の方も多いと伺ってびっくり。フロアを行き交う皆さん、どなたも姿勢が美しい!きびきびとした足取りに驚かされます。

午後には区内の小学校、中学校の生徒たちがやってきます。これは、区立の中学校が合同で地域の外部指導員による指導の下、部活動を行うという、渋谷区独自の取り組みなのだそうです。一般的な部活動は学校の先生が指導するスタイルが主流。しかし、学校の先生には転勤が多く、安定した指導が受けにくいというデメリットがあります。

「そこを、地域にいる僕たちが担えたらいいでしょう?うちでは、プロボウラーの井口直之さん、井口遼太さんが指導してくれています。そういう機会を提供できるのも、うちのいい所だと思っています」(財津さん)

子どもたちが帰った夜の時間には会社の懇親会やイベントが入ることが多いのだそう。そんなふうに、地域のさまざまな年齢、属性の人たちが入れ替わり立ち替わり訪れているのが、笹塚ボウルの日常なのです。

DJブースに音響設備、照明。プロ仕様の設備を置く理由

財津さんのお話を聞きながら気になっていたのが、肩越しに見えるドラムセットと本格的なスピーカー。どちらも一般的なボウリング場ではまず見かけません。

プロによるイベントも連日のように行われている

「ここは、地域の人たちのためのステージです。地域の人たちがダンスの発表をしたり、バンド演奏をしたりするイメージでつくりました。いまはプロのミュージシャンの利用も多く、夜は毎晩のように音楽イベントをやっていますよ。」

と財津さん。

笹塚ボウルにはボウリングのできるスペースから独立した形で食事を楽しめるレストランフロアがあり、そこに併設する形でステージ、さらにはDJブースまで設置されています。食事を楽しみながら本格的な演奏を聴けるなんて、ますますボウリング場のイメージからは遠ざかります。

音楽イベントはもちろん、懇親会やパーティーでの利用も多い、と財津さん。

「あとはウェディングが多いですね。レストランフロアで披露宴をして、そのあとボウリングの方に移って遊べます。ビンゴ大会をやるような感じで、余興として楽しんでいただいています」

「本当の目的はボウリング以外のところにある」リニューアルで得た気づき

充実のフードメニューは笹塚ボウルの大きな魅力

来てくれる人たちに楽しんでもらうために音響や照明には相当こだわりましたね、と財津さん。ボウリング場なのに一体なぜここまで?伺ってみると、

「いや、僕はここをボウリング場だとは思ってないんですよ。あくまで目的はコミュニケーションを生み出すこと。ボウリングはそのためのしかけのひとつだと考えています。しかけは何もボウリングだけじゃなくていい。コミュニケーションが進むためにはおいしい食事やお酒もあったほうがいいし、音楽もあったほうがいい。そんなふうに必要なものを設備として整えていった結果、いまのこの形があるんです」

財津さんがそんなふうに考えるようになったきっかけを伺ってみました。

「2007年に、機械の老朽化などの問題があってリニューアルをしました。そのときは『レストランの中にあるボウリング場』をコンセプトにしていたんです」

ボウリング場は、広いスペースが必要な割に利用料が安価なため、収益を上げるのはなかなか難しい側面があります。その問題点を解決しようと、付加価値をつける目的で「食」に注目した財津さん。ところが、リニューアル後のお客さんの姿から、財津さんはあることに気づきました。

「皆さん、『何を目的に来ましたか?』と聞いたら『ボウリングです』って言うんです。でも実際に何を楽しんでいるかというと、人と会うことや、そこでコミュニケーションをすることを楽しんでいる。本当の目的は、コミュニケーションの方にあるんじゃないかと気づいたんです」

その気づきを元に、改めて大幅リニューアルをしたのが2022年のこと。従来から人気を博していた本格的な食事やドリンクの提供に加え、音響設備や照明の充実を図った結果がいまの笹塚ボウルなのです。

「いまの笹塚ボウルの形が、僕にとっての理想ですね。」

と財津さん。長い試行錯誤を経てたどりついた理想のボウリング場は、今日も来場者をさまざまな形で楽しませ、新たなコミュニケーションを生み出しています。

-information-
笹塚ボウル
https://sasazukabowl.com/

住所:
東京都渋谷区笹塚 1‒57‒10(3階・4階)
予約・問い合わせ:03-3374-1301
予約フォーム
https://sasazukabowl.com/reservations
問い合わせフォーム
https://sasazukabowl.com/contact
※利用の際には事前問い合わせや予約をお勧めします。

営業日:
無休。営業時間は
毎週日曜〜木曜:8:00〜翌0:00
毎週金曜・土曜:8:00〜翌3:00


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