ド深夜!冬本番!突撃じゃれ禍2025/01/10:2020/01/17
前文(飛ばして問題が無い部分)
『じゃれ禍』とは、オンラインでリアルタイムにリレー小説が行えるサイト、『じゃれ本』
を使って、直前のページしか読めない状況で禍々しい話(ひらたく表すと怖い話)を生み出して行きましょうよ!という、文章速筋のトレーニング、怖い話の引き出し作り的なものです。
(以上前文)
以下はその蒔いた種(タイトル)から知らない花が咲くことでおなじみの『じゃれ禍』話数と筆者の曜日感覚の忘却により2025年1月10日と同年1月17日二回分のまとめとなります。時の過ぎゆくままが早過ぎますね。
(全て敬称略だったりじゃなかったりです。ご承知おきください)
ド深夜のじゃれ禍2025/01/10
『一筆土瓶』タイトル:どす恋!ケツ毛大明神
蚤の市を友人とぶらついていたところ、友人が
「あっ、これ良い!」
と手に取ったのが土瓶だった。
土瓶には一筆だけツーっと模様が入っているが、何の模様かは店主に聞いても分からなかった。だが、友人は気に入ったようだった。
それから、またぶらついてると友人が
「あ、あっちにもあるじゃん!」
って別のお店?に向かって行くと、また一筆だけ模様が入った土瓶を手に取っていた。
それを何回か繰り返して、帰り際には、一筆土瓶屋を開けるくらいの土瓶を購入していた。
買った土瓶を全部近所の配送センターに持って移動したので、自宅に配送だと安心した。
だけれども、なのにそのうち二個、私の自宅に送られてきたんです。何で?間違ってない?ってLINEをしたら『その2つは一筆で繋がるから』と。その返信以降連絡が取れなくなってしまった。
一筆で繋がる……?と困りながらも眺めていた時に
「もしかして、これって一筆のつながりが何か分かったら良くないのか?」
と思い……リサイクルショップに売ったんです。一つずつ売れていったらんなら大丈夫なんじゃないですかね?多分。
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『残業してたら勘が冴えた話』タイトル:芝生
や~きっついわ~!昨日残業しちゃってさ、えらい目にあったわ!
なんかさ、めっちゃ遠いとこの内線電話鳴ってんの!誰もいないから取ろうとしたら受話器を手に取る間近くらいの絶妙な所で着信音が止まるわけ!それ繰り返し!
も~なんだよ!仕事の邪魔するなよ!ってすごくイライラして!
だから電話の近くで仕事したらこの内線も取れるだろうってムキになって、近くで仕事し始めたんだよね。
そしたら鳴らないんだよ!内線!
で、飲み物取りに行って戻って来た時に着信音なるじゃん!?
手に飲み物持ってて急げない、それでまた電話切れる!おちょくられてるじゃんさ!
で、気づいちゃったんだよね。最初からこうすれば良かったんだって。
「…同僚はそう言って徹夜明けの顔で帰っていきました。うんまぁ、そうですよね。受話器外したままにしておけば鳴らない。いや、やっぱ残業って良くないですよ。あの電話、電話線もコンセントも、何も繋がってないのに」
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『黒く濁った目』タイトル:薄暗
黒目がちな人っているじゃん。申し訳ないんだけど、そういう人が苦手になっちゃった、って話。
学生時代の友達っていうか悪友にAってやつがいてさ、そいつが
「あそこの百貨店の屋上、煙草吸える穴場なんだぜ」
当時、先生に煙草吸ってるの見つかったばっかりだったから、吸いたくて見境い無くなってたんだろうな、「じゃあそこ行って吸おうぜ」ってAの誘いにすぐ乗って百貨店の屋上まで行ってさ。
そしたら女が先にいたの。一人。黒目がちっていうか、
黒目が大きい?って気はしたけど、そんなのどうでもよくて煙草に火をつけたんですよ。それでAと話しながら煙草が短くなるにつれて、なんか女とすげぇ目が合うな……って思いながら吸ってたんだけど。気づいちゃって。
少女漫画っぽい絵、ってあるじゃん、目と頭が大きくて他のパーツが小さいみたいな。
あんな感じで女の顔の寸借?がおかしくなっていって。でも目だけは真っ黒できらきらしてて。それから何だかもう、苦手なんだよね。黒目がちな顔。
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冬本番のじゃれ禍/突撃!じゃれ禍20250117
『写真を撮るのが趣味な後輩』タイトル:芝生
写真を撮るのが趣味の後輩がいましてね。その後輩が
「今日の夜、ちょっといいですか?」
って言ってきて。相談事みたいな感じで写真を持ってきました。その写真は少し前にあった職場のイベントの様子をインスタントカメラで撮影した写真だったんです。
普通に良い写真でしたよ。趣味にしては結構本格的っていうか。職場のイベントなのに、ちょっとしたデカいフェスみたいな雰囲気出るもんだなって褒めたんですよ。そうしたら
「この写真、夜になると変わるんです。丁度今みたいな時間になると」
どういうことだと写真を見ていると、さっきまで写っていたイベントの写真がスーッと、インスタントカメラで撮った写真が現像されるものの逆回しみたいに、真っ黒な写真に変わっていったんですよ。
で、しばらく見てると何が写ってるか分かった。
うわっ、と思って写真を落としてしまった。後輩が口を開く。
「それね、カメラのレンズを誰かが手で隠している写真だったんですよ。指と指の隙間から光が微かに見えるんですね。気づいてからレンズを見ると、何かベタベタと脂ぎった指紋が付いていて。それからカメラ、使いたくなくて」
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『駅前の水槽』タイトル:どす恋!ケツ毛大明神
最寄りの駅前に、水槽が捨てられているのを最近発見しました。
苔だらけでアロワナくらい飼えそうな大きさの水槽が、線路からすぐのフェンス、足元に生えた雑草に紛れるように、撤去もされずに放置されていました。
それで通りがかるたびに、まだあるなぁ……と思いつつ、何日か過ごしていたんです。
ある日の帰り道、その苔だらけの大きい水槽に近寄ってる人を見かけました。若い男性で、水槽に向かって小声で何か言っていました。通り過ぎるふりをして何を言っているか聞いて見ると
「まだ来ないんですか?」「まだ来ないんですか?」って、ずっと呟いてるんですよね。苔だらけの水槽に張り付くくらい近づいて。その時はなんか変わった人がいるなって思ってたんですけど……他にもいたんですよ。水槽に声をかける人。
老若男女いろいろな人が苔だらけの水槽を見て、声をかけているんです。
見かける人全員が「まだ来ないんですか?」「まだ何ですか?」そう呟いてます。
気になってしまい、つい、誰もいないタイミングで私も水槽を除きに行きました。
苔が鬱蒼と生えた水槽を覗き込むと
「やっと来たんですね」
最後に聞いたのは低い男の声でした。
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『埋める沼』タイトル:薄暗
うちの地元さ、貯水槽?みたいな沼があんだよね。藻が生えてて水が張ってるのかパッと見じゃわからない、緑~なやつ。
小さい頃からずっとあったやつなんだけど、ちょっと前に埋め立て工事が入ってさ。
井戸とかでもそうだけど水回りの工事の時って地鎮祭的なのするのが一般的じゃん。神様にどうこうするの。それがさぁ……、話の流れ的にわかっちゃう?
まぁ――やらなかったんだよね、埋め立て工事の会社が。それで、どうなったと思う?
会社が潰れちゃった?従業員が怪我した?死亡事故が起きた?とかまぁ、色々浮かぶよね。
結局ね、会社の社長のお子さんにツケが回ってきたみたいでね。
家の中で倒れてたんだんだよ。でも、状況が不思議で。
外傷がない、誰かと争った痕跡もない。
なのに、胃とか肺の中から大量に藻が出てきたらしいんだよ。
身内の犯行の線も浮かんだらしいんだけど、抵抗の跡も無い、入水したような痕跡も無い。
何より直前まで家族みんなで普通に食事してたらしいんだよね。レストランで。
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『半笑いの叔父さん』タイトル:薄暗
いるじゃないですか、親戚の集まりにいる何してるか分からない叔父さん。ウチにもいたんです、確か母親の弟だったような。
いつもうっすら笑顔で、気が付けばタバコを吹かしてるちょっと猫背の叔父さん。
その叔父さんの眉間には傷がありました。
「これか?信号無視してたらこうなったんだ。信号は守るもんだぞ」
「お前の母さんと小さい頃ケンカしてなぁ、お母さんの言う事は聞いとけよ」
眉間の傷の理由が毎回違うんです。だからもう自分からは傷の理由を聞かなくなったんですけど。
ある夏の午後でした。叔父さんは縁側でタバコを吸いながら
「この眉間の傷なぁ……」
と、自分からポツリと話し始めました。私は叔父さんの背中を眺めながら話を聞いてました。表情は見えません。
「……変な白い化物みたいなのに会ってな。その時に怪我したんだよ」
「その時に出来たキズでさぁ……友達って言っていいかな、今なら……」それから内容は、叔父が友人たちと白い化け物に立ち向かった、一夏の話でした。佳境になると「続きは今度な」と頭を撫でられ、話は終わりました。
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『汚れたパンダのワッペン』タイトル:芝生
上野に行くと色々なところにパンダグッズのコーナーがあるじゃないですか。あれ見るのちょっと苦手なんですよね。
子供の頃、落ちてる物……ビー玉とか、何でも拾ってきては親に叱られてたんですけど、パンダのワッペンを拾ってきたことがあったんですよ。
パンダのワッペンは汚れていたんですけど何か妙に気に入っちゃって、家に持って帰っちゃったんです。でも拾った後は興味も無くなっちゃって、学習机の引き出しに放り込んでて忘れてたんですよ。
忘れてしばらく経った頃、引き出しを開けようとしたら開かなかったんですよね。だから親に『机の引き出しが開かない』っ、バール的なのでこじ開けてもらったんです。
ところで、カマキリの卵って見た目より中にいっぱい卵が詰まってるんです。卵鞘でしたっけ
その日はご飯が食べられませんでした。
それから物を拾うことも無くなって。でも何ででしょうね、またあのワッペンを見たら持ち帰りたくなりそうな気がして……だからパンダのグッズが集まったショップとかは避けてるんです。
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『怪春』タイトル:どす恋!ケツ毛大明神
真冬というのに桜が狂い咲いた年があった。膝丈ぐらいの積雪があり、周りの風景は真っ白の世界。なのにその一本の桜だけが満開で。稀な出来事なのでみんな写真を撮るのに夢中になっていた。
珍しさから僕もスマホを取り出し、なんとか良い感じに写真が撮れないものか、撮影をしていると
「どう?きれいに撮ってくれた?」
と、声をかけられた。振り返ると、このあたりでは見かけたことがない、背の高い男性が立っていた。
針金細工のようなすらっとした長身で和装を着こなす、物腰の柔らかな男性だった。
彼も写真を趣味にしていたらしく、僕の撮った写真をきっかけにしばらく話をしていた。
……気が付くと、桜の近くの男性の家でお茶を頂く流れになっていた。
室内は暖かったが次第に外に出れないぐらいの雪になり、雪の重みで桜が散っていくのが見えた。
最後の桜の花びらが散った時のを見た時、頬を刺すような寒さでハッとした。目の前には裸の桜の木があり、散ってしまった桜の花びらだけが回りに落ちていた。
執筆順:薄暗/芝生/どす恋!ケツ毛大明神/薄暗
-禍々禍々禍々禍々禍々禍々-
後記
ご参加いただきました、どす恋!ケツ毛大明神さん、薄暗さん、ご視聴コメントいただいた皆々様、ありがとうございました!
本稿はツイキャスでの配信で行いました。 『じゃれ禍』始まりの男、佐藤実さんのツイキャス
『じゃれ禍』筋トレといえば、いいさんのツイキャス
も是非。
全ての事の発端、ツイキャス『禍話』
現代ホラー爆走中の梨さんによる禍話リライト(?)本!イベントがあります!
今回の叔父さんの話みたいに刺さる話があるので、まだ続けていきたいと思いm@s
※問題や修正訂正誤字脱字衍字、ございましたら何かしらの手段でご報告いただけますと幸いです。