No.236 「ラグナクリムゾン」第80話備忘録
0. はじめに
単行本15巻の備忘録に続けて, 第80話の備忘録を仕上げる. そして, 今決めました. 少し遅いですが, 今年の目標(の一つ)は
『「ラグナクリムゾン」の本編最新話を読んだらすぐに備忘録を書く』
にします(時間を空けると次の最新話発売直前まで延びることが多かったので).
それでは今年も対戦よろしくお願いします.
1. ガンガン JOKER の表紙より
まず本編とは直接関係ないが, ガンガンJOKER の表紙の煽り
「複雑な世界で 直線に, シンプルに」
が気になった. 多分, 英字で書いてある
「Stay true to yourself
bold and simple, in this tangled world」
の後半部分の和訳だと思うが, 酷いなコレは.
bold は普通は「勇敢に」だろ. 「直線に」って何だよ. 仮に意訳だとしてもせめて「真っ直ぐに」あるいは「愚直に」あたりじゃないのか. コレに関しては小林大樹じゃなくて(彼は表紙絵は描いたがデザインにはタッチしていまい), 編集部の方のやらかしだと思うが, 大丈夫か, 本当に.
正直これまでも, ガンガンJOKER編集部は色々やらかしてくれた苦い経験が少なくないから, まぁこういうことがあってもおかしくはないが, 何をどうしてこういう意味不明なやらかしが発生しているのかの原因がわからない. 最近はこれぐらいなら Google 翻訳に放り込んでもこんなおかしなことは起こらんだろうに.
ともかくなんとなく(英語に明るくない日本人に英訳してもらったのではなく)
「日本語に明るくない外人辺りに和訳してもらった」
という印象を受ける和訳である.
ちなみに私なら, 英語がニガテ以上にそもそも元の文章で何が言いたかったのかよくわからないから, あまり自信がないが, 「ラグナクリムゾン」の文脈で訳すなら
「誠実たれ
勇敢に 真っ直ぐに この縺れた世界で」
あたりかなぁ.
個人的には「複雑」の訳に「complicated」ではなく, 「tangled」(絡まった, 縺れた)をあえて用いているのが気になった. 要するに世界の複雑さを単なる chaotic ではなく, より精密な表現で描写しようとしていることに「ラグナクリムゾン」的に特別な意図を感じる. つまり
『絡み合い, 縺れあっているのは世界の因果, 運命の類.
そしてそんな世界にあって如何に(自己に対し?)誠実たらんとするか』
と問うているのならば, それは確かに「ラグナクリムゾン」のテーゼのように聞こえる.
なので
「ならいっそ和訳を載せなければ良かったのでは」
とも思うが, 実際妥協案として, 訳を半分だけにしたのかもしれない.
2. 滅竜閃横薙ぎ!
「滅竜閃横薙ぎ!」の描写うまいな
(1) 15巻の表紙武器・技解説にあった「太陽神教はこの技(滅竜閃)の習得が二等神民になるための条件とされている」がここの描写でもわかる. つまり単行本はある意味情報の先出しに過ぎず, それを読んでいなくとも本編だけからそれを読み解けるようになっている.
(2) こまいがルオシーがサウスポーであること(これに関しては第64話備忘録Section 5で既に言及している),
滅竜閃の威力が強くてはやいこと(放った斬撃の大きさが一番大きく, また一番先頭に出ている)がわかる描き分けがされている.
細かいが, これこそ正に
『こういう細かい一手間が存外クズにはできぬもの…!』
であり, 流石は小林大樹である.
3. バグラムの攻勢より
そもそもバグラムの能力がどうしてニム防御を貫通してきたのか? 魔力を9割カットしているから, 『死ね』と言われても大丈夫ではなかったのか? たとえばマリオネッタの転送等にリソースを割かれて, ニム防御が局所的に弱まったから?
逆にバグラムは何故途中で攻勢を止めた? やはり魔力切れ? あるいは姿が見えないクリムゾン様は正に太陽神教を捨て駒にして, バグラムを消耗させる作戦か(アルテマティア様に時を戻させて魔力切れを狙ったように)? 死者は出ていないが, 聖人, 聖女達にも効いている(逆に言ったことが現実になっていないことから, そもそも能力による干渉, 実現自体に限界があることがわかる)バグラムの能力だが, 唯一骸の聖人ガインは全く堪えていない様子. やはり彼は骸で既に死亡しているのか?
あと太陽の聖人は(効かないことがわかっているから)ともかく, どうして網の聖人, 不老剣士, 檻の聖女(ついでに預言者オルゴール)の名をバグラムは呼ばなかったのか? 一つはこの辺が内通者, 裏切り者であるという伏線(実際, 彼ら彼女らは今現在太陽の聖人の一番近くにいる). そもそもニム・ハムニムが9割カットしていたはずの能力が貫通している理由が判明しない限り, 現状彼女は特に怪しくなってしまう.
まぁ, ここは単純に, バグラムに名前を呼ばれた人員は外で戦っていて(カルラもクローンが戦地に出ているはず. ちなみにこの時点で約6000体以上のカルラがいることもわかる),
「バグラムの目の届く範囲にいるから」
ということかもしれない. こちらだとすると, バグラムの能力の発動条件に
「対象の視認が必要」
というものがある可能性が出てくる. 確かにこれまでのバグラムの能力が発動した場面を振り返ると, この条件を満たしており, そのセンも十分にあるだろう.
能力の発動条件というと, もう一つ自明だが
「発動した声を対象に聞かせる」
というものがある. しかも前回の「世界よ」の行から考えるに, 聴力の無い対象(世界!)に対しても発動できるようなので, 単純に音波がある程度の音量で届く範囲ということかもしれない.
4. 銀気鎧始動
銀剣の聖人部隊にギュスターが指示を出している(そしてアイク達がそれを素直に聞いている)ことに少し驚いた. 「ラグナが了承してるから」ってことなのかな? あと銀気鎧の運用法があのスタイルだとラグナは後方待機してないとダメなのね.
まぁ, 恐らくそもそも銀剣の聖人部隊の運用目的が
「ラグナの消耗を抑えたままで竜王や高位位階竜にぶつけるための補助要員」
だろうから, これで正解だとは思うし, 漫画的にもラグナを待機させる理由付けができるから, やはり「これでいい」ということなのだろう.
にしても, スライム先輩はラグナの側にいそうだけど, クリムゾン様ご一行は一体どこでスタンバってるんだ…