あれから10年
4月5日はぼくにとっては特別な日。10年前のこの日は福島の南相馬で上野敬幸さんと出会った日だから。
写真の左にいるヘルメットをかぶっているのが上野さん。津波で行方不明だった両親と子2人を探していた(母と長女は見つかったが、父と長男はいまも見つからないまま)。あのときぼくは上野さんに近づくことができず、何時間もだいたいこの距離感で付かず離れずにケツを追いかける金魚の糞だった。
地面をよく見ると、泥混じりの砂で覆われているのがわかる。色彩を失っていた場所が一面、菜の花で覆われるなんて、あのときは想像できなかったなあ。