【怪談】ただそれだけの話1&2
芝生が聞いたオチもなにもない、怪奇な話です。
●●●
『黒いゴミ袋』
先日実家に帰省した際に幼馴染から聞いた話。
Mちゃんは市内にあるホームセンターの園芸コーナーで、大学卒業後から今まで働いている。
そのホームセンターにまつわる話だ。
開店前の準備時間や閉店後、はたまた悪天候で客入りがいないような時、従業員が一人で通路を歩いていると、黒いゴミ袋が“出る”のだという。
置いてあるではなく、出る。
歩いていると、視界の端から、ぼす、と中身が詰まった一抱えもあるような黒いゴミ袋が突然飛び出てくるのだという。
えっ!? と驚いていると、それはいつの間にか消えてしまう。
ホームセンターという場所柄、商品として黒いゴミ袋や類するところだと園芸用シートなんかの取り扱いはあるが、ホームセンター内の施設のゴミ出しでは透明の袋を使用しているという。
当然のことのように、監視カメラにも映らない。中身が見えない満杯のゴミ袋には何が入っているのだろうか。
曰く因縁がある土地に建てられているわけでもない。ホームセンターが建てられた当初から、それは現れるのだという。
Mちゃんは幸い、まだ出会っていない。
●●●
『肩たたき』
ある時先輩と居酒屋に行った際に聞いた話。
私が怖い話好きということもあり、先輩に
「何か怖い話とか、体験ないですか? 人が怖い話系以外で」
と尋ねた。
「結論何もなってないんだけど、俺が住んでるA区に心霊スポットのトンネルあるじゃん」
「聞いたことあります。○○○トンネルですか?」
「そうそう。そこに友達と行ったときなんだけど」
◆
夏のある日。
先輩は日付が変わるまで友人とゲームセンターで遊んでいたという。
二時近くなった時、その友人が「この間ネットで見たんだけど」と、近くに心霊スポットがあるから行ってみないか? と切り出した。
先輩自体は怖い話やホラーがあまり得意ではないのだが、その日はゲームで勝ちが続き、少し気分が高揚していたのか、ノッてしまった。
道中のコンビニでお酒を買い、飲みながらそのトンネルにまつわる話などを聞いていた。
たどり着いたトンネルは、明かりもついていて特に怖い印象を行けなかったという。
なんだ、なにもなさそうだな。入ってみるか。と話していると、二人同時に肩をたたかれた。
えっ、と思った次の瞬間、周囲が明るくなっていた。朝日だ。
は? え? なに? と隣の友人も同じ様子だ。
◆
「そんだけの話なんだけど、唯一っちゃ唯一体験した変な話なんだよ」
「はー、不思議ですねぇ。どんな感じにたたかれたんですか?」
「それな。友達とそのあとマック行って話してさ、二人とも左肩を、俺らくらいの男の手で軽く、ポン、と。警察じゃないよなぁ」
そういうと先輩はジョッキを空にした。
先輩と友人の方は、二人とも百八十センチ代後半、という、日本人の中でもかなり高身長な男性だ。そのくらいの手、となるとかなり大きい。
そのトンネルでよく語られるのは女性や老婆の霊なのだが……。
●●●
オチも何もない話なら、意外とどこにでもあるのかもしれない。
※誤字・脱字・衍字ありましたらコメントやDMで教えていただけると助かります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?