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No.235 「ラグナクリムゾン」15巻備忘録

0. はじめに

 最新話の第80話が出るまでの間のウォームアップとして, 15巻の備忘録をサッと書き上げる. にしても以前買えた本屋に最新刊が置いたなかったので仕事後にわざわざ街中のジュンク堂に買いに行った. 一体, どうなってるんだ?

1. 表紙裏 Tips より

 これまでと毛色が異なり, 「表紙キャラ裏話」ではなく, 「表紙武器・技解説」だったのだが, サラリといくつもの重要情報解禁. 解禁なのだが, 実は解禁されたことでむしろ謎が深まった面もある.

 とりあえず取り上げられた Tips は

(1) 銀器
(2) 滅竜閃・我竜閃
(3) 銀気闘法
(4) 銀彗星(剣)

の4つ(ものの見事に全て漢字!).

 (1) の銀器ないしは(神)銀の記述に関しては概ね作中で説明ないしは描写されたとおりの, 「ラグナクリムゾン」の世界における我々の常識の範疇のものである. それにより, たとえばスターリアがどうやって剣を打っていたのか(操気術)はこれで明らかになった.

 (2) は滅竜閃と我竜閃の違いの説明から, 後述の (3) と関係しており, その点の情報が新しい. ただ一点, 句読点が省略されている都合で一読で(日本語の)意味がわからなかったのが

「なお不老剣士にとってこの技は
凡人が使うことを想定した技とも言えない工夫であり
本人が好んで使うことはない.」

多分

「なお不老剣士にとってこの技は,
凡人が使うことを想定した, 技とも言えない工夫であり,
本人が好んで使うことはない.」

と読むのが正解だとは思うが, 内容とは関係ない所で少し気になった.

 (3) は今更感は少しあるが, 考えてみるとちゃんと第1話のアレは解説というよりは, 銀気闘法の取得までヒストリーだったのであり, まともな解説は確かに初めてな気がする. というよりかなり気合が入っている. 特にこれまでよくわからなかった(明言されていなかった)銀気闘法の明確なデメリットについての言及があった点は面白い. そう思って振り返ると, 風ザコや, 最初のアルテマティア戦, タラテクトラ戦でのラグナのダウン, ないしはダウンしそうになった時の描写のツジツマが合っていることが改めてわかる. 確かに DB の超化も身体への負荷が大きいし, ダメージを受けると解けてしまうから, 銀気闘法もそのイメージなのだろう.

 そして (4) である. 今回の Tips で一番面白かったのがコレ. 曰くスターリアの分身であり, カムイ戦での諸々の能力もスターリアによるものであり, 現在は柄だけなのでスターリアの能力は使用不可とのこと. でも, そうすると

「先日の桐生君との一戦の際の銀剣アイアスとかは何だったんだ?」

という疑問が湧いたり, するのだが…

 あともう一点気付いたことがある. 「分身」という言葉だが, これは本当にそのままの意味なのではないか? つまり, 既に翼の血族最終決戦から半年以上の時間が経過しているにも関わらず, 恐らくスターリアが目覚めていないのは肉体面での問題はなく, それこそ精神や魂に関係した問題であり, たとえば彼女の魂はその分身である銀彗星(剣)にある. だから, 

「銀彗星(剣)を復元させないと(具体的には諸々の能力が再度使えるようになるまで復元しないと), スターリアも目覚めないんじゃないか」

という予想が立つ.

 これはつまり

「銀彗星を復元するにはスターリアが起きなければならないが, 
スターリアを起こすには銀彗星を復元しなければならない」

という中々に paradoxical な状況を想起させる. こうだとすると, 一体どうするのだろうか. 魂絡みの問題だとすると, 結構終盤までスターリアが目覚めない可能性が出てきた(少なくとも太陽神教編では起きない?)気がする.

2. 操気術をめぐるパラドックス

 本編で気になったのは第75話の最後のおまけの一コマ. 

「師匠としてはクソシー」

 これに関しては, 第75話掲載時点で既に備忘録

の中で

『ただ, ルオシーがラグナ流操気術を知らず, 飛翔術に驚いている(天才だ!)という点には引っかかる. つまり太陽神教は, ルオシーの師であるハクレンを含め, これらの操作プログラム的な気の技術を知らないということである.

 では, ラグナはこれを独学で身につけたのか? てっきり未来ルオシーあたりから基礎を習った(『教わったのは主に気の扱い方だから』)と思っていたのだが. 未来ルオシーはこれを知っていたのか? あるいは知らなかったのか? この辺の喰い違い(一種のタイムパラドックス)も気になる.』

と指摘している. 

 設定ミスだろうか? 私は「そうではない」と考える. というよりこれこそが

「(クリムゾン様だけでなく)ラグナもこれが初めてではない」

という仮説の一つの証拠であるように思う. ただ, これに関して論じるにはまだ時期尚早であると思うので, ここでは小林大樹が単行本収録時点で敢えてこのパラドックスを強調していた事実を注意するに留める.

3. アメンの位置問題の決着

 第78話の備忘録

で繰り返し指摘した

「作中に出てきた3つの(極)座標

(232度, 570km), (247度, 560km), (159度, 600km)

からアメンの位置を特定できるか」

というアメンの位置問題と, ゲヘナとアメンの位置関係から発生するある種の矛盾だが, 結局件の3つの(極)座標は単行本収録に際しても, 修正はされなかった. ということは咆哮の血族は, 地下を掘ったのか, 転移をしたのかは不明だが, わざわざゲヘナからアメンの反対向き500km以上先に, 大量の竜群を運んだことになる.

 私はゲヘナから湧いて, 適当に進軍してからアメンを取り囲めばよいと思っていたので, 何のためにわざわざそんな手間のかかることをしたのか意味不明だった(そんなことをするなら直接アメンの下まで穴を掘って, ノータイムで強襲した方がよい)のだが, 私の想像以上のアメンの「堀」ないしは防衛ラインが広かった(直径数百km以上?)ということなのかもしれない.

 あるいは

「地表にいる竜群はまだデコイで, 本命はアメンの直下の地下に潜んでいて, 戦況がある程度進んだ段階で発動(アメン直下の地下からアメン内部に急襲)させる咆哮の血族の奥の手」

という描写の為の伏線である可能性もワンチャンあるかなぁ.

 そうだとしたら, やはり「アメンの位置問題」は今回の戦いにおいて割と重要な問題(伏線)だったということになる.

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