見出し画像

「書く習慣」1ヶ月チャレンジ17日目:あなたの1番大切なモノ

社会人になってからできた友達の中で、誰かにものをあげるのが好きな人がいた。
 
当時、お互いに一人暮らしをしていて家も近かったため、駅前に飲みに行ったり、家に遊びに行ったりと、いま思い出しても自由で楽しい時間だった。
 
彼と初めて会ったのは、仙台市内で行われた、あるセミナーの会場だった。
たまたま席が隣だったことがきっかけで盛り上がり、話しているうちに偶然にも近所に住んでいることが判明し、家までの200㎞以上の道のりを車で送ってくれることになった。
 
「近くに住んでいたのに、200km離れた仙台で出会うというのが面白いね」

などと話しながら、彼は高速道路の道の駅でお土産を買ってくれたうえに、今日の夕ご飯に食べな、とパンとおにぎりまでごちそうしようとしてくれたのでさすがに断ったが、それでもいいからいいから、と押し切られる形になった。
 
その後も、彼はいろいろなものをくれた。1番多かったのは本。他にも電子辞書やノートパソコンなども、もう使わないからという理由でくれた。
 
一度、どうして、そんなにくれるのか、と聞いたことがある。

「俺はね、ものに対する執着がないんだよ。だから本当に必要なものしか近くに置かないの。誰かにあげたあとに、やっぱり自分に必要になったときは、そのときはもう1度買えば良いって思ってる」
 
確かに、彼の一人暮らしの部屋はものが少なく、よく整頓されていた。
このころは、「断捨離」とか「ミニマリスト」という言葉はなかったけれど、時代の最先端を走っていたのかもしれないと改めて思った。
 
彼の影響を受けたのだろう。
私も、ものに対してはあまり執着しないようになった。
お金で買えるものに対しては、必要なときに買えば良い。使わないもので身の回りを埋め尽くして、本当に必要なものが何かをわからなくなるよりいいなと思っている。
 
一方で、お金をいくら積んでも手に入らないものを失うとショックが大きい。以前、仕事で使うプリントやパワーポイントの資料のデータが入ったパソコンが起動しなかったときは、本当に焦った。あとは、こどもの小さいときの写真がはいった後付けハードディスクのデータが飛んだことも。この時は業者に頼んで、10万以上かかって直してもらったりしたな。
 
この友達はいま地元に戻り、活躍していると聞く。
あのとき彼にもらった本や電子辞書やパソコンはすべて処分した。
しかし、彼から教えてもらったものに対する考え方や、一緒に過ごした時間はいまでも大切に心の中に残っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?