大阪・行方不明女児誘拐、SNSがいけないの?

 大阪の行方不明女児は、逮捕された栃木県小山市の男とSNSを通じて知り合い、他の女の子の話し相手になってほしいなどと言われ、男について行ったことがわかっています。

小学生でもSNSを使う時代

 SNSを通じ、小学生が犯罪に巻き込まれるというのは今に始まったわけではありません。小学生がSNSをすること自体はもはや珍しい訳でもないし、見知らぬひととの出会いも普通だと思った方が良いかもしれない時代です。

 今回のやりとりはまだ全貌がわかりませんが、暇と不安と時間があることはSNSで見知らぬ人と繋がるときのキーワードだろうと思っています。拙著「ルポ 平成ネット犯罪」でも、SNSが犯罪場面でどのように機能するのかを触れています。 

 いつでも、どこでもインターネットができる「ユキビダス」は、日本政府は政策的に進めてきたこと。実際に、スマートフォンが普及し、小学生からお年寄りまでが、いつでもどこでもネットにアクセスができる。そのため、アクセスの手段であるSNSだって、今更禁止もできない。ただ、いつからアクセスを自由にさせるのか。親にとっては心配かもしれない。しかし、小学生や中学生で禁止をしたとしても、いつかは、SNS初心者になることは間違いない。初心者がトラブルに巻き込まれやすいことを考えれば、解禁されたときが一番のリスクのあるタイミングになるかもしれない。

 Twitterの反応を見ると、「小学生なのにSNSをしていることにも非がある」などの意見もあった。この反応、2004年の長崎県佐世保市で起きた「小6同級生殺害事件」のときの、「小学生でブログをしているなんて!」というようなものと似ている。SNSがあるかどうかで犯罪をするのであれば、もっと多くの犯罪が発生してもおかしくはないが、事件の一面だけ見ると、SNSが悪いと思ってしまうのでしょう。特に、SNSは、大人が子どもを管理できない象徴なのかもしれません。

 もちろん、一般的には行動範囲が広がる中学生や高校生のほうが、小学生よりもリスクが低いとは思っていたが、通信の相手が大人で、自宅付近まで来ることができるとなると、リスクは変わらないということが、今回の事件でわかったことだ。

 大阪の行方不明の女児に関する未成年者誘拐の疑いで逮捕された男の自宅には、別の少女がいました。その少女が行方不明になったときには、男の電話番号が書かれた紙があった。そのため、当時、自宅を捜索していたが、発見できなかった。似たような事件を繰り返していたということでしょうか。

 報道されているレベルでは、まだ生きづらさの原因はわからない。ただ、その一端がわかる記事もある。父親が幼少期に亡くなている。事実上の母子家庭。その母親は、介護のために別に暮らす。大人しい性格ということなので、自身に生きづらさを感じていたとしても、言葉にできないことがあったのかもしれない。ただ、それゆえに、目立たず、彼の生きづらさにも関心がなかったのではない。

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